牛コラム

肥育牛と美味しい牛肉のはなし

肥育中の罹病は

2009-08-09 22:25:52 | 牛の病気



写真は、頬の下辺りに放線菌症の痕跡があり、出荷直前に撮ったが、既に出荷済みの牛である。
同症の原因については前述したように、バーリーストローの鋭い穂先が牛の歯ぐきに傷を付けることで、同菌が侵入感染して同症の発症に至ったと判断している。
同ストローを給与が中止され、稲わらに変わってからは同症の発症は皆無となった。
しかも、発症していた約20頭もそれ以来自然治癒した。

写真の牛も導入後2~3ヵ月からおよそ10ヶ月間、同症に罹病し、その後自然治癒したが、痕跡からも判るようにかなり重症であった。
その後は、順調に増体したが、罹病時の食欲減少が影響して、出荷時体重は700kgに留まった。
仕上がり状態は背腰部に締まった肉盛が出来て、所謂涸れ感が見られ、肉質に期待したが、育成時の肝心な時期の飼料摂取量が順調でなかったことが、結果に諸に表れた。
肥育牛は、その開始から仕上げ末期まで健康でなければ、その牛の潜在能力は発揮されることはない。
今回の牛も例外ではなかった。