牛コラム

肥育牛と美味しい牛肉のはなし

肉色

2009-08-17 21:35:44 | 肥育
BMS no.12(鹿児島県山田氏の出荷牛)




BMS no.2


一般的に和牛枝肉の格付け時に肉食が赤いのは、理想的な肥育がなされていないためである。
枝肉格付けによれば、BMS no.が高い(写真上)ほど肉食は良好で、肉色判定基準であるBCS no.は3~4程度を示し、BMS no.2~4(写真下)の大部分がBCS no.5~6に判定されている。
これは、筋肉内脂肪(サシなど)の蓄積割合が多くなれば、赤肉の要因とされる赤色筋繊維や酸素やミオグロビンなどの割合が減少し、一方で増えたサシの色の影響を受けて、BCS no.に見られるように赤肉特有の色素が薄くなる現象であると判断している。
つまり、サシが良く入っていれば、肉色は濃くならないことになる。
一方、サシが5等級程度に蓄積されているのに、BCS no.が3ではなく4なのかである。
この原因の一つに、体内外のアンモニアが関係していると言われている。
畜舎環境により、肉色の違いが見られ、天井が低く、通気性に欠けている畜舎の場合、アンモニアガスが充満し易く、その影響を受け肥育中は軟便がちとなり、理想的な仕上がりには至らず、出荷された牛はサシもそこそこで肉色も濃くなり易い。
このような畜舎の場合は、深馬屋式でなく、回転良く敷き料を交換するに限る。
ルーメン内にアンモニアが多ければ胃壁を刺激することから食欲が鈍くなり、つまりは順調な仕上がり状態に至らない。
子牛育成時に粗飼料を多給することで、肉色が良くなるかという問いかけがあったが、間接的には、問いかけの通りであろう。
和牛の肥育は、如何に効率よく配合飼料を摂取するかが、体脂肪の蓄積には重要なことであり、そのための食い込みを長期間にわたり良好ならしめるための対策が、育成時の粗飼料の利用性を高めて、子牛の腹づくりを行うことである。
育成時における粗飼料の摂取効果については、再々前述しているので省略する。