牛コラム

肥育牛と美味しい牛肉のはなし

厚脂対策

2009-08-12 18:10:23 | 肥育



食肉店で好まれるロース芯面積は、最低でも55cm2は必要だと聞く。
写真のロース芯は、40cm2程度と小さく、逆にその周囲の皮下脂肪や筋間脂肪は多量に蓄積していて、良く言われるところの厚脂である。
この様な形になる理由は、端的に言えば、肥育末期まで配合飼料主体で食い止むことなく順調に食い込んだためと考えられる。
何故その様に後半にいたっても食い込みが衰えないのか。

一般的に、育成期に乾草など粗飼料を順調に食い込んだ牛は、ロース芯が大きい。
育成時に乾草などを飽食させ、生後15ヶ月令から約半年間、βカロチンを含まない飼料の給与を徹底させることで、体脂肪と筋肉内脂肪を蓄積させるための下地が出来るため、その期間にビタミンAを添加しない配合飼料を飽食給与させ、一気に増体させる。
βカロチンの制限と増体による消耗により、生後15ヶ月令で、ビタミンA血中濃度100(IU/dl)であったものは、生後20ヶ月令では、55~60(IU/dl)に下がるようであれば、効果的なビタミンAコントロールが出来ていることになる。
その後はその数値のままか若干下がった状態で後半までゆけば、肥育末期には、食い込みも衰え、毛づやも涸れてくる。
上記のように、何時までも毛艶良く食い込む牛の場合は、常時βカロチンを適量摂取した結果である。
また、生後23~25ヵ月令時に極端な同Aの欠乏により、数日間同A剤を投与した結果、後半に食い込みが良くなり、厚脂になることも多々あり、写真の牛はそのケースであったと記憶している。