増体が順調で、いつまで経っても食いが落ちずに、被毛は実に健康的でてかてかと艶がある肥育牛が、どこの肥育センターでも、何頭かは見受けられる。
このような牛を管理する側は、気分良く給餌などの作業が行われているはずである。
動物特に家畜を育てる場合は、常に健康で大きく育てるのが当たり前という概念があり、その結果を由とする傾向がある。
しかしながら、和牛の肥育の場合は、その発育や増体のステージ毎の飼い方を考慮しなければ、良質の枝肉には成らない。
ただ肥らせるだけでは上記のような肥育結果となる。
特に、肥育後半に至っても、餌の摂取量が衰えず、明らかに毛づやも良く、体重が900kgにも成って、よくぞ大きく成ったと満足げに出荷した結果、枝肉は体脂肪過多で、ロース芯面積は40cm2そこそこで、何とかAランクに成っても、BMS値は3~4程度のものを多々見かける。
体重1トンでも、理屈に叶った肥育法で育てられた肥育牛は、枝肉重量660kg、格付A5で1頭当たり150万円以上というケースもよく見かける。
これが肥育技術の良し悪しと言うことであろう。
枝肉を競り落とす業者らは、枝肉重量が500kg以上のものは扱いにくい、せめて450~500kgでA5クラスが良いと口癖である。
和牛の増体能力が改善され、大きな口を持つ外国種並みの和牛となり、枝肉重量500kgを期待するには意外と楽になり、肉質も年々上昇している。
小さめで、ものの良い枝肉生産が今後の課題であろう。
そのことで飼料の効率的な利用にも繋がるはずである。