日本史学習拾遺

日本史よもやま話、授業の補足、学習方法

学内実習・・・①文献資料、美術資料(彫刻・絵画)の巻

2018-07-28 18:10:42 | 博物館学芸員関係
台風の進路に当たっている地域の方々は、たいへん不安なことと思います。東京も、今大雨です。
避難の決断は早めに、ということが大切と思います。気をつけましょう。

さて、夏休み中でもあり、ブログはどんどん更新させていただきます。

奈良大通信教育の博物館学芸員資格課程3年目で、今年度は何も進んでおらず、今日書くのは2年前・2016年秋の博物館実習(一)の「学内実習」についてです。博物館実習(一)は、春に行われるガイダンス・講演、引率見学、6月の講演会、自主見学、そして学内実習があります。学内実習以外のそれぞれについて、少しずつこのブログでも書きました。

学内実習は、

①文献資料、美術資料(彫刻・絵画)
②考古資料A・B
③梱包A・B

の3回に分けて行われました。

1回目は9月25日(日)でした。実習時間開始が9時からと早く、東京から当日朝の新幹線では間に合わないため、前泊することになります。それで、前日に、多神社や二上山博物館に行ったというわけです。

1泊で、しかも気候がほどよい季節なのでとても気楽な奈良旅になりました。

1回目の文献資料、美術資料の内容について簡単に。

二つの班(部屋)に分かれて、それぞれに30人くらいずつ実習生がいたでしょうか。皆さん熱心な方ばかり。いつものスクーリングより、若い人が少し多かったかもしれません。

1班は午前中に文献資料、午後に美術資料、2班はその逆、という形で行われました。
たぶん私は1班でした。「文献資料」は、和本の種類等、まるで書誌学で勉強したような内容を、講義形式で受け、途中で和本の綴じ方を実際にやってみるという実習があり、他に、班ごとに渡された古文書について観察して、わかったことを話し合い、説明する、といった時間がありました。後で、勉強したことについてレポートが書けるように、そこそこメモをとっておく必要があります。

午後は「美術資料」について、これは、さらに「彫刻」と「絵画」の内容を、別の先生に教わります。
「彫刻」は、仏像の種類や材質、技法について学びました。美術史概論でしたか、仏像について勉強した内容とおおよそ似ています。実習として、仏像の調査を行いました。グループで、いろいろな部位を測るということをしました。


写真は、ちょっとだけにしておきます。メインに写っている仏像は、講師の先生による模造品といったらいいでしょうか。他にも各班いろいろありまして、私のグループが測ったものは、手前に写っています。

「絵画」については、お座敷の部屋に移動し、美術資料の取り扱いの注意について聞き、特に掛軸について詳しく学び、掛軸をかけたり、しまったり、という作業を実習しました。なるほど、こういうふうに扱うのか、と勉強になりましたし、そういった作品を扱う心構えも学びました。
調書をとる方法についても学び、絵画の調書も実習しました。

これらは、レポートにして後日提出するのですが、提出して、評価してもらって返送された後、それをファイルに綴じておくことになっています。今、見返すと、勉強した内容が思い出されるので、こうして残しておくことは大切だなということを実感しました。

例えば、
仏像の調査の前にすること・・・仏像は信仰の対象であるから敬意を払い、調査の前後には必ず手を合わせる。
ということなど。

楽しく、また充実した実習でした。
さて、科目修得試験の勉強はじめ、何かやらなきゃな・・・

近況 及び 二上山博物館など(2016.9訪問)

2018-07-25 20:58:59 | 縄文時代
東京は、梅雨が早く明けてしまって、とんでもない猛暑です。夏休みも1週間くらい早めにスタートしてもよかったような、今年の気候。暑さに負けないように、栄養・睡眠をしっかり取って、耐え忍びましょう。

今年の夏は、あまり休む暇がないのです。博物館学芸員の資格課程はどうなったのか、ということで、ご報告しますと、博物館経営論のレポートが合格して、3月に科目修得試験を受験したのですが、なんと「不合格」でした。試験が不合格だったのは初めてです。それに合格すれば、夏休みに博物館実習を受けられたのですが、今年度はダメ、となりました。
勉強不足だったのは確かなのですが・・・まあ、受けたのも3月ぎりぎりすぎましたかね。

・・・というわけで、博物館実習が受けられなくても、今年の夏は、いろいろ用事がありまして、休む暇がなく、むしろ実習がなくてちょうどよかったかな、という感じです。体力がもつかどうか、戦々恐々です。
今年の夏は、残念ながら奈良に行けないでしょうね・・・涼しくなって、余裕ができたら行きます。

学校関係では、来週から日本史の講習を始めます。3年生は、AOとか指定校推薦に目がくらむ時期と思いますが、日本史をやりすぎて損ということはないので、とことんやってみてほしいと思います。

さて、これで今日の話を終わりにしてもいいのかもしれませんが(笑)、前回の多神社訪問(2016年9月24日)の後の話を少し書きます。

本当は、多神社の後に當麻寺(たいまでら)に行きたいと考えていたのですが、奈良到着も遅かったですし、お彼岸過ぎとはいえ暑かったので、やめました。そして、それでは二上山博物館に行ってみようか、と考えました。学芸員資格課程の勉強をしているわけだし、奈良の博物館もできるだけ見よう、と。高校日本史的には、二上山は、サヌカイトという石器の材料が採れるということで縄文時代でちょっと出てきます。

二上山博物館は、近鉄大阪線で大和八木から東へ15分くらい、近鉄下田駅で下車して8分で到着します。

中に入ると、解説をしてくださるガイドさんが待ち構えていました。二人ほど。私も学芸員資格課程にいることですし、せっかくですから、説明していただきました。施設は結構立派でした。
ガイドさんに、「にじょうさん」なのか「にじょうざん」なのかと質問しましたが、あまり明確な答えはなかったような。結局どっちなのでしょうか?「ふたかみやま」とも言うようですし・・・地元の方々は、なんと言うのが一般的なんでしょうか?

サヌカイトのことは授業で話をしますが、現物は見たことがありませんでした。

現物は、確かに打製石器に適するような、鋭利な断面を持つ石でした。スパッとよく切れそうです。
サヌカイトの他にさまざまな展示がありましたが、印象的だったのは、二上山では金剛砂(ガーネット)が採れるとのこと。


他にもサファイアも採れるということで展示されていました。青くてキラキラ光っていました。二上山て、歴史的にも文学的にも印象的な山ですが、地質学的にも個性的な山なんですね。


サヌカイトで作った楽器もありました。木琴のように演奏できるもので、堅いため、澄んだ硬質の音でした。

小さな博物館でしたが、展示に工夫をこらし、ガイドさんもいる、がんばっている博物館でした。


博物館から見た二上山。多神社や三輪のあたりから見るふたこぶの山とは全然違って見えます。

そこから帰りはJR香芝駅から電車に乗り、和歌山線や桜井線を使って奈良に戻って来たのだったと思います。

その日の宿は、JR奈良駅前のスーパーホテルでした。じゃらんのポイント2000円を使って、5600円で宿泊しました(一人旅です)。お部屋はおまかせ、というプランで、面白い部屋になりました。


畳の座敷のようなつくりで、靴を脱いで上がります。ベッドもゆったりしていました。


窓の外はさえませんが・・・でも室内はとにかく快適でした。スーパーホテルは、手書きのお手紙が置かれていたりします(「○○様 おかえりなさいませ!・・・以下5~6行」的な)。いろいろ企業努力しているんですね。

そんなこんなで、学芸員資格課程の実習前日のプチ旅はおしまいです。次回は、実習の話を書きたいと思います。