日本史学習拾遺

日本史よもやま話、授業の補足、学習方法

妖怪・オバケを見て涼しくなろう――太田記念美術館

2019-08-15 22:00:31 | 自己啓発
夏休みもあと2週間??早いです。今の私には生徒の皆さんに宿題やってますかと言える義理はないかもしれません。でもがんばりましょう。私もいろいろがんばります。
暑いですね。台風の威力も恐ろしいですが、各地の皆さん無事でしょうか?
合宿とか講習とかで自分の勉強をほとんどしておらず、博物館学芸員資格課程のことはもちろん頭の片隅にありますが、行動できず、しかし自分自身も夏休みを取ったので、博物館に一つくらいは行こう、ということで行って来ました。

今まで行ったことのない博物館・美術館ということで、探してみましたら・・・原宿にある浮世絵専門の美術館=太田記念美術館「異世界への誘い ―妖怪・霊界・異国」という展覧会をやっていて、ポスター(チラシ)にインパクトがあって、夏といえばお化けだよね、見たらゾゾーッと涼しくなるかなという期待も込めて、その展覧会に行ってみることにしました。

結構お客さんでにぎわっていました。私と同じ期待感からかもしれません。子供も多かったです。
ポスター(チラシ)の絵は、歌川国芳「東海道五十三対 桑名 船のり徳蔵の伝」で、黒い大きなオバケが描かれています。これを見て行ってみたくなった人がたくさんいたことと思います。宣伝効果抜群でしょう。

http://www.ukiyoe-ota-muse.jp/exhibition/isekai

「桑名屋徳蔵という船乗りは、大晦日には船を出さないという決まりになっていたにも関わらず、船を出したところ、沖で巨大な海坊主に遭遇してしまいます。海坊主は自分のことが怖くはないのかと徳蔵に尋ねますが、徳蔵は世の中で生きていくことの方がよほど怖いと答えます。すると海坊主は恐れをなして消え失せてしまいました。黒い影に目だけがぼんやりと浮かんでいるという、異世界の住人らしい海坊主の不気味な姿が印象的な作品です。」

こういう解説が1枚1枚にあって、ふむふむと足をとめて読んでしまいます。

印象的だったのは、作者不詳の「雷光の図説 豊年魚」(1866)というものです。淀川に出現した怪獣(魚)で、ゴジラとよく似ているなあと思いました。恐竜みたいでもあります。これが出現すると、その年は豊作になることから豊年魚と呼ばれているとか。これがゴジラと似ていると思う人は他にもいるようで、ネット上にそういう話題がみられます。ゴジラはこんなのをモデルにしたのかなというような。

他にも、面白かったのはたくさんあります。自分が前から知っていた王子の狐火の別バージョンとか(歌川広重)、ユーモラスな顔の土蜘蛛とか、とにかく足のない女性の幽霊も多数。

葛飾北斎の「新版浮絵 浦島龍宮入之図」も、登場人物が、さかなクンのように魚のお面を頭に着けていて、これは、擬人化の表現で、黄表紙などによく見られる表現だとのことです。さかなクンもこういう絵を見ていたんでしょうか。

「妖怪」も「霊界」も「異国」も、一つ一つの絵が興味深くて、浮世絵ということだから版画ですが、その精細な線・色に驚かされました。こんなに浮世絵版画の細部までじっくり見たことがなかったかもしれません。たくさんの版を、ずれないように重ねて刷るわけですが、その技術もそうですし、こういう版を手作業で作れる人というのは、現代にはいないのではないでしょうか?
本当に細かくて、また写実的な絵が、線が、表現されていました。
この展覧会は8月28日までです。おすすめです。ゾッと背筋が寒くなるような幽霊も、いましたよ。

その美術館の地下には、「かまわぬ」という手ぬぐい専門のお店がありました。ここの手ぬぐいはいただいたことがありましたがお店はここなんだ、ということがわかり、覗いてみて、魅力的な手ぬぐいがたくさんありましたので自分なりに今一番ほしいかなと思うものを2枚だけ買いました。
手ぬぐい、すてきですね。使い込んだ手ぬぐいもいいです。もう少し日常的に愛用しようかな。

そして、さらに新大久保に移動して、皆中稲荷神社へ。ここはお正月に行ったらものすごい行列だったのでお参りするのをやめた所です。今日はほとんど人はいませんでした(笑)。百人町にあります。


江戸時代、鉄砲組から信仰された神社で、ある隊士が霊夢により百発百中の腕前に上達したことが起源とのことです。「皆中」とは「みなあたる」という意味です。「当たる」ということで宝くじなどの当選を期待する方々が多くいらっしゃるのかなと思います。私は宝くじは買わないのですが違う意味で皆中が必要なのでお参りしました。初めてです。お守りもいろいろありました。



新大久保あたりはエスニックというかアジアの食べ物のお店がぎっしりつらなっていてすごいですね。若い子がたくさんいて道にあふれていました。韓国とは今、政府同士でなかなかうまくいっていませんが、若い人達はそういった問題は全く関係ない、気にしていないように見えます。韓国側の若い人はどうなのかはわかりませんが。

今日は終戦記念日でした。令和になり、新天皇も戦後生まれの世代となりました。天皇と同世代というわけではありませんが、戦争について原体験はなくとも、国が経験した過去を、風化させてはならない、歴史の教員としても、できるだけ迫真の当時の状況を伝えていけたらと思います。

・・・というわけで、仕事を離れて都内の行ってみたい場所をぐるっと訪れて来ました。真夏には涼しくて清潔・美しい空間の博物館・美術館で展覧会を見るのが結構おすすめです。穴場のカフェなども併設されていることも多いです。もう少しこの夏休み中に見学して、そしてその勢いで学芸員資格課程のレポートを1コでも書けたら・・・いや書かねば・・・ここに書くことで自分を縛ることにしましょう。

志賀直哉旧宅など、炎暑の奈良放浪記

2019-08-03 20:44:59 | 旅行
学校も夏休みに入りはや2週間。この1週間は、午前中が部活、午後が日本史の講習という、充実したものでした。最後まで講習を完走した3年生の、猛暑の中登校して、熱心に勉強に取り組む姿が心に残りました。受験も成功を祈っています。8月末に一つ講習があります。がんばりましょう。

さて、先日の黒塚古墳の記事が2017年の3月、その後の4月からは職場を異動して、なかなか旅行に出かける余裕がなくなりました。そのため、これからは旅の記事・奈良の記事のストックもなくなっていきます。

今日は、そんな中で、2017年8月に堺・奈良を旅した時の話題から、まだ紹介していないものを書いてみます。
すでに、仁徳天皇陵訪問記をはじめとして、主に堺紀行については次のような記事があります。
そうだ、堺に行こう! その1(「仁徳天皇陵」へ)

そうだ、堺に行こう!その2(百舌鳥古墳群バーチャルリアリティーツアー体験)

そうだ、堺に行こう!その3 前方後円墳型カレー、さかい利晶の杜など、堺探索

・・・というわけで、堺の記事は以上にして、奈良に移動してのトピックです。

2017年8月10日のことです。ちょうど今頃、一番の炎暑の頃ですね。


この頃のシカさんは、鹿の子模様も美しく、ツノもまだかわいいですね。


お盆前は意外と安く宿が取れたので、行ってみた次第。JR奈良駅前のスーパーホテルに宿泊。真正面にJR奈良駅が見えます。
おいしく朝食を食べて、奈良探索に出発。これまで行ったことのない場所へ。

奈良交通バスのフリー乗車券を購入して、JR奈良駅前からバスに乗り込みました。500円で、購入時にもらう路線図つきチラシを提示すれば、たくさんの施設や飲食店などで割引が受けられます。非常にお得です。何となく存在は知っていたのですが、この時初めて利用しました。

最初に、志賀直哉旧宅に向かいました。バスを降りて、「頭塔」をちらっと見ながら、さらに歩き、あーここが「空気ケーキ」のお店か、いつか入ってみたいものだ・・・などと、次第に静かでよい雰囲気になっていく、いわゆる高畑町のあたりを歩いて行きました。

やがて、志賀直哉旧宅に到着。フリー乗車券のチラシを使って、入館料は団体料金に割引になりました。

志賀直哉のお宅は趣があって、立派でした。


書斎。


たくさんの椅子が置かれた食堂


「高畑サロン」と呼ばれたサンルーム。



よい小説が書けそうな環境です。私もこんなふうな俗世間を離れた環境で書き物をする生活をしてみたいものです。


こんな看板があったので面白くて撮影してきました。


その後、歩いて新薬師寺へ。ここも団体料金に割引になりました。ここのご本尊は、目が開いているということで、眼病にご利益があるとのことでした。確かに目がぱっちりしていて、独特の雰囲気でした。ここも、訪れてよかったなと思わせる落ち着いた静かな雰囲気のお寺でした。


次に、近くの入江泰吉記念奈良市写真美術館に入りました。見学したかったというより、暑くて死にそうだったので、涼を求めて、そして、そこにあったカフェに入りました。
最初はお客は私だけ。自家製のケーキがおいしかった。アイスティーも。生き返りました。

その後、バスに乗ったのだったか、元興寺のあたりのならまちをふらつきながら、ぷちまるカフェへ。
古墳クッキーやマスキングテープなどのグッズを購入しました。
シカの白ちゃんクッキー、古墳クッキー、くりっ墳(クリップ)など。
ここでは有名な古墳ケーキもありますが、それはまたいつか。


とにかく炎暑で、倒れないか不安になるくらいでしたので、猿沢池近くのコンビニで氷を買って、東向き商店街の方に向かって歩きました。

私が好きなカフェ、ロココでサンドイッチとコーヒー。何を食べても、もちろんどのコーヒーも、とてもおいしかったロココですが、今ではもしかしてお店はなくなってしまった??

そんなこんなで、炎暑の奈良放浪記(2017)、このくらいでおしまいとさせていただきます。
今年の夏は、奈良に行けません。これから合宿などもあります。
あっという間に夏休みが終わってしまいそうです。暑さに負けず、一日一日、やろうと決めたことをしっかりやろうと思います。受験生の皆さんもがんばってください!