日本史学習拾遺

日本史よもやま話、授業の補足、学習方法

「縄文―1万年の美の鼓動」展

2018-08-24 22:08:35 | 縄文時代
夏休みもなんと残り1週間となってしまいました。8月は土日をはさんで8日連続出張などもあって、ほとんど勉強(PCに向かっての)ができていません。遅ればせながらこれから自分の勉強をします。

今日は夏休みにしていて、やっと、この夏休み初、博物館へ行きました。上野の東京国立博物館の特別展「縄文―1万年の美の鼓動」です。タイトルがまず、いいですね。



以下、ホームページより。

縄文時代が始まったとされる約1万3000年前。狩猟や漁撈、採集を行っていた縄文時代の人びとが、日々の暮らしのなかで工夫を重ねて作り出したさまざまな道具は、力強さと神秘的な魅力にあふれています。本展では「縄文の美」をテーマに、縄文時代草創期から晩期まで、日本列島の多様な地域で育まれた優品を一堂に集め、その形に込められた人びとの技や思いに迫ります。縄文時代1万年にわたる壮大な「美のうねり」をご体感ください。

私は、縄文時代よりは古墳時代のほうに興味がありますが、それでも、縄文時代の土偶と古墳時代の埴輪のどちらが芸術的かと思うかといえば、土偶の方が圧倒的に芸術的だと思います。

弥生時代以降は、大陸から人が数多く渡って来て、混血が進んで「倭人」が形成されていったので、文化的にも大陸の影響が強くなっていったと思われますが、縄文時代こそが、日本人の最も古くからの原初的な文化の姿を残しているといえるでしょう。火焔型土器や土偶などの、力強い芸術性の高いな作品(器物なのですがつい作品と言いたくなる)が残されていることに、日本人としての誇りのようなものさえ感じます。

「芸術は爆発だ」と言った岡本太郎さんも、縄文時代の土器に影響を受けている人でした。
1951年、岡本太郎さんが40歳の時に、
「東京国立博物館で縄文土器を見て衝撃を受ける。」
と、岡本太郎記念館のHPの年表にも書かれています。

博物館学芸員資格課程で学んでいる身として、展示を見て感じたことをいくつか書くと、展示物一つ一つのパネルに、県の地形が控えめに薄く表示されていて、そこに出土した地点が記されています。私は目が悪くなり、最近、博物館のパネルの字が読みづらくなってしまったのですが、人ごみで前の方に行って見られなくても、その県の形を見るだけで何県出土のものかわかったので、とてもよい工夫だと思いました。それによって見た印象でも、群馬、長野、そしてもちろん青森、新潟など、やはり縄文文化は東日本が中心だなということがわかります。

火焔型土器が八つくらい並べられている展示も圧巻でした。国宝のものは、それとは別に国宝室に一つだけ展示されていました。新潟のものですね。父親の実家が新潟で、家にあった新潟県史の図鑑の表紙の写真がそれだったので、小さい頃からそれを眺めていたのでとても親近感がある土器です。

本当にどうしてこんな複雑な芸術的なデザインにしたのか不思議です。機能性はないですよね。

縄文土器は大きさも大きくて、ものによっては、80cmくらいあるのではという立派なものが展示されていました。弥生時代や古墳時代の土器は、これまでにもよく見てきましたが、縄文土器ばかりをこれだけ見る機会はなかなかないです。

土偶は、恐らくこれまで別の展覧会でも見たものが多かったですが、あの斜光器土偶など、じっくり見させてもらいました。
どうして、土偶の顔は写実的でないのでしょう?埴輪は、まだ写実的な方だと思うのですが。
もしかして、本当にこんな顔(宇宙人みたいな)の人達が昔はいて、実は写実的なのか??
クリエイティブすぎます。

青森の縄文晩期の土器群のデザイン性の高さにも改めて感心させられました。三内丸山遺跡の、「縄文のポシェット」も展示されていました。

弥生時代が紀元前4世紀頃からだとすると、日本の歴史1万年のうち、少なく見積もって7000年くらいは縄文時代だったわけですよね。温暖な気候に恵まれた、平和な、芸術的な縄文時代に思いをはせるのに、とてもよい展覧会です。9月2日(日)で終わってしまいます。まだの人は行ってみてください。金曜日は夜21時までやっているようです。
今日はまあまあの込み具合でした。中高年が多く、子どもは少ない。楽しそうに見て回っている女子高生3人組がいました。


写真撮影コーナー。

これを皮切りに、もう少し夏休み中に博物館に行くとしましょう。私の夏休みは、まだまだこれからです(笑)。