日本史学習拾遺

日本史よもやま話、授業の補足、学習方法

白河駅 ダイハツCMのその後

2021-02-27 16:01:27 | イベント
東京はまだ緊急事態宣言が続いていて、しっかり減らさないと解除されず、学校生活でいうと特に、部活動ができない状態が続いてしまいます。全国の高校生で、部活ができる地域とできない地域があったのでは、技術その他のレベルに差ができてしまいます。その点が特に残念です。
私は3年生を担任しているため、生徒はすでに自宅学習期間に入っていますが、一般受験でがんばり、合格したという連絡がちらほらと入り、そのたびとてもうれしい気持ちにさせてもらっています。受験生の皆さんはもう一息ですね。
卒業式の頃には緊急事態宣言は解除されているかなあ。

さて、久しぶりに書いて、短い記事にしようと思ったのに長くなってしまったので、より簡単な記事にしたいと思います。最近の理想は、短めの記事を数多くアップするということです。

11月に、ダイハツCMに私の実家・地元の白河駅が出ている、という記事を書いたところ、つい最近までものすごい数のアクセスがありました。CMが流れるたびに、あの駅はどこだ?と、検索をする人がいるようでした。2月の上旬くらいだったか、ダイハツの決算前に、このCMがかなりの頻度で流れた時に、このブログへのアクセスが1日2500ほどになった日もありました。CMの力ってすごいですね。

白河市では、毎年2月11日にだるま市が開催されていて、せっかくこれだけブログへのアクセスがあるのだから、だるま市のPRをしようかなと思っていたのですが、タイミングを逃してしまいました。というか、今年はコロナのために通常のだるま市は中止になったようでした。駅前で少しやっていたようですが。このだるま市は、私も大人になってからは東京にいるのでほとんど行っていませんが、何年か前に行ったときに、あの露店の数・規模は、半端ではない、と感じました。今ネットでざっと調べたら、露店は700軒、15万人が訪れるとのことです。
白河だるまは、松平定信が、谷文晁に命じてデザインさせたものといわれています。
眉が鶴、ひげが亀、両脇の耳ひげが松と梅、あごひげが竹を表している、めでたいデザインです。品の良さでは日本一、といわれています。鼻が高いんです。お店に行けばだるま市の時以外も買えると思います。


過去にこのだるまについて記事を書きました。写真はそこから再掲しました。

八重の桜と白河だるま

白河が一番寒い季節のお祭りですが、ダイハツCMによって関心を持った方は、いつか訪れてみてください。他に、よい季節は、やはり桜の季節ですね。白河駅の裏にある白河小峰城の桜がきれいです。例年4月の下旬頃が満開でしたが、最近温暖化でもう少し早まっている感じです。秋の紅葉も、松平定信が作った最古の公園、南湖などに行くときれいです。
白河ラーメンも一応有名ですので、食べてみてください。手打ちで太い麺です。
白河駅構内には、「えきかふぇ」という名前のカフェがあります。白河あたりの喫茶店は、まだまだ洗練されていないなと個人的には思っていますので、あまり期待しないでください(笑)。

下の写真は、先日の天皇誕生日に、私がお気に入りの千葉の宗吾霊堂にごあいさつに行ってきた時のものです。種類はわかりませんが、桜でしょうか、きれいに咲いていました。



今日も東京は晴れていますが寒いです。もう少し安定して暖かくなってほしいです。あさってから3月ですから、春の気配をより感じたいものです。

そうそう、それから、このブログはにほんブログ村という所のランキングに参加してきて、多少の交流はありましたが、意外と、バナーをクリックする人というのは少ないものだなと実感しました。少し前にも、やめようかなと思ったら、このブログをフォローしている人が何人かいらっしゃって、急にやめたら悪いかなと思い、その時はストップしました。フォローしていると更新通知が届くのでしょうかね。しかし、まあ、これによる交流・出会いはそれほど数多いものではないし、ランキングというものもあまり意味はなく、こういうものに参加していなくても、見つけてくれる人はいるものだと考え、にほんブログ村は、やはりやめようと思います。フォローしていただいている方々は申し訳ありません。今後ともよろしくお願いいたします。

季節外れの鹿寄せ(シカも2年前)の話

2020-09-20 20:56:11 | イベント
ご無沙汰しております。健康ではあるのですが、3年生の担任だと進路指導の仕事のウェイトが大きく、また夏休みも短かかったので、仕事に追いまくられる日々です。部活も、熱心にやればそれだけのよい結果が現れてくるので、おろそかにできず、クラスのこと、部活のこと、授業のことと、日々めいっぱいやっています。
こちらのブログを書く余裕もなく、放置状態でした。4連休ですので書いておこうかなというところです。

だいぶ前のことになりますが、ずっと書けなかったことで、2018年3月3~4日に奈良大通信教育の科目修得試験にかこつけて、奈良に1泊2日で行って来たときのことを書きましょう。
ちょうどその時期に鹿寄せをやっていたので、見ることにしていました。
鹿寄せは、飛火野でホルンの音を合図に、鹿が餌を求めて集まってくるものです。

試験を受けた翌日、鹿寄せを、奈良大通信つながりで知り合いになった瓊花さん(ブログ「奈良大学通信まよい鹿」)と会って、一緒に見ることにしていました。
バス停に降り立った瓊花さんと、初めてご対面。瓊花さんについては、特に多くはコメントしませんが、とてもすてきな方です。

鹿寄せは、ビデオに撮って、それの整理をしてブログにアップしようと思っていました。しかしもう今やその気力もなく。

とにかく、あの、玉木宏と多部未華子が主演の、だいぶ前にフジテレビで放映された「鹿男あをによし」というドラマが私は好きで、ドラマはほとんど見ない私ですがあれは毎回楽しみにしていました。奈良が舞台でしたので。そして、主題歌というか、テーマ曲とその映像も好きで、あの音楽とともに鹿が全速力で走ってくる様子がなんか笑えて仕方ありませんでした。
小説『鹿男あをによし』(万城目学 幻冬舎)も、とてもお勧めです。ぜひ読んでください。茨城から奈良に来た数学の非常勤講師(ドラマでは玉木宏)と、女子高生で弱小剣道部の女子高生(多部未華子)の話で、綾瀬はるかなども出ていました。卑弥呼など古代ロマンもからむ話です。映画にもなりました。
あの、エンディングかオープニングか忘れましたが、あれは、鹿寄せの時の映像なのではないでしょうか。



この生で見た鹿寄せも、ホルンのやわらかな音とともに、遠く林の奥から、鹿たちがぞろぞろと走り出てくる様子はかわいくて、周りのお客さんも、「来た来た!」とずっと笑いながら見ていました。



鹿たちはやがて近くに群がってきて、餌をもらっていました。
またいつか、冬に奈良に来た時に、見に来るとしましょう。

瓊花さんとは、鹿寄せを見た後、高畑を散策しました。
瓊花さんお気に入りの「みりあむ」でシチューを食べました。家庭的な味わい・雰囲気のすてきなお店でした。瓊花さんは家族ぐるみでその外国人の店主の方と顔なじみのようで、そういうお店があるのはうらやましいです。また、その近くのアンティーク、銀製品とか、海外のものでしょうか、そういったものを扱うお店で貴重な趣きのある品々を一緒に拝見させてもらいました。
その後、奈良町方面に向かって歩きながらさまざまなお話をして。十輪院の境内の縁側に座って、奈良大通信教育をはじめ、いろいろな話をかなり長い時間していました。そんな所で長話なんて、奈良の人間でもない東京からの客だけではそんな発想は出てきません。お天気がよくて、3月にしては暑いくらいで、しかしとりとめのない話でも楽しく有意義な時間を過ごしました。

近鉄奈良駅前で、瓊花さんとの別れ際に、卒論の結論は?と聞かれて、なんとかかいつまんで答えました。
卒論読みたくなったけど、やめておく、と瓊花さん。同じく奈良大通信仲間の普通検索観音さんに会った時も同じことを言われました。どちらも卒論提出前。それが正解・賢明なんでしょうね。

瓊花さんと別れた後、法隆寺を見に行こうと思ったのですが、結局法華寺を訪れました。十一面観音像は公開されていませんでしたので、また今度。かわいいお守り犬を買って来ました。尼さんたちの手作りです。

私は当時、仕事関係で迷い・不安の中にあったのですが、特にそれを話すでもなく、東京に帰って、しばらくして、物事は自分にとって最善の方向に納まりました。
そんな2018年も、結果的によい年になりました。2018年以降でまだここに書いていない話題について、またぼちぼち書いて行こうと思います。

猛暑もお彼岸とともに終了して、しかし、コロナは、東京はまだ収まっていません。インフルエンザと同じように、もう、ゼロというのは無理でしょうから、経済活動との兼ね合いを考えて、飲食や旅行にしても、あまりはじけすぎず、はめをはずしすぎず、控えめに行動すればいいのかなと。奈良にもそろそろ行きたいところです。
そういえば、今年は鹿の角切り行事も中止とか。奈良の鹿の愛護会からお知らせが届きました。

夜空にカメラを向ける女・・・2017年の「なら瑠璃絵」から

2019-05-19 02:26:42 | イベント
先週は、奈良大通信教育の同窓会の行事に出たりして、短時間ではありましたが奈良を満喫してきました。フレッシュな記憶のうちに書いておきたいところですが、ちょっと後回しにさせていただきます。

まだまだ2年前の出来事からたまっておりまして、今日は2017年2月の話題です。
記録によると、2月12日に、博物館資料論の科目修得試験を受けるために、日帰りで奈良に行ったようなのです(笑 もうなぜ行ったのか、日帰りなのか泊まったのかもあまり記憶がない)。



これは、奈良国立博物館前のイルミネーション。







2月のバレンタインデーの頃に、なら瑠璃絵という、奈良の街がイルミネーションで彩られる期間があります。8月にもあります。私は冬と夏と合計3回は見たように思います。スクーリングの期間とかぶっていることが多いんです。

試験を受けたついでに、この時もそれらを見て帰りました。





東大寺もいい雰囲気でライトアップされています。


これは、大仏さまの実物大の手。



3月に行われる二月堂のお水取りの時のお松明(たいまつ)の展示。籠松明。かなりの大きさです。これをかついでタタタタッと練行衆が駆け抜ける、その光景が頭の中に蘇ります。



この日は、大仏殿の、大仏さまのお顔が見える窓が開け放たれて、そこからお顔を見ることができました。私は2度目。前回よりはいいカメラ(一眼レフ)を持って行ったのですが・・・大仏殿の周辺は工事中で、ちょっと風情がありませんでした。

この時、一番、撮れてうれしかった写真は、興福寺五重塔とオリオン座です。五重塔を撮っていた時、ふとよく見ると、その上にオリオン座がいい感じで出ているではないか!と気付きました。



私は天体写真を撮るのが好きで、東京に住んでいるのでめったに撮れませんが、奈良という「都会」「みやこ」で、天体写真が撮れるとは!!とワクワクしました。

そういう目で、東大寺の境内を夜歩いていると、光が少なくて暗闇があって、空がぽっかりと空いている場所が結構あります。いつか、こういう所で星の写真を撮りたい。できれば歴史的建造物と一緒に・・・と思います。
ただ、先日、奈良でお会いした同窓生の瓊花さんから、夜の飛火野などは・・・とお聞きしたので、気を付けたいとは思いますが・・・
というわけで、私は夜の暗闇で空にカメラを向ける怪しい人間でもあります。

今週から中間考査が始まります。おおよそ試験問題もできました。生徒の皆さん、しっかり準備をして、よい点を取ってください。期待しています。

ムンク展「叫び」を見てきました。

2018-12-28 01:37:31 | イベント
2018年ももうすぐ終わります。なんとなく恒例になりつつある、「今年は漢字一文字で?」を今年もやっておこうかと思います。その前に、今日行って来た美術館の話を書きたいと思います。・・・と書きはじめたら、長くなってしまったので、漢字一文字の話は今回は見送りですね・・・

今日から仕事も休みにして、上野の東京都美術館で開催中の「ムンク展―共鳴する魂の叫び」に行って来ました。
https://munch2018.jp/
上野では、他に、フェルメール、ルーベンスの展覧会もやっています。ムンク以外も見ようかなとも思ったのですが、一つでおなかいっぱいになり、全然違うタイプの絵を見るのも、余韻が壊されるかななどと考えたりして、ムンクだけで帰って来ました。

私は自分の担任クラスの生徒向けの学級だよりに、冬休みに、本を読んだり展覧会に行ったり映画を見たりして心を豊かにしてほしい、ということで、いくつかおすすめを挙げた中にこのムンク展も挙げておきました。
その時は知らず、行ってみて知ったことなのですが、12月中は高校生は無料とのこと!!
現地で並んでチケットを買っている時に聞いて、えっ?そんなの知らなかったよ、知っていればもっと宣伝したのに・・・
というわけで、高校生の皆さん、12月中は無料ですから、行ってみてください。生徒証は持って行ってください。
自分のクラスの生徒にはこのブログの存在は教えていません(1年生は日本史をやっていないため)ので伝えようがありませんが・・・


なんといってもムンクといえば「叫び」が有名です。その絵は何枚かあって、今回「来日」したのは1910年頃に描かれたものでした。その絵を含めて100枚くらい展示してあって、見ごたえがある展覧会でした。

一応平日でしたがお客さんはやや多め。「叫び」の所は行列を作って流れていく形でした。少し並んで、順番を待ち、いざその絵の前に立とうとして、正面に立つ時にたじろぐような、圧を感じるような、迫力がありました。夕焼けのオレンジが全体を支配していて、不安をかきたてられるような絵です。そのそばに、「絶望」というタイトルで、似た構図の絵(人物は叫んでいない)があって、やはりこの絵は愉快な気分の絵ではないなと確認しました。

ムンクの他の作品は知らなかったのですが、さまざまな絵を見ていろいろ感じさせられました。ムンクの絵は、写実的で美しいというのではなくて、心の中が絵に表現されていると思いました。

赤い服や白い服を着た女性を描いているものを見て、ふと、関根正二という画家の絵が似ている、と思いました。関根正二は、私の実家・白河出身の、20歳で夭折した天才画家です。やはり赤い色が印象的で、心象を描いた絵というところで似ていると思いました。
関根正二の絵で有名なもの(重要文化財に指定)として、「信仰の悲しみ」というものがあります。
何となく似た雰囲気だと思い、ちょっとネットで検索してみたら、同じようなことを考えた人も少なくとも一人はいました。

そして、ムンクと関根正二が生きていた時代は重なっていました。日本にムンクの絵が紹介されたのが、ウィキペディアによると1911、1912年頃。関根正二が12、13歳の頃です。ムンクの絵を見たかどうかはわかりませんが、人間的なタイプが似ているかもしれません。全く勝手な憶測です。

グッズ販売のコーナーも「充実しすぎ」ていました。「叫び」の絵に、ピカチューとかキティちゃんが入り込んで叫んでいる絵のグッズ(こんなパロディみないなことが許されるんですね)とか、お面とか、お菓子とか、付箋とか、Tシャツとか、ありとあらゆるグッズが売っていました。どうも私は身につける気にはなれませんので買いませんでした。

日本史のブログとしてはだいぶかけ離れた内容になってしまいました。
とりあえず、高校生は、12月中は「無料」ということですから、行ってみましょう。という告知でした。ムンクの生き方は、まさに芸術家です。簡単にまねできるものではありません。若い感性で、本物の芸術をナマで感じてきてください。
12月は、31日(月)以外は開館しています。1月1日は休みですが2日から開館しています。
東京国立博物館も1月2日からやっていますし、冬休みにどこか博物館に「初もうで」してみるのもオツなものですよね。

・・・というわけで、本当は、「今年は漢字一文字で」の話のつもりが、妙にムンクの話が長くなってしまったので、また明日以降、書きたいと思います。今日はこのへんで。

知の格闘技??

2018-01-28 21:09:20 | イベント
東京は先日大雪が降り、降って数日経つのにかなり雪が解け残っています。寒いです。
机の上に、記事にするために積み上がっている資料を片付けたいので、2016年の7月に遡ってイベントの記事を書きたいと思います。

「発見・検証 日本の古代 古代史シンポジウム 2016」を観覧してきました(古くてすみません)。

開催日時:2016年7月30日(土)13:00~17:30
会場:紀伊國屋サザンシアター(タカシマヤ タイムズスクエア南館7F)
https://www.kinokuniya.co.jp/c/label/20160603115500.html

これについては、以前に開催告知を記事にしています。

再掲のような形になりますが、開催の趣旨は以下のようなものです。

2015年に3回にわたって開催したシンポジウム「発見・検証 日本の古代」では、歴史学・考古学をはじめ多くの研究者が参画し、日本の古代国家形成について、新たな知見と発見と共に白熱した議論が展開されました。邪馬台国、卑弥呼の実像に始まり、騎馬文化の衝撃から古代国家の成立まで、大きな成果がもたらされました。今回、シンポジウムをまとめた書籍シリーズの第Ⅰ巻刊行を機に、改めて最前線の研究者による討議を行い、研究の新たな展開に挑戦したいと考えています。

○プログラムおよび登壇者
総合司会 上野 誠(奈良大学教授)
第1部「王権と都市と モノの移動が語る」
東 潮(徳島大学名誉教授)、武末純一(福岡大学教授)、寺澤 薫(桜井市纒向学研究センター所長)
第2部「人とクニ 古代国家の誕生」
白石太一郎(大阪府立近つ飛鳥博物館館長)、鈴木靖民(横浜市歴史博物館館長)、森 公章(東洋大学教授)
第3部「心と言葉 祭祀と言語の起源」
北川和秀(群馬県立女子大学教授)、笹生 衛(國學院大學教授)、田中史生(関東学院大学教授)
第4部「古代学の未来 "フミ"と"モノ"の知の結集」
登壇者全員
受 講 料:3,240円
「発見・検証 日本の古代」シリーズ第Ⅰ巻『纒向発見と邪馬台国の全貌―卑弥呼と三角縁神獣鏡』という書籍代が含まれていました。

全席指定で、私は結構前の方のよい席でした。紀伊国屋サザンシアターには初めて入りましたが、いろいろ演劇などの催し物が数多くあるんですね。また来てみたいなと思いました。

今までこのようなシンポジウム等で拝見したことのある寺澤先生、白石先生、講義を受けた上野先生はともかく、私が読む論文でよく見かける鈴木靖民先生や笹生先生もナマで・・・というところが興味の焦点でした。

シンポジウムの主な内容は、省略(笑)。研究は日進月歩なので、もう状況が変化しているかもしれませんし。

とはいっても、やはりメモを読み返し、自分の関心からごく一部だけ抜き出すと、
誰の発言かも定かでないのですが、

「8世紀の人は雄略天皇を始祖と考えている。万葉集も。雄略期は画期。断層がある。」

田中氏「文献史学的に(?)、雄略期は画期か。5世紀を前半期と後半期に分けて考える。考古学とも違わない。」


このあたりは興味深いです。私が奈良大通信の卒論で取り上げた、子持勾玉も、5世紀にしかみられません。文字の使用が微妙な時期でありますが、それでもなんとなく現代まで伝わってくるものがある、日本は、いや奈良はといったらいいのか、すごいです。

あとは、自分のメモから抜き書きしておきたい所だけにします。それは、上野先生が最後に各パネリストに尋ねた、「若い人は未来からやってきた留学生と言われるが、若い人はどういう分野に時間とお金を費やしたらいいか、学部の1年生にさとすように言ってほしい」という話題についてです。
以下、敬称略。

田中 文字文化を考えたい。祝詞も朝鮮半島から入ってきた。

笹生 おまつりの対象をどう考えるか(災害との問題で)

北川 『万葉集』『日本書紀』を熟読玩味しよう。「大王」という表記は歌の中、題詞は「天皇」で残っている。二重のスタンダードがある。


これは私も実践したいと思っていることです。

森 自分の好きなことをしなさい。自分達は律令国家や平安時代が主流だった。韓国語や中国語の学習も必要になる。

これも私は共感できます。私が学生の頃も律令制度の関係をやっていました。しかし、トレンドというか、は、動いているのが感じられます。私も勉強のために韓国語や中国語をほんのちょっとかじりました(かじっています)。

鈴木 好きなことをやれといっても職がない。津田左右吉など『日本書紀』を暗記していた。これからの歴史学は、地球規模で日本の歴史を考えることが求められるだろう。留学の必要性も。

これもそのとおりで、私も『記紀』のどこに何が書いてあるかがわかるくらいに内容に精通したいものだと思っています。思うだけでなかなか難しいのですが。

白石 古代学、パレオロギア。文献史学と考古学の総合。それぞれの学問の方法を尊重しなければならない。

これも私は強く同感します。私は最初の大学で文献史学をやり、次の大学で考古学をやり、それぞれの分野だけでは足りない面があり、「古代学」という考え方は必要と以前から考えていました。

寺澤 何か一つ、自分のやりたいことを徹底してやれ。その後で、政治学でも植物学でも二つ目三つ目を作れ。

武末 留学してほしい。古墳時代の研究は古墳中心になってしまうが、集落研究もやってほしい。弥生時代も集落研究が中心。

東 フィールドワークのすすめ。


最後に上野先生が、

「70年前は考古学は未発達。70年後はこうしたシンポジウムには遺伝学の先生が半分以上並んでいると思う。私は70年後も司会をやりたい。」

と言って笑わせました。

せっかく学部の1年生向け的な貴重なアドバイスのオンパレードだったのに、観客は、高齢の人が多かったような。大学生はほとんどいなかったのでは?


上野先生は、ノーネクタイ、猫背で登場し、うまくシンポジウムをさばいていました。ご自分の意見などはほとんど言わず、司会に徹しているところは立派です。こういう感じだと、司会業のお仕事は次々やってくるのかもしれません?

各先生方の学部生へのアドバイスは、なるほどと思うものばかりです。私も奈良大での勉強をきっかけに、なんとなく考古学に足をつっこんだわけですが、時代的に、自然ななりゆきだったのかもしれません。

こういう流れを踏まえて、私も、学校で関わる生徒に、これから探求するといいかなという分野について紹介できたらと思います。誰か、考古学者になってくれないかなあ??私、発掘現場に差し入れに行きますから(笑)。