いまもなお、「アリラン」の歌が頭に鳴りつづけています。
よく知られているメロディではなく、原曲なのでしょうか、第一幕の最後に、自分の力ではどうしようもない深い悲しみ、口惜しさ、怒り、いいえ、このような簡単な言葉では表現できない想いをこめて、身振りを伴って主人公がうたう歌です。
「創氏改名」という日本の政策が、どれほど朝鮮の人々を痛めつけてきたか。
秀吉の時代にまで遡っての、日本による侵略の歴史。
そしてこれは、この芝居が描く時代で終ったことではなく、いま尚つづいていることなのですよね。
私の年代以前の少なくない日本人は、心のどこかに朝鮮に対する差別意識を残しています。
日本名でないと社会的差別を受けるという「在日」の方たちもいます。
自分のほんとうの氏名を名乗れないということの、のしかかってくる重み。
金大中事件に関しての吉岡吉典さんの文章(しんぶん赤旗07.11.13)のなかに、ノ・ムヒョン大統領の言葉が紹介されています。
「誇るべき歴史であれ恥ずべき歴史であれ、歴史はあるがままに明らかにすべきだ。特に国家権力が犯した過ちは、必ず乗り越えなければならない」(06年4月3日、済州島事件追悼式での発言)
どこの国に対しても、誰に対しても、このようにありたいと思います。
『族譜』
原作 = 梶山季之
脚本・演出 = ジェームス・三木
公演はあと2回です。
11月15日(木) 18:45 狛江・エコルマホール
11月19日(月) 18:45 江戸川・タワーホール船堀
ぜひご覧ください。
青年劇場
http://www.seinengekijo.co.jp/frame.html