10月31日の東中野の街。
東中野駅ホームから見た、ポレポレ東中野のあるビル。
この映画の主人公・ちづるさんは、
1歳の時に自閉症と診断され、
3歳の時に知的障害があることがわかった、
現在22歳の女性です。
兄である赤崎監督は、
初め、自分が大学の友人に、
妹のことを話すことができないでいました。
そんな自分を変えたいという思いで、
卒業制作作品として、
ちづるさんのありのままの姿を、
障がい者として、というだけでなく、
ちづるさんの魅力も含めて、
カメラに収めていきました。
けれど、
大学の指導教授でもある池谷薫監督とのディスカッションなどを通して、
自分の中にもある、障がい者への偏見に気づき、
ちづるさんを追うだけの撮影ではなく、
家族(母や監督自身)を撮ることに改めます。
ナレーションも字幕もほとんどなく、
3人の日常を描いています。
お母さんとちづるさんの、
激しい取っ組みあいも正直に写しとり、
ゆっくりした言葉の話しあいや会話など、
「ある家族の日常」と言える映像になっています。
ちづるさんの、
素直な、正直な感覚がとても素敵で、
知らず知らずに引き込まれていきました。
笑顔がやわらかくて、愛らしい。
魅力的な女性です。
たしかに、社会の中では「障がい者」と言われる存在です。
でもそれは残念な考え方ですね。
一人の、人間としての、
特別な存在ではなく、
おっちょこちょいで、ヤワな、
足腰が痛くなっている私とイコールな人間としての
ちづるさんなのです。
よく「障がいも個性」という言い方をすることがありますが、
それもちょっと引っかかります。
子どもや、病気の人や、高齢者などに
社会の援助が必要なように、
どのような人にも社会的な力が生きていれば、
いいのにな、と思います。
この映画をみると
多くの人が、きっと、
柔らかな気持ちになることでしょう。
ポレポレ東中野で上映中。