未来を担う若者 出会い大切に

　きのうは成人の日だった。
新型コロナウイルス感染症対策で、成人式が中止、延期になったところも多かった。
一生に一度のイベント中止、そして友人との出会いを楽しみにしていた新成人には
残念なことであったと思う。ただ、後々に「あの頃はコロナで大変だったね」と
笑って話せる時がきっと来る。今の逆境を我慢して強く生きてほしい。
コロナ禍の中でも、一生懸命頑張っている若い人たちにエールを送りたい。


〈南日本新聞記事転載〉

　鹿児島県内の新成人にエールを送る夫妻がいる。
脳腫瘍のため５年前に１６歳で亡くなった次男の〇〇さんが、
親友の計らいで昨年の成人式に遺影で出席できた感動が忘れられない。

　野球少年の次男〇〇さんは中１の秋に発症、中３になる直前まで入退院を繰り返した。
「弱音を吐かなかった。みんなと卒業するんだと勉強に励んでいた」と夫妻。
本命の高校に進んだものの、高２の４月に体調を崩し、帰らぬ人となった。

　夫妻は玄関前に「家族の一員に変わりはない」と地蔵を建立。
昨年の成人式の前には家族で祝った。ただ、悲しみも募った。

　成人式当日の朝、小中学校の親友７人の訪問を受けた。
「〇〇を迎えに来ました」。遺影を連れて式に出てくれた。
７人が葬儀で〇〇さんに誓った約束だった。夫妻が流したのはうれし涙。
「出会いを大切にしてくれた感動が悲しみに勝った。同級生の心に救われた」と振り返る。

　以前は命日が来ると「治るつもりで頑張っていたのに」と沈んだが、
今は「精いっぱい頑張って命を全うした」と思える。時間が解決したのとは違う。
今年の成人の日を迎え、どの新成人にも親友たちのように思いやりを行動に移す力があると信じている。