ヒナフキンのスサノオ・大国主ノート

「神話探偵団~スサノオ・大国主を捜そう!」を、「ヒナフキンのスサノオ・大国主ノート」に変更します。雛元昌弘

最近の5つの古代史ブログの紹介

2020-01-28 17:19:08 | 倭語論
 古代史のテーマ別に5つのブログを再開・開始しましたが、相互に少なからぬ関連があるので、昨年末から書いてきたブログ全体について紹介しておきます。今後は重複アップはやめ、それぞれのブログで他の新ブログをリンクします。

1 Gooブログ「ヒナフキンのスサノオ・大国主ノート」(旧:神話探偵団)https://blog.goo.ne.jp/konanhina
① 『邪馬台国探偵団~卑弥呼の墓を掘ろう~』(第2版:雛元版)のご案内 0110
② 神話探偵団128 「天王スサノオ」を目指した天主・織田信長を殺した明智光秀 0114
③ 神話探偵団129 麻生太郎氏の「126代の1つの王朝」は正しいか? 0115
⑤ 古代史ブログを再開します 0123
⑥ 倭語論1 平和について 0123
⑦ 倭語論2 倭流漢字用法の「倭音・呉音・漢音」について 0124
⑧ 倭語論3 「主語-目的語-動詞」言語族のルーツ 0125
⑨ 倭語論4 「倭人」の漢字使用 0126
⑩ 倭語論5 「和魂」について
⑪ 倭語論6 「神」について

2 Seesaaブログ「ヒナフキンの邪馬台国ノート」 yamataikokutanteidan.seesaa.net/
① 『邪馬台国探偵団~卑弥呼の墓を掘ろう~』(第2版:雛元版)のご案内 0110
② 古田説・安本説と私の邪馬台国論 0110
③ 古代史ブログを再開します 0123
④ 纏向の大型建物は「卑弥呼の宮殿」か「大国主一族の建物」か 0128

3 FC2ブログ「霊(ひ)の国の古事記論」 http://hinakoku.blog100.fc2.com/
① 『邪馬台国探偵団~卑弥呼の墓を掘ろう~』(第2版:雛元版)のご案内 0110
② 「天王スサノオ」を目指した天主・織田信長を殺した明智光秀 0114
③ 麻生太郎氏の「126代の1つの王朝」は正しいか? 0115

4 はてなブログ「ヒナフキンの縄文ノート」https://hinafkin.hatenablog.com/
① 1 縄文との出会い 0106
② 2 私の日本民族起源論、縄文論 0107
③ 3 これからの「縄文社会研究」のテーマ(検討中) 0110
④ 4 「ワンチーム」の縄文時代:麻生太郎氏の「126代の1つの王朝」批判 0115
⑤ 5 古代史ブログを再開します 0123
⑥ 6 「弥生時代」はなかった 0125

5 Livedoorブログ「帆人の古代史メモ」 blog.livedoor.jp/hohito/
① 帆人106 古代史小論・レジュメ一覧 1221
② 帆人107 『邪馬台国探偵団~卑弥呼の墓を掘ろう~』(第2版:雛元版)のご案内 0114
③ 帆人108 「天主・天王」を目指した織田信長を殺した明智光秀 0114
④ 帆人109 麻生太郎氏の「126代の1つの王朝」は正しいか? 0115
⑤ 帆人110 古代史ブログ再開します 0123

倭語論6 「神」について

2020-01-28 12:40:55 | 倭語論
 記紀には「八百万神(やおよろずのかみ)」が登場し、多くの「神」の名前が見られ、出雲大社には神無月(出雲では神在月)にこれらの神々が全国から集まるとされています。
 死んだ人はすべて神として子孫に祀られる、という独特の宗教です。唯一絶対神信仰のユダヤ教やそこから派生したキリスト教やイスラム教、仏教の釈迦如来崇拝の真言宗や日蓮宗などとは異なります。山や川、太陽や月や星、動物などを崇拝する自然信仰の中でも、祖先霊信仰に特化した多神教です。
 記紀の神々では、伊邪那伎大神(イヤナギ:通説はイザナギ)、伊邪那美(イヤナミ:黃泉津大神・道敷大神、通説はイサナギ)、道反大神(黃泉戸大神:黄泉への道をふさいだ神)、イヤナギの子の墨江之三前大神(筒之男3兄弟)、伊都久三前大神(スサノオの子の宗像3女神)、天照大神、スサノオ、大国主の8神は「大神」とされ、天照大御神と迦毛大御神(大国主の子のアジスキタカヒコネ)の2神は「大御神」とされ、特別の神とされています。基本的には各家で「ご先祖」として神棚や祠に祀られますが、それを集めて村社、郷社、県社などに祀られるとともに、偉大な王や非業の死を遂げた人物は氏神神社に祀られ、その一族の氏子や多くの人々に祀られます。
 このような日本における「神」にはどのような意味があるのでしょうか?
 「神」字を漢字分解すると「示+申」で、「示」は高坏(たかつき)に供え物を置く形象文字、「申」は「もうす」あるいは「猿」とされています。「高坏+申す」では意味不明ですが、「高坏+猿」だと、「高坏にお供えを載せて猿に捧げる」という字になります。これだと、猿を人間の祖先神としていたことになり、ダーウィンの進化論よりはるか前に、中国人は人類の祖先を猿と同じとみていたことになります。

図1 「神」「鬼」字の漢字分解



 「ありえへん」と思われるでしょうが、わが国においても、日枝大社(祭神は大国主とスサノオの孫の大山喰)や浅間神社(コノハナサクヤヒメ:イヤナギの子の大山津見の娘。記紀では薩摩半島のニ二ギの妻。播磨国風土記では大国主の妻)において、猿は「神使(かみのつかい=しんし)」とされていますから、あながち大外れではありません。
 古事記序文では、太安万侶は「乾坤初めて別れて、参神造化の首となり、陰陽ここに開けて、二霊群品の祖となりき」と記し、本文では、天地が開けた時の始祖神を「天御中主」、続いて「高御産巣日(たかみむすひ)・神産巣日(かみむすひ)」としています。日本書紀この「二霊」を「高皇産霊尊・神皇産霊尊」と書いていますから、この「参(三)神」のうちの「二霊」を正史・日本書紀は「日を産む神」ではなく「霊(ひ)を産む神」としているのです。そして、古事記は性交を「宇気比(ウケヒ=受け霊)」と書き、天皇家の皇位継承儀式を「日継」(霊継)としているのです。死者は再生を期待して「棺・柩(霊継)」の入れて葬られたのです。
 「群品の祖」の「品」=「口+口+口」は人(霊人(ひと)・霊子(ひこ)・霊女(ひめ)」などの人々を指していますから、女性神「神産霊(かみむすひ)」と男性神「高御産霊(たかみむすひ)」を人を産む主役の始祖神としたのです。
 この「参神・二霊」は出雲大社正面に祀られていますから、死ねば誰もが神として祀られるという「八百万神(やおよろずかみ)」の「霊(ひ)信仰」「霊継(ひつぎ)信仰」として、大国主一族によって確立され、今に伝えられています。

図2 「参神・2霊」の群品(人々)の始祖神の構造



 この信仰は、1万年にわたる縄文人の妊婦土偶や石棒(男根)にみられる「霊(ひ)信仰」「霊継(ひつぎ)信仰」遡ります。なお、金精様(男根)を山に奉納するのは山を女性神とみなしたからであり、男根崇拝は男性崇拝ではないことを付け加えておきます。

 
縄文時代の石棒(国立市緑川東遺跡)と現代に続く金精信仰(岡山県高梁市成羽町の金精神社)



 その後、天皇家が仏教を国教とし、徳川幕府が葬式を仏式に強制したため、死ぬと仏になるという、神から仏への宗教に変わり、祖先霊は神棚・祠から仏壇に移されて祀られるようになりましたが、私の祖父母の代までは、仏壇とともに神棚や屋敷内の氏神様の祠に祖先霊は祭られていました。この霊(ひ)信仰は、DNAを知らない古代人が、DNAを霊(ひ)とみなし、代々、受け継がれると考えたのであり、現代の遺伝子研究に繋がるものです。

 以上、古代中国人の「神」=「示+申(猿)」の考えは現代の進化論に、古代日本人の「神」=「霊を産む霊人(ひと)」の考えは現代のDNA論に繋がる合理的な理解であった、ということを明らかにしてきました。
 生類の命(霊継)を大事にする「八百万神」信仰の出雲大社などの諸神社の世界遺産登録を進め、神の名において殺し合いをする一神教の対立に一石を投じるべきと考えます。

注:2019年5月7日のFB「『神』と『鬼』と『霊(ひ)』」をもとに、『スサノオ・大国主の日国(ひなこく)―霊(ひ)の国の古代史―』(日向勤名)や『邪馬台国探偵団~卑弥呼の墓を掘ろう~』(アマゾンキンドル本第2版)などの内容を付け加え、書き直しました。雛元昌弘