ヒナフキンのスサノオ・大国主ノート

「神話探偵団~スサノオ・大国主を捜そう!」を、「ヒナフキンのスサノオ・大国主ノート」に変更します。雛元昌弘

21 広瀬大社のスサノオ一族

2009-02-27 17:02:30 | Weblog
大坂山口神社の案内板

●ヒメ 18:32
皆さん、いかがされてますか。私はまだ奈良にいます。
今日は、朝早くからレンタカーで長老と飛鳥に行き、天武天皇陵などを案内してもらい、午後は一人で吉野に行って来ました。『壬申の乱殺人事件』の事件現場はほぼ固まりましたよ。
しかし、皆さんのご期待に反して、ほんものの事件とは出会いませんでしたよ。

●カントク 18:42
やっぱりね。まだ奈良にいるのなら、マンネリヒメのために、緊急のミーティングをやりましょうか?
スサノオをテーマに、次作のイメージが湧いてきたんじゃない?

●ヒメ 18:45
確かに。『壬申の乱殺人事件』で主人公の甘木夏彦さんには死んでもらって、新しい主人公とシリーズを始めたくなっちゃった。

●カントク 18:47
さてはヒメ、恋人と別れたな。だいたい、ヒメが主人公を変える時というのは、恋人を変える時なんじゃ。お見通しだぞ。

●ヒナ 18:49
ヒメ様、待って下さいよ。私、甘木夏彦の大ファンなんですから、殺すなんてしないで下さい。読者は怒りますよ。
甘木夏彦は恋人にふられて日本を離れ、コロンビアの黄金郷に行っちゃう、ってことにはなりません?

●ヒメ 18:51
それはいいアイデアよね。『壬申の乱殺人事件』が終わったら、私は休業宣言をしてホビットさんのエルドラドに飛ぶつもりだったんだけど、甘木夏彦がコロンビアのジャングルに消えたことにすればいいのよね。

●カントク 18:53
ヒメはすぐに登場人物を殺してしまう専制君主だからなあ。
今回の『壬申の乱殺人事件』では、持統天皇に殺された天武天皇の皇子の大津皇子や、高市皇子の子の長屋王が登場するのかな?

●ヒメ 18:57
カントクって、「勘得」と呼ぼうかしら。相変わらず、さえているわよね。

●カントク 18:58
ところで、ヒメ、明日の予定はどうなっているの?

●ヒメ 18:59
ボクちゃん、貴方の提案を受けて、1日延期して大坂山口神社を見てこようと思うんだけど、他にどこを見たらいい?今は仕事中かな?

●ボク 18:60
当然ですよ。後ろには、怖い課長がいますよ。公僕と言えども、今どき、9時―5時ではありませんからね。仕事、仕事。
奈良市内からだと、大神神社を見て大坂山口神社へ回り、引き返して広瀬大社、伏見稲荷神社、日吉大社などを見てはどうでしょうか?

●ヒメ 18:63
もうすぐ長老も研究会が終わって夕食の約束をしていますから、緊急のミーティング、やりましょう。
●マル 18:64
秋の奈良か、いいなあ。私は今、佐賀から山口県長門市の湯本温泉にきています。これから、観光協会の人達と食事をして、そのあとで参加しますよ。
ヒメも、オタクっぽくパソコンに向かって古代史なんかやってなくて、飛火野あたりを散策して楽しんだらどうなのよ。いいわよ。

●ヒメ 18:66
采女と皇子達の恋をしのびながら、夜にでも長老と散歩してみましょうかしら。
ところで、ボクちゃん、広瀬大社って、スサノオにどう関係するの?

●ボク 18:68
広瀬大社の祭神は宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ:倉稲魂尊、おいなりさん)で、古事記ではスサノオと神大市姫との間に生まれ、大年神の弟とされています。
ただし、これらの神社はそんなに古いものではなく、仏教寺院の影響で創建されもので、仮にスサノオや宇迦之御魂神が実在したとしても、そんな古い時代のものではない、と考えていますが。

●カントク 19:03
若いのに、一言、多いなあ。正統派のボクちゃんの立場は分かっているからさあ、「ホント?」は封印して、データを集めようよ。
広瀬大社の名前は知っていたけど、どこにあるの?

●ヒナ 19:05
大阪山口神社から北東に6kmほどのところの、大和川の所にあります。法隆寺からすぐ南の、大和川の対岸です。
この地は、大和川、飛鳥川、蘇我川、佐保川などの合流点なので、奈良盆地の要となる場所だったと思われます。

●カントク 19:08
ヒナちゃん鋭いね。
大和川をさらに遡った三輪山のふもとの大神神社には兄の大歳神(大物主神)が祀られているのだから、弟がその入り口のところを守っていたことになるな。


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神話探偵団20 大坂のスサノオ

2009-02-20 10:31:39 | Weblog
大坂山口神社


●カントク 22:25
どうも、お主、日本書紀を信用しすぎではないかな?
大物主を祀る桜井市の「大神(おおみわ)神社」の祭神は、大物主大神で、配祀されているのが大国主と少彦名の神じゃ。大物主大神=大国主はありえないぞ。

●ヒナ 22:29
古事記は、協力して国造りをしていた少彦名が亡くなり、大国主が思い悩んでいた時に、海を照らして大物主が来て、私を三輪山に祀れば国造りに協力しよう、と申し出たとしているから、別の神と思います。
記紀は、大国主がスサノオの娘婿であるかのような書き方をしていますが、一方では、古事記はスサノオから大国主までの7代の代々の王の名前を載せています。また、日本書紀も「一書」は、「五世の孫」とも「六世の孫」としています。
スサノオの子の大歳=大物主の子孫は、代々、大物主を名乗り、三輪山の麓に拠点を構えており、その5代目が「大物主大神=大歳神」を大国主が祀ることを条件に、大国主の国造りに協力を申し出たのではないでしょうか。

●カントク 22:35
ヒナちゃんの推理、さすがじゃな。
同じように、スサノオの他の御子も代々、スサノオを名乗っていた可能性はないかな?大国主は根の堅洲国を訪ね、スサノオの娘のスセリ姫を娶ったことになっているが、初代スサノオ大神の5~6代後の王・スサノオの娘を娶り、後継者となったのじゃ。
夜も更けた。先に進もうぞ。

●ボク 22:39
大阪から、二上山の北側の丘陵を越える伊勢街道を通り、奈良盆地に入った大坂の地には、大阪山口神社があります。
伊勢街道を挟んで、南北に2つの山口神社があり、本家争いを行っていますが、北の山口神社の祭神は大山祇命、須佐之男命、神大市姫命(又は倉稻魂命)、南の山口神社は大山祇命、須佐之男命、天兒屋根命となっています。

●マル 22:39
歩くデータベース、さすがよね。
スサノオは大山祇命の娘の神大市姫命を娶り、大歳と倉稻魂命(宇迦之御魂神、稲荷神)を産んでいるから、大三島から金比羅、大坂と繋がってきたわね。
さらに、奈良盆地を横切ってちょうど真東に三輪山があり、大物主が祀られているのだから、大物主=大歳の可能性は高いんじゃない?

●ヒメ 22:43
今回、壬申の乱で書くつもりなんだけど、こっちの方が面白くなってきたわね。その山口神社に行ってみたくなったなあ。どの辺なの?

●ボク 22:45
奈良盆地で、二上山の北側あたりの丘陵、三輪山から真西を目指せば、カーナビなしでも行けますよ。ただ、神社は車では行きにくい古くからの住宅地の中にありますから、カーナビでも辿り着くのに苦労しますけど。

●カントク 22:48
この大坂から、箸墓まで、人々が一列に並んで手渡しで石を運んだ、という光景が目に浮かぶと思うよ。
それと、大坂を越えると推古天皇陵や聖徳太子の墓がある「近つ飛鳥」の地で、その北には応神天皇陵を始めとする古市古墳群があるよ。足を伸ばしみたら。

●ヒメ 22:52
ありがとう。長老、明日は車の運転、よろしくね。

●マル 22:53
沈思黙考している長老の話を聞きたいわよね。明日、ヒメと車の中でそっと話そう、なんて考えていないわよね。

●長老 22:54
酔っぱらいながら、面白いことを思いついたんだけど、調べて、次のミーティングには答えを出します。もう少し、考えさせて下さい。

●カントク 22:55
そろそろ、お開きにしようか。
くどいようだけど、ヒメと長老、またまた死体の第一発見者、なんてことにくれぐれも巻き込まれないようにしてね。ヒメの小説の中だけで十分なんだから。知らん顔して、無視、無視。

●マル 22:58
「猫に鰹節、ヒメに事件、長老に謎解き」よ。「カントクに火事」と同じじゃない。無理無理。

●ヒメ 22:59
皆さん、挨拶は抜きにしましょう。解散~。


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神話探偵団19 福山・大三島・金刀比羅のスサノオ

2009-02-14 16:16:06 | Weblog
福山市の素盞嗚神社


●マル 21:57 
前に、福山市の素盞嗚神社の茅の輪くぐりのことを言ったけど、吉備真備はこの素盞嗚神社から広峯神社にスサノオの神霊を移したとされているわよ。本家本元は、こちらじゃあないかしら。

●カントク 21:59
なるほど。京都の八坂神社の本家が姫路の広峯神社で、さらにその本家は福山の素盞嗚神社というわけか。

●マル 22:01
これも、前に言ったけど、スサノオが福山を通ったのは南海の王女を訪ねた帰り道、というので、この南海の王女というのは、古事記に出てくる愛媛県の大三島の大山祇神の娘の神大市比売だと思うのよ。
そして、スサノオと神大市比売の子が大歳で、古事記によれば、大和の三輪山に大物主として祀られており、ずっと繋がってくるのよね。

●ボク 22:06
「ずっと繋がって」というのは、ちょっと、話が飛躍していません?

●マル 22:07
もう歳だよね。前に何を言ったか、忘れてしまうのよ。繋がらないのは当然よね。

●カントク 22:08
貴女が「大歳」なのはわかっているからさ。先に進んでよ。

●マル 22:07
兵庫県に大歳神社が多いのは、スサノオと神大市比売、大歳がこの地域に足跡を残していたからじゃないかしら。
それと、香川県の「こんぴらさん」、金刀比羅宮も気になるのよね。祭神は大物主神だから、大物主=大歳だとすると、ここにも大歳の国があった可能性がでてくるよね。

●ボク 22:11
金刀比羅宮では、大物主=大国主として祀っていません?

●カントク 22:12
古事記の「大物主=大歳」をとるか、日本書紀の「大物主=大国主」をとるか。お主、どう考えるかのう。

●マル 22:14
金刀比羅宮では「大物主神は、この琴平山に行宮を営み、表日本経営の本拠地と定めて、中国、四国、九州を統治した」と言っているけど、もともとここは大歳の子孫の国であったのじゃあないかしら。
古事記では、少彦名命が亡くなったあと、大国主と大物主が力を合わせて国造りを行ったというのだから、大国主は同盟国のこの地を拠点とした、ということは十分に考えられるわよ。

●カントク 22:19
まるちゃんの推理、鋭いね。日向説と同じ結論なんだよね。
金刀比羅宮では大物主=大国主としているけど、大物主=大歳であった伝承に、大国主の伝承が重ねられ、大物主=大国主となってしまった可能性は十分にあるよね。

●ボク 22:23
神社がいつ頃できたか、という論争は後にとっておきますが、同時代の大物主と大国主の伝承が取り違えられる、といようなことはありえないんじゃありません?


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18 神社に祀られたスサノオ

2009-02-06 23:48:51 | Weblog
広峯神社の「御柱」を立てる場所





●ヒメ 080910 21:15
「犯人探し」のゲームは止めましょうよ。推理小説で犯人を作って、追いかけている私としては、オフにそういうのは疲れるのよね。しかし、今日、そばの長老が飲んでいるだけで静かなのは不気味なのよね。なんか怪しい。

●マル 21:18
別世界に入ってしまった長老はそっとしておきましょう。スサノオの剣を追って、吉備から大和にきたんだけど、他にスサノオの痕跡はないの?

●ボク 21:20
スサノオを祀る神社は、「日本火出初神社」とも呼ばれる出雲の熊野大社が一番古いのではないでしょうか。毎年10月15日に出雲大社で行われる新嘗(にいなめ)祭のための鑽火(きりび)祭では、熊野大社から出雲大社に燧(ひきり)の臼(うす)と杵(きね)を貸出し、火鑽(ひきり)神事が行われています。
スサノオは出雲の須我神社(雲南市)や、須佐神社(出雲市)、八重垣神社(松江市)などでも祀られています。さらに、全国各地の熊野神社、八坂神社、弥栄神社、盞嗚神社、天王社、津島神社、祇園神社、氷川神社などにも祀られています。
ただし、これらの神社の起源は、記録の上ではそんなに古くないと思いますよ。スサノオや大国主の時代よりはずっと後です。

●マル 21:35
私は須我神社が一番古いと思う。スサノオがヤマタノオロチを退治し、櫛名田比売と宮殿を建てたので「日本初宮」と言われていのよ。有名な「八雲たつ」歌を詠んだところなので、「和歌発祥の地」ともされているわよ。

●カントク 21:38
ちょっと、ちょっと、ちょっと。タッチ。はやる気持ちはわかるけど、バトルはデータを全部そろえてからにしようね。

●ヒメ 21:39
郷土自慢をしておきましょう。私の故郷の兵庫県姫路市の広峯神社を知ってます? スサノオを祀り、全国にある牛頭天王社の総本宮とされているのよ。京都で疫病が流行った時に、ここから有名な京都祇園の八坂神社が分社されているわよ。
創建は吉備真備なので新しいけど、『播磨鑑』によれば、崇神天皇の時に「神籬(ひもろぎ)」が建てられた、と伝わっているから、結構古いんじゃない。

●マル 21:44
「神籬(ひもろぎ)」があった、というのは、何か、証拠があるの?

●ヒメ 21:45
神社の正面の地面に穴が開けられており、柱を立てられるようになっていて、毎年11月15日には柱が立てられて「御柱祭」行われているのは、古い信仰を示しているのじゃあないかしら。この柱に祖先霊が降臨するとされているのよ。

●カントク 21:48
面白いねえ。日向氏は「神籬」は「霊(ひ)」が「洩(も)る木」と言っているよ。天上の天王の霊(ひ)が、降りてくる木が「霊洩ろ木」という説をとなえている。
マルちゃんの話だと、神社はスサノオの宮殿ということになり、ヒメの話だと、「神籬」があった場所に、ずっと後世に建てられた、ということになるよね。


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