ヒナフキンのスサノオ・大国主ノート

「神話探偵団~スサノオ・大国主を捜そう!」を、「ヒナフキンのスサノオ・大国主ノート」に変更します。雛元昌弘

連載中断のおわび

2011-11-24 09:28:24 | 歴史小説
皆様へ
 最後の残り仕事の報告書作成に集中するため、1~2週間、ブログを休ませていただきます。
 なお、ようやく「霊(ひ)の国史観」の全体像が固まってきたので、「霊(ひ)の国古代史研究所」というホームページを立ち上げ、これまでバラバラに書いてきた5つのブログの目次の掲載を進めています。
 現在、「霊の国:スサノオ・大国主命の研究」「霊(ひ)の国の古事記論」「神話探偵団」の3つをアップし、残りも数日中に完成したいと思っています。
前著『スサノオ・大国主の日国 霊の国の古代史』や、ブログ相互に矛盾するところが出てきていますが、真実に到達するためには、いくつもの仮説を立てて検証しなければならない、と考えております。
 そして、最後に日中の文献、考古学の成果、神社伝承などの全体を矛盾なく説明できる統一仮説によって、古代史の全体を解明したいと考えています。

2011年11月24日
                                日南虎男(日向勤)
<「霊(ひ)の国古代史研究所」のアドレス>
http://www.geocities.jp/hinatsutomu/

<「霊(ひ)の国古代史研究所」の序文>
 高天原神話を絶対視した戦前の「皇国史観」、記紀の神話編を全て無視した戦後の「反皇国史観」に対し、第3の古代史フレーム(パラダイム)として「霊(ひ)の国史観」に基づく「スサノオ=大国主一族による建国」を研究するホームページです。
 2009年3月に『スサノオ・大国主の日国 霊の国の古代史』(梓書院)を上梓し、その頃から、並行して5つの古代史ブログを書いてきましたが、ようやく全体像に迫ってきましたので、このHPを開設し、次の5つの古代史ブログの目次を紹介したいと思います。

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神話探偵団124 「ひな」は「霊(ひ)」が留まるところ

2011-11-22 00:10:42 | 歴史小説
稲を鹿の血に撒いた玉津日女命の話が出てくる讃容郡(現佐用市)の日名倉山

「しかし、生理が流産と同じで、霊(ひ)が流れる、霊(ひ)=血って考えた古代人は、ずいぶん科学的よね」
 ヒメの母上は、やっぱり発想がヒメと同じで、時空を超えて考えている。
「私もそう思います。ヒメとお母様と親子がそっくりなのは、今だと、DNAが受け継がれた、と説明できますが、古代人は霊(ひ)が受け継がれる、と考えたんだと思います」
 若いヒナちゃんも大胆になってきた。
「だけど、男親に似る子と、女親に似る子がそれぞれいるというのはどう考えたのかしら。女性のあそこだけが『ひ』『ひな』というのもおかしいわよね。『血=霊(ひ)』というなら、男性の霊(ひ)はどうなるのかしら?」
 ヒメはいつもながら、容易に納得はしない。
「男の精液も血=霊(ひ)と考えられていたのではないかな? 男女の霊(ひ)が合体する、というように考えたと思うよ」
 長老はさらりと返した。
「そうだと、女性のあそこだけが『ひ』『ひな』というのは、おかしいんじゃない?」
 ヒメは引き下がらない。
「そこまで考えてはいなかったけど、女性のあそこは、もともとは『ひ』じゃあなくて、『ひな』だったんではないかな?『霊(ひ)』が合体して留まる場所、ということで、『ひな』だと思うな」
 長老が話すとエロチックな話も自然になってくる。
「沖縄や鹿児島が『ひー』で、熊本や栃木・茨城が『ひーな』『ひな』だと、『ひー』の方が先にあった言葉と思うけどな」
 邪馬台国九州説バリバリのカントクは、文化は西から東へ進むと思いこんでいる。
「そもそも『な』って、どういう意味なの?」
 ヒメの質問は高木の疑問と同じであった。
「大国主の別名が『おおなむち』と呼ばれ、博多の古名が『那津(なのつ)』であったことや、『奈良』の地名、『鼻(はな)』『彼方(かなた)』『此方(こなた)』『那返(なへん)』の言い方などからみて、『な』は『場所、土地、ところ、国』などの意味があったのではないでしょうか?」
 どうやら、ヒナちゃんはそこまで考え抜いていたようだ。
「霊(ひ)がとどまる場所だから、女性のあそこを『ひな』というのは当然よね。しかし、生理中の女性を遠ざけた、というのはけしからんことよね」
 ヒメの母上は、半分は納得したようだ。
「古代人、縄文人と言ってもいいと思いますが、女性は妊娠して子どもを産むから、尊敬されていたのだと思います。ところが、霊(ひ)が合体しても、子どもが生まれない、霊(ひ)が流れてしまった生理というのは、流産と同じで不吉なこととされたのではないでしょうか?」
 ヒナちゃんはぶれない。
「要するに、霊(ひ)=血は神聖だけど、流れてしまった霊(ひ)は不浄とみなされた、と言うことよね」
 マルちゃんがまとめに入ってきた。
「動物の血で稲を発芽させる、田に血を播いて稲を育てるってことは、女性の子宮に精液=血を撒く、ということと同じだった、ということなね」
 ヒメの母上は、ヒメの推理、類推よりも鋭い。高木は親子の霊(ひ)の法則を強く感じたのであった。
「それって、縄文なのかしら、それとも、弥生時代に中国から入ってきた考えなのかしら?」
 ヒメは母親を超えて、疑問を持つ領域幅が大きい。
「縄文人の霊(ひ)思想があって、そこに稲作が入ってきた時に、田んぼを子宮と同じように考えたので、動物の血を播く、という発想になったのだと思います」
 ヒナちゃんがそこまで考えていたとは、高木は脱帽する他なかった。

※文章や図、筆者撮影の写真の転載はご自由に(出典記載希望)。
※日向勤著『スサノオ・大国主の日国―霊の国の古代史』(梓書院)参照
※参考ブログ:邪馬台国探偵団(http://yamataikokutanteidan.seesaa.net/)
       霊の国:スサノオ・大国主命の研究(http://blogs.yahoo.co.jp/hinafkinn/)
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       帆人の古代史メモ(http://blog.livedoor.jp/hohito/)
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神話探偵団123 「霊(ひ)」と「日」と「火」

2011-11-12 14:29:08 | 歴史小説
たつの市の日山に祀られている天照国照天彦火明命を祭神とする粒坐天照神社

「確かにね。血が再生の力を持っているのに、生理中の女性が遠ざけられた、というのはどういうことかね」
 カントクはいつものように、女性の発言にはすぐにオウム返しで同調する。
「出雲では、女性が妊娠すると『霊(ひ)が留まらしゃった』と言います。一方、生理は、霊(ひ)が流れた、のと同じと考えられ、タブー視されたのではないでしょうか?」
 カントクの「オウム返し」と較べて、ヒナちゃんはいつも見事な「ツッコミ返し」である。
「そういえば、茨城では『ひがえり』と言っていたけど、霊(ひ)が女性のお腹の中に留まらないで天に帰る、ってことになるわよね」
 マルちゃんは、全国各地のことに一番詳しい。
「沖縄や鹿児島では、女性の性器を「ひー」と言うんだな。熊本では「ひーな」だけど、これも霊(ひ)からきているのかもしれないな」
 カントクは九州に詳しい。
「そういえば、栃木県や茨城県では女性のクリトリスを『ひなさき』というよね。『ひな』が女性の性器を指すとしたら、クリトリスは『ひな』の先、先端ということになるわね」
 酔ってきているので、マルちゃんは大胆になってきた。
「平安時代の和名類聚抄では、吉(きち)と舌(した)の漢字で、『ひなさき』と読ませています。他には雛人形の雛と尖端の尖の字や先の字を組み合わせて、『ひなさき』に当てています」
 ヒナちゃんはお酒ですこし赤くなった顔で平然と言ったが、高木はヒナちゃんのヌード姿が思わず浮かんできて、気が気ではなかった。
「角林文雄氏は『アマテラスの原風景』という本で、『霊(ひ)が留まる』から人(ひと)になり、霊(ひ)が留まって生まれた子どもが『霊(ひ)子』であり『霊(ひ)女』である」という説を述べていたけど、『ひー』や『ひーな』、『ひなさき』については知らなかったなあ」
 長老にとっても、新しい発見のようだ。
「これまで、『ヒナちゃん』と気易く言っていたけど、熊本や栃木・茨城ではこれからは呼びかけにくくなるなあ」
 カントクらしいカバーだ。
「いいじゃない。雛人形だって、これからは色っぽくなって楽しいわよね」
 いつもながら、ヒメの発想はゼ~ンゼン論理的ではないが、ツボは外していない。
「竜野の実家から南に少し下った御津町に『雛山』という小さな山があるし、実家のすぐ南にはたつの市のシンボルの『日山』って山があるけど、エロチックでいいわよね」
 ヒメの母上は、ヒメと発想がそっくりで驚いてしまう。
「明日、その『雛山』と、『日山』の麓の天照国照天彦火明命を祀る粒坐天照神社(いいぼにますあまてらすじんじゃ)も訪ねる予定なんですよ」
 高木は明日の予定を紹介した。
「それじゃあ、弟の義輝に案内させますよ。私たちが通った竜野高校の隣ですからね。樹、あとで私からといって、電話しておいてね」
 あまりにもうまく話がつながるので、高木は正直、びっくりしてしまった。
「太陽の『ひ(日)』と燃える『火』の『ひ』、祖先霊の『霊(ひ)』、この3つの関係について、出雲国造家の末裔で出雲大社宮司の千家家は、『日』と『火』は『霊(ひ)』である、と述べているけど、今日のみなさんの話でますます面白くなってきたなあ」
 長老がえらく乗ってきたのは、酒のせいだろうか。


※文章や図、筆者撮影の写真の転載はご自由に(出典記載希望)。
※日向勤著『スサノオ・大国主の日国―霊の国の古代史』(梓書院)参照
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神話探偵団122 「猿と犬と鶏」は霊(ひ)を運ぶ神の使い

2011-11-01 16:16:25 | 歴史小説
出雲市の西谷3号墓:200年頃に作られた四隅突出方墳の説明文。墓には朱が敷き詰められ、墓上に4本柱の建物を建てて祭祀が行われていた。


「そういえば、日本人は猿や犬を食べないわね。中国や韓国、インドや東南アジアの人々が食べるのに不思議だわね。向こうに旅行にいくとびっくりするわね」
 どうやら、何にでも疑問に持つヒメの遺伝子は、母親譲りのようだ。
「大山咋(オオヤマクイ)神を祀っている、比叡山、元は日枝山の麓の日吉大社では、猿は神の使いよね」
 マルちゃんは大津市の仕事もしたことがあるようだ。
「そういえば、前に、幼名を日吉丸といった豊臣秀吉は、この日吉大社につながりがあることもあって、猿と呼ばれた、というような話があったなあ」
 カントクはよく覚えていた。
「三輪山の麓の大神大社は、『大神(おおかみ)』と書いて、『おおみわ』と読ませるのが不思議だったけど、犬の先祖は『狼(おおかみ)』よね」
奈良を舞台にした推理小説を書いているヒメは奈良をよく知っている。
「山に住む狼は、山頂に降り立った祖先霊=大神を運ぶ動物だから、『大神』と言われるようになった、というのを聞いたことがあるなあ」
 カントクも乗ってきた。
「天理市にある石上神宮では、鶏が神の使いになっていたわよ」
 マルちゃんは全国で仕事をしているので、各地の神社には詳しい。奈良県の葛城生まれであったが、高木は狼や鶏など考えてもいなかった。
「675年、天武天皇は4月から9月の間、牛、馬、犬、サル、鶏を食べることを禁止している。牛と馬は農作業に欠かせないからわかるが、犬とサル、鶏を食べることを禁じているのは、これらの動物が神の使いと考えられていたからではないかな。ヒナちゃんは、当然、知っていたと思うけどね」
 専門家だけあって、長老は詳しい。
「桃太郎の家来が、犬とサルと雉なのも、関係ありそうだわね」
 ヒメの母上は、ヒメと同じで、いろんなものを結びつけてくる。
「強い鬼、祖先霊に守られた王と戦うために、桃太郎は犬とサルと雉に、自分の祖先霊を運ばせて、一緒になって戦った、ということなのね」
 ヒメの推理のテンポは早い。
「神社の入り口に鳥居が置かれているのは、ここに祖先霊を運ぶ鳥が留まる場所と考えられていたからだと思います。問題は、猿がなぜ神の使いになるのか、ずっと謎でしたが、播磨国風土記でその謎が解けたんです」
 ヒナちゃんは出雲生まれだが、播磨国風土記から多くのヒントをえていたようだ。高木は、これまで1地方の播磨国風土記なんて気にも留めていなかったけど、播磨国風土記は古代史の謎を解く鍵になるかも知れない、と思うようになってきた。
「なるほど。猿の顔が赤くなることから、猿が霊(ひ)の世界の動物とされた、というわけなんだな」
 カントクも納得したようだ。
「緋色は火の色ではなく、霊(ひ)の色、霊界の色だったというわけね」
 ヒメの母上にとって、これからはスカーレットは、血の色のイメージになりそうである。
「古墳から丹が大量に発見されるのは、王の死体が血の上に置かれ、血を降りかけられた、ということだと思います」
 ヒナちゃんの推理には無理がない。高木も同じ事を考えていた。
「鹿や猪の血で、稲を発芽させ、育てる、という発想と同じ、赤色は再生の意味があるということね。カグツチの血や死体から多くの神が生まれた、という神話と同じだなあ」
 ヒメは推理小説の新しい発想を考えついた時の、いつもの顔をしている。
「死体を治める棺を『ひつぎ』というのは、『霊(ひ)を継ぐ入れ物』というヒナちゃんの説は、棺の中に丹が撒かれていた、ということで納得できたね」
 カントクはいつも女性の意見には真っ先に同調するが、今回は心底、納得したようだ。
「しかし、そうなると、女性の生理が忌み嫌われた、というのはどうなるのかしら?」
 ヒメの母上は、ヒメと同じで突っ込みが鋭い。

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※日向勤著『スサノオ・大国主の日国―霊の国の古代史』(梓書院)参照
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       帆人の古代史メモ(http://blog.livedoor.jp/hohito/)
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