ヒナフキンのスサノオ・大国主ノート

「神話探偵団~スサノオ・大国主を捜そう!」を、「ヒナフキンのスサノオ・大国主ノート」に変更します。雛元昌弘

スサノオ・大国主ノート147 出雲大社を中心とする「八百万神(やおよろずのかみ)信仰」の世界遺産登録へ

2023-03-27 16:35:39 | スサノオ・大国主建国論

 

1.日本の宗教施設の世界文化遺産登録

 わが国の宗教施設の世界文化遺産としては、次のものがあります。

 神道系7、仏教系6,キリスト教系1となっていますが、縄文時代から続くわが国の根本宗教である「霊(ひ)信仰」(神名火山(神那霊山)・神籬(霊洩木)崇拝など)を受け継いだ「八百万神信仰」の拠点となる出雲大社を中心としたスサノオ・大国主系の神社がすっぽりと抜け落ちています。

 

2.世界遺産の登録基準を満たす「八百万神(やおよろずのかみ)信仰」

 「八百万神信仰」とその宗教施設は世界遺産登録の次の4つの基準を満たします。

 具体的には、施設としては出雲大社(出雲市)・神魂神社(松江市)・熊野大社(松江市)等、宗像大社・志賀海神社・住吉神社・麻氐良布神社・海神神社(和多都美神社)・月読神社等、広峯神社(姫路市)、大神神社(桜井市)、伏見稲荷・八坂神社(京都市)、日吉大社(大津市)、津島神社・熱田神宮、諏訪大社(諏訪市・茅野市等)、氷川神社(さいたま市)などが、施設配置としては神名火山(神那霊山)と神社を結ぶレイラインが、行事としては出雲の神在祭を中心とした「八百万神」の「霊(ひ)信仰」の各種行事(神名備山信仰、お山・山車・神輿神事、御柱祭など)が対象となります。

    

 

3.「八百万神(やおよろずのかみ)文化」の世界遺産登録の意義

「八百万神信仰」の世界遺産登録には次のような意義があります。

① 土器(縄文)時代から続く「霊(ひ:祖先霊)信仰」「神名火山(神那霊山)信仰」を今に伝える宗教であり、「人・彦・姫・卑弥呼」を「霊(ひ)人・霊(ひ)子・霊(ひ)女・霊(ひ)御子」とし、霊(ひ:いのち=DNA)を繋ぐ生命体ととらえる「霊(ひ)継ぎ」を大事にする生命尊重世界の実現に寄与します。

           

② 「八百万神信仰」は猿や犬、鶏、白鳥、鹿、蛇、海蛇などの動物を神の一族とし、霊(ひ)を運ぶ使いとする宗教であり、生類愛をはぐむ伝統宗教として、生類愛の生物多様性社会の実現に寄与します。

③ 縄文時代からの海人族の妻問・夫招婚の母父系社会(家の継承は母系制、水産・交易活動は父系制)から生まれた、霊(ひ)を生む女性を神とする宗教であり、男女平等社会の実現に寄与します。

④ 「死ねば誰もが神となる」という「八百万神信仰」は、一神教の優生思想・選民思想による「宗教戦争・宗教支配」とは無縁であり、全ての死者を「八百万神」の一員として考える、神々の平等と世界平和の実現に寄与するものです。

 

4.「八百万神(やおよろずのかみ)信仰」の世界遺産登録運動の推進

① この「八百万神信仰」の施設・行事の世界登録運動は、一神教以前に世界に普遍的に存在した、死ねば誰もが神になりその霊(ひ)が子孫に祀られ、霊継(ひつぎ=命のリレー)が何よりも大事にされる多神教を世界にアピールする取り組みです。

② これまで、上賀茂神社・下鴨神社、厳島神社、日光二荒神社、熊野本宮大社、浅間大社、宗像大社が個別に世界遺産登録されていますが、その宗教的な意味を明らかにするために、出雲大社を中心に他のスサノオ・大国主系の神社や宗教行事、祭りなどを「八百万神宗教」として登録すべきと考えます。

③ 進め方としては、各神社の理解をえるとともに、出雲市民をはじめ全国の賛同者が世論を盛り上げるべきと考えます。「八百万神研究会」、「八百万神シンポジウム」、「八百万神観光ルート」づくりなどによる世論形成が考えられます。各地のまちづくり団体やアカデミズム、マスコミへの働きかけも重要です。

④ 一定の機運ができてくれば、市町村・府県の「世界遺産登録推進協議会」の結成が課題となります。

⑤ シンボルプロジェクトとしては、縄文巨木建築の伝統を受けついだ48mの古代出雲大社神殿の復元が考えられます。

     

□参考□

<本>

 ・『スサノオ・大国主の日国(ひなのくに)―霊(ひ)の国の古代史―』(日向勤ペンネーム)

 ・『邪馬台国探偵団~卑弥呼の墓を掘ろう~』(アマゾンキンドル本)

<雑誌掲載文>

 2012夏「古事記」が指し示すスサノオ・大国主建国王朝(『季刊 日本主義』18号)

 2014夏「古事記・播磨国風土記が明かす『弥生史観』の虚構」(前同26号)

 2015秋「北東北縄文遺跡群にみる地母神信仰と霊信仰」(前同31号)

 2017冬「ヒョウタンが教える古代アジア”海洋民族像”」(前同40号)

 2018夏「言語構造から見た日本民族の起源」(前同42号)

 2018秋「『龍宮』神話が示す大和政権のルーツ」(前同43号)

 2018冬「海洋交易の民として東アジアに向き合う」(前同44号)

 2019春「漂流日本」から「汎日本主義」へ(前同45号)

<ブログ>

  ヒナフキンのスサノオ・大国主ノート https://blog.goo.ne.jp/konanhina

  帆人の古代史メモ          http://blog.livedoor.jp/hohito/

  ヒナフキンの邪馬台国ノー      http://yamataikokutanteidan.seesaa.net/

  霊(ひ)の国の古事記論       http://hinakoku.blog100.fc2.com/

  ヒナフキンの縄文ノート       https://hinafkin.hatenablog.com/


スサノオ・大国主ノート146 古代出雲大社復元に取り組んだ馬庭稔君逝く

2023-03-23 12:55:45 | スサノオ・大国主建国論

 同窓会の案内の続きかと思ったメールで、同期生の馬庭稔君が3月16日に急逝されたことを知りました。なんとも悲しく、残念でたまりません。

 2020年春には出雲に行き、スサノオ・大国主建国論や八百万神信仰の世界遺産登録などを話し合いたいと新年に入って約束していたのですがコロナでダメになり、そのままで過ごしてしまったことが悔やまれます。

 馬庭君は建築史を専攻して京都・出雲・東京に設計事務所を開き、住吉大社造を始めとする神社・寺社建築や宗教施設、公共施設などの設計で多くの功績を残し、出雲の古代史では京大建築学科同期生では一番詳しいと自負し、出雲では高齢者福祉施設や保育所を経営する郷土愛にあふれる方でした。

 私が『スサノオ・大国主の日国(ひなのくに)―霊(ひ)の国の古代史―』の原稿を書いた時には読んで「間違いない」と出版を後押ししてくれ、屋根などの大改修中の出雲大社や西谷古墳群などを案内していただいたこともありました。その後もスサノオ・大国主建国論の研究を私が続けることになったのは彼のおかげです。

   

 また、馬庭君は福山敏男京大名誉教授と大林組プロジェクトチームによる48mの古代出雲大社復元に取り組むという出雲古代史において大きな成果を残しました(『古代出雲大社の復元―失なわれたかたちを求めて』)。

        

 しかしながら、私は縄文巨木建築と吉野ヶ里・原の辻遺跡の楼観から、出雲大社本殿の金輪御造営差図に書かれた「引橋長一町」は馬庭君が想定した「直階段(階:きざはし)」ではなく日本書紀に書かれた「高橋(桟橋)+浮橋(浮桟橋)」であり、外階段ではなく内階段との結論に達したので、私が書いたものを彼に送り、この4月には議論したかったのですが果たせないままになってしまいました。

 もしあの世があるなら彼と酒を飲みながら議論したいところですが(雛元はしつこいなあ、と言われそうですが)、馬庭君とやりたかった「八百万神信仰」の世界遺産登録へ向けて、48mの古代出雲大社の現地復元を提案し続けたいと思います。

 

<参考ブログ>

①ヒナフキンの縄文ノート(はてなブログ)

 ・33 「神籬(ひもろぎ)・神殿・神塔・楼観」考(200731・0825・0903→1226)

 ・50 縄文6本・8本巨木柱建築から上古出雲大社へ(210208)

②ヒナフキンのスサノオ・大国主ノート(gooブログ)

・140 縄文建築から出雲大社へ:玉井哲雄著『日本建築の歴史』批判(221024)

・141 出雲大社の故地を推理する(221027)

・145 岡野眞氏論文と『引橋長一町』『出雲大社故地』(230110)


「縄文ノート161 絵文字・記号・シンボルー『謎の記号 祖先からのメッセージ』から」の紹介

2023-03-04 18:24:43 | 縄文文明

 はてなブログに「縄文ノート161 絵文字・記号・シンボルー『謎の記号 祖先からのメッセージ』から」をアップしました。https://hinafkin.hatenablog.com/

 縄文土器の表面の造形について、「縄文ノート22 縄文社会研究会八ヶ岳合宿報告」において「9.『縄文Emoji(絵文字)説』」として、日本発の「Emoji(絵文字)」が今や世界標準となっていることから、線画による絵物語や浮世絵・劇画・アニメ文化が縄文時代から続く「象形文字の前段階の絵文字」の伝統を受け継いでいるのではないか、との仮説を提起しました。

 今回、山下フルーツ農園の絵文字と、コズミックフロント「謎の記号 祖先からのメッセージ」から、「絵文字」を「記号(サイン)」と「シンボル」に分けて整理するとともに、西洋中心史観(男中心史観・肉食進化説・戦争進化説・一神教史観)からの解釈ではなく、アフリカ・東洋中心史観の「女子ども中心史観・イモ魚介食進化説・共同体進化説・霊信仰史観」からの解釈を提案しました。

 本ブログの「スサノオ・大国主建国論」としても、出雲で生まれたスサノオや筑紫で生まれた異母弟の月読(暦製作を行っていたと考えます)たちが、縄文絵文字社会からどのように漢字を受け入れ、後漢・新羅と外交・交易を行うとともに、倭音倭語にどう利用していったのかを考える参考にしていただければと思います。 雛元昌弘

 

□参考□

<本>

 ・『スサノオ・大国主の日国(ひなのくに)―霊(ひ)の国の古代史―』(日向勤ペンネーム)

 ・『邪馬台国探偵団~卑弥呼の墓を掘ろう~』(アマゾンキンドル本)

<雑誌掲載文>

 2012夏「古事記」が指し示すスサノオ・大国主建国王朝(『季刊 日本主義』18号)

 2014夏「古事記・播磨国風土記が明かす『弥生史観』の虚構」(前同26号)

 2015秋「北東北縄文遺跡群にみる地母神信仰と霊信仰」(前同31号)

 2017冬「ヒョウタンが教える古代アジア”海洋民族像”」(前同40号)

 2017冬「スサノオ・大国主建国論1 記紀に書かれた建国者」(『季刊山陰』38号)

 2018夏「スサノオ・大国主建国論2 「八百万の神々」の時代」(『季刊山陰』39号)

 2018夏「言語構造から見た日本民族の起源」(『季刊 日本主義』42号)

 2018夏「スサノオ・大国主建国論3 航海王・スサノオ」(『季刊山陰』40号)

 2018秋「『龍宮』神話が示す大和政権のルーツ」(『季刊 日本主義』43号)

 2018冬「海洋交易の民として東アジアに向き合う」(前同44号)

 2019春「漂流日本」から「汎日本主義」へ(前同45号)

<ブログ>

 ヒナフキンの古代史メモ    http://blog.livedoor.jp/hohito/

 ヒナフキンの邪馬台国ノート  http://yamataikokutanteidan.seesaa.net/

 ヒナフキンの縄文ノート    https://hinafkin.hatenablog.com/

 霊(ひ)の国の古事記論    http://hinakoku.blog100.fc2.com/