ヒナフキンのスサノオ・大国主ノート

「神話探偵団~スサノオ・大国主を捜そう!」を、「ヒナフキンのスサノオ・大国主ノート」に変更します。雛元昌弘

神話探偵団62  「高天原」は地上の物語

2009-08-25 15:50:49 | 歴史小説
「黄泉の穴」とされる平田市の「稲目洞窟」
(右下の舟置き場の浜から奥に続いている)

●ボク 20:11
ちょっと、ちょっと待って下さい。
「アマテラスが岩屋に籠もった」というのは、単に抗議のための「引きこもり」ということも考えられますよね。

●カントク 20:14
「アマテラス隠れんぼ説」とは面白いな。
しかし、記紀と同時代に書かれた万葉集では、「籠もる」「雲隠る」は貴人の挽歌に使われておる。

●ヒナ 20:16
万葉集では、皇族の死を「岩戸を開き、神上がり」「岩戸立て、隠り」とも表現していますから、岩戸は石室を表していると思います。
「天の岩屋」神話は、横穴式石室が北九州で4世紀後半に生まれた後にできた物語、というのが通説です。

●ボク 20:19
イヤナギが黄泉の国から逃れ出た時に、出口を岩で塞いだ、という表現はどうなりますか。地底の洞窟から地上に出てくる物語と思いますが。

●マル 20:21
「出雲国風土記」の「黄泉の穴」は出雲市の裏山を越えた海岸にある「稲目洞窟」というので見てきましたよ。「夜、この洞穴を夢で見たものは死ぬ」とされ、多数の人骨が出土したそうだけど、入り口は広々としてたわよ。

●カントク 20:24
「黄泉がえり信仰」の時代には、入り口を岩で塞ぐという宗教思想はないんじゃないかな。死の国を岩で塞ぐというのは、横穴式石室が作られるようになってから以後の表現じゃ。

●ヒナ 20:26
イヤナギやスサノオ、大国主の時代は、墳丘墓に上から穴を掘って木棺や石棺を埋め、土をかぶせる埋葬方法です。まだ、石室はありません。

●ボク 22:28
卑弥呼が死んだとき、「殉葬者百余人」というのは、どうなります?

●ヒナ 20:29
死者は大地に帰り、そこから生命が生み出されるという「黄泉がえり」の宗教、地母神信仰からは、殉死や殉葬はでてこないと思います。地下で王が生前と同じように暮らすという思想が中国から入ってきたのだと思います。

●ヒメ 20:32
アマテラスの高天原は地上の物語、ということでいいわよね。
いよいよ、ホビットさんお待ちかねの、高天原探しに移りましょうよ。

●ボク 20:34
イヤナギから、アマテラスは高天原、月読は「夜食国(よるのおすくに)」、スサノオは「海原」を支配することを命じられます。

●ヒメ 20:36
地上の支配者はいないのね。やっぱり、高天原は地上にあることになるわよね。

●ボク 22:37
スサノオは長いヒゲが生えるようになっても、母の「根堅州国」(出雲)へ行きたいと泣き叫び、イヤナギから「この国に住むべからず」と追放されます。そこで、スサノオは、姉と話をつけようと、高天原に上ります。

●カントク 20:40
「天上がり決死隊」じゃな。アマテラスは、「わが国を奪おうと欲している」と弓矢で武装し、迎え撃った。

●ヒナ 20:42
「筑紫の日向の橘」からスサノオが上った時に、「山川がことごとく動き、国土が皆震えた」というのですから、地面を踏みならして軍勢が山を登った様子を表しています。天空へ飛んで上がった様子ではありません。

●ホビット 20:45
そうすると、「筑紫の日向の橘」の背後の山を登ったところに高天原はある、ということになりますね。「高天原」は、「天(あま)」の「高原」で決まり、ですね。

●ヒメ 20:47
「高天原」へようこそ。ようやく見つけてくれましたね

●カントク 20:48
ヒメの『邪馬台国殺人事件』の現場にたどり着いたようじゃな。
「天」は甘木じゃ。その「日向(ひな城)」の背後には、前に佐田川が流れる「高原」がある。今は、「美奈宜の杜」という美しい住宅団地とゴルフ場になっておるが、旧甘木市一帯を見下ろす高原じゃ。

●ヒメ 20:52
懐かしいわよね。寺内ダムができていて、標高100mを越える高台があり、ざっと100haはあるかしら。そこから、秋月まで含めるとその何倍あるかしら。まさに「高天原」といえる高台なのよ。

●マル 20:55
私も久留米の仕事のついでに見てきました。日本書紀では、神功皇后は荷持田(のとり)村にいた羽白熊鷲を討ったとされているけど、この高台には「似鳥」、秋月の「野鳥」という地名があり、高台の下は「荷原(にないばる)」というのよ。
「羽白(はしろ)=羽城=杷木」の熊鷲王の拠点は、この高原に置かれていたに違いないわ。


(ネタモトは日向勤氏の『スサノオ・大国主の日国―霊の国の古代史』(梓書院)です)

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神話探偵団61  大国主は「黄泉がえり信仰」から「霊継ぎ信仰」への過渡期の王

2009-08-16 07:45:06 | 歴史小説
出雲市の四隅突出型墳丘墓の西谷3号墓(墓には屋根が掛けられていた)

●長老 19:46
元にもどるが、イヤナミ・スサノオの「黄泉がえり」神話の時代、大地と地上を結ぶ地母神信仰の時代と、卑弥呼の霊(ひ)信仰=鬼神信仰=鬼道の時代とは時代が異なる、という着想は面白い。大国主神話はどうなるのかな?

●ヒナ 19:49 
大国主は兄弟八十神によって2度殺されますが、母が天上に参上して神産巣日之命(日本書紀では神産霊神)に頼んで生き返らせます。また、大国主は「根の堅州国」にスサノオを訪ね、スセリ媛をえて黄泉比良坂(揖屋)から地上に出てきたことになっています。

●マル 19:52 
大国主神話は、「黄泉がえり信仰」の時代から、天上の「霊(ひ)信仰」の時代への過渡期の王ということになるわね。

●長老 19:54
アマテラス神話はどうなの?

●ヒナ 19:55
「高天原」の天上の物語と、「高天原」の岩屋に隠れ、そこから復活するという物語からなっていますから、「黄泉がえり信仰」も含まれると思います。

●長老 19:57
「黄泉がえり」は違うんじゃないかな。
アマテラスが岩屋に籠もったということは、死んで葬られたことを意味する。その墓の前で歌や踊り、宴会のにぎやかな葬式が行われたことが、アマテラスの死を示している。
その後、次の女王、アマテラス2世、「大ヒルメ」の次の「小ヒルメ」への「霊継ぎ(ひつぎ)」の儀式が行われたという神話ではないかな。

●マル 20:03
天の岩屋戸神話は、「黄泉がえり信仰」か「霊継ぎ信仰」か、決め手になる他の証明はないの?

●カントク 20:04
天の岩屋戸神話は、天上の物語のはずじゃ。地上と地下の黄泉の国が繋がっているという地母信仰は分かるが、天と地下の黄泉の国が繋がっている、というのは、宗教観念としてありえないのではないかな。

●ヒメ 20:07
「天地人」ドラマならぬ、「天地黄泉」ドラマが盛り上がってきたわね。
「高天原」に「黄泉の国」と繋がる「天の岩屋」があったということは、「高天原」は地上にあった、ということにならない。
それと、天上の神もまた死ぬということは、地上の物語だよね。

(ネタモトは日向勤氏の『スサノオ・大国主の日国―霊の国の古代史』(梓書院)です)

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神話探偵団60 「筑紫の日向」の祖先霊は大国主

2009-08-10 07:30:34 | 歴史小説
「大己貴神社」(筑前町三輪町弥永:甘木市街地の西)

●ボク 9月27日(土) 10:00
皆様、おはようございます。次回の予定ですが、10月1日(木)、2日(金)、3日(土)の 19:00でいかがでしょうか?いい日をメール下さい。高木

●ボク  9月27日(土) 23:00
皆さんの希望者日から、次回は10月3日(土)19:00になりました。
ヒメ様の指示で、ヒナちゃんと私は、18:00から卑弥呼で10月12・13日(土日)の姫路でのミーティングの準備打ち合わせをします。どなたでもご参加下さい。



●ヒメ 10月3日(土)19:00
ボクちゃんとヒナちゃん、打ち合わせご苦労様でした。他にもそちらに集まっているの?

●マル 19:01
こういう機会は逃さないカントクと私が、今、「卑弥呼」に到着したところです。ヒメも来ませんか?

●ヒメ 19:02
姫路に行くために、原稿を書き進めているところなのよ。残念だけど、失礼するわ。
前回から、「黄泉がえり殺人事件」のイメージが膨らんできてるわよ。舞台は映画『黄泉がえり』の「火(ひ)の国」ではなく、「霊(ひ)の国」出雲。主人公は、同じ草薙君ってとこかな。

●カントク 19:05
「桃太郎伝説殺人事件」に「黄泉がえり殺人事件」か。この探偵団で一番トクをするのはヒメじゃあないかな?

●ヒメ 19:07
探偵団で見つけたお宝はみんなの共同財産です。カントクは草薙剛君の主演で映画化を追及してよ。長老とヒナちゃんは学会論文、マルちゃんはスサノオでまちづくり、ホビットさんは邪馬台国発掘、ボクは予算を獲得する、みんなで共同財産を増やしましょう。

●ボク 19:10
なんか、僕だけはトクするというより、皆さんをお手伝いする役になってません?

●カントク 19:11
君の素晴らしい人柄は、みんなが認めておる。映画化後援や発掘予算・イベント予算どり、忙しいぞ。

●ボク 19:12
すみません。せっかく盛り上がっているのに蒸し返すようで悪いんですが、神功皇后は卑弥呼や斉明天皇をモデルにして、後世に創作された人物、という説も有力ですよね。

●カントク 19:14
せっかく誉めておるのに、そんなことを言っておると、「ボク」から「ボンクラ」に格下げになるぞ。嘘の法則を忘れておる。「嘘はもっともらしい」もんじゃ。
神功皇后の物語を創作するなら、「兵が集まらなかったので、大三輪社を甘木に建てて、大物主(大己貴)を祀ったら兵が集まった」というようなみっともない話になるかな?

●マル 19:18
「香椎宮で号令をかけたところ、皇后を慕って自ずと兵が集まった」、とした方が天皇家の権威を高めることになるわね。

●カントク 19:20
この地には、神功皇后が建てたと伝わる大己貴神社(大国主=大己貴:おおなむち)がある。

●ヒナ 19:21
甘木で神功皇后が「羽白熊鷲」を討った、という話には、リアリティがあります。羽白(はしろ)=羽城(はき)に対応した杷木(はき)の地名や、「羽白熊鷲」の拠点の「荷持田村(荷持=能登利:のとり)」の地名に対応した「似鳥」「荷原(にないばる)」「野鳥」の地名もあります

●ヒメ 191:25
大国主を祀ったところ兵が集まったということは、「筑紫の日向」には大国主の霊を受け継いだ子孫の王がいた、ということになるわよね。

●ヒナ 19:27
「蜷(ひな)城」にある名神大社(古来より霊験が著しい名神を祀る神社)の「美奈宜(みなぎ=ひなぎ)神社」では素盞嗚尊・大己貴命・事代主命を祭っています。「筑紫の日向(ひな)」にはスサノオや大国主を祀る王の一族が住んでいたと思います。

●カントク 19:30 
卑弥呼の「鬼道」は、祖先の霊(ひ)を祀る宗教じゃ。太陽崇拝の宗教説やオーム真理教みたいな新興宗教説があるが、根拠のない妄想にすぎん。
では、卑弥呼が祀った祖先霊とはいったい誰の霊かな?

●ボク 19:33
それって「筑紫の日向」を支配していた卑弥呼の祖先ということになりますよね。

●ヒナ 19:34
30国のうちの1国である「筑紫の日向(ひな)」=邪馬台国を支配していた王ではなく、100余国全体の「日向(ひな)」国を支配していた「委奴(いな=ひな)国王」の大国主ということになると思います。

●ボク 19:37
ここまでくると、「ボンクラ」でも答えは解りますよ。
「委奴国王」は大国主ということになりますよね。

●カントク 19:39
ヒナちゃんの意見には素直に同調するんだな。
この探偵団では「推理力」は○、「暗記力」は×なんじゃ。ボクとボンクラ(暗いボンボン)の分かれ目にせいぜい注意することじゃ。

●ボク 19:42
どさくさに紛れて、珍説ですね。探偵団では「冗談力」は◎?
ボンクラは「盆暗」で、ばくちの「盆」の中の賽の目を見抜けないぼんやりした人ということだと思いますけど。

●カントク 19:45
ようやく「ぼ、ぼ、僕らは怪しい探偵団」の一員になってきたな。花丸じゃ。

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神話探偵団59  生命の誕生、「黄泉がえり」から「霊継ぎ」へ

2009-08-08 05:02:07 | 歴史小説
黄泉の国への出入口とされる「黄泉比良坂」にある揖屋神社

●カントク 22:25
ボクちゃんの郷土愛はわかるが、やぶ蛇の破れかぶれの自爆攻撃じゃな。
卑弥呼=アマテラス=箸墓に葬られたヤマトトトヒモモソ媛というなら、天皇家は箸墓の前に壮大な神社を建て、アマテラスの祭りを行ったはずではないかな?邪馬台国畿内説は、この1点で崩壊じゃ。
 
●ヒメ 22:29
畿内説とか九州説とかやっている場合じゃないんじゃない?
大和でも甘木・朝倉でも、どちらでも天皇家は祖先の祭りを行っていないのよね。
ということは、天皇家はアマテラス=卑弥呼の血を受け継いだ後継者ではなく、アマテラスは後世に天皇家が創作した神ということになる。

●カントク 22:32
祖先霊は血の繋がった子孫に祀られないと祟る、祖先を偽って祀ると祟られるという「霊(ひ)の法則」は前に見たとおりじゃ。アマテラスと大物主を宮中に祀ったことにより、崇神天皇は民の半数が死ぬという恐ろしい祟りを受けた。
その恐ろしい記憶が染みついた天皇家は、卑弥呼(アマテラス)やスサノオ・大国主の祀りを行うわけにはいかんのじゃ。

●マル 22:37
「霊の祟り」を避けるためには、アマテラスやスサノオはイヤナギの「汚れた垢」から生まれた「ケガレ媛」、オシホミミはアマテラスの勾玉から生まれた「玉太郎」「もの太郎」という神話にする以外になかったのね。

●ヒメ 22:40
「桃から生まれた桃太郎伝説」は、「ものから生まれたもの太郎神話」「ものから生まれたもののけ姫(物化姫)神話」から生まれたのかもしれないわよね。「桃太郎伝説殺人事件」のイメージが湧いてきた。

●ボク 22:43
しかし、神話を創作するなら、天皇家の祖先が黄泉の国の「汚れた垢」から生まれた、なんて恐ろしい神話にはしないのではないでしょうか?

●マル 22:45
そうよね。まだ、「玉から生まれた玉太郎」「剣から生まれた剣姫」の方がいいわよね。

●ヒナ 22:46
黄泉(よみ)の国の「汚れた垢」から子どもが生まれるというのは、「黄泉がえり(蘇り)」の思想だと思います。
一方、「もの」から子どもが生まれるというのは、物に宿った霊(ひ)から子どもが生まれるという「霊(ひ)継ぎ」の思想と思います。
この2つの異なる宗教思想の伝承を古事記は継ぎ足したと思います。

●カントク 22:50
ヒナちゃんは鋭いなあ。
確かに、生命の誕生を「黄泉がえり(蘇り)」と考えるか、「霊(ひ)継ぎ」で考えるかは、大きな違いじゃ。前者は、死者は土に帰り、地底の黄泉の国にいて、そこから生命が生み出されるという大地から生命が生まれる思想となる。一方、後者は、天に昇った祖先の霊(ひ)が物に宿り、そこから生命が生まれるという、「霊(ひ)継ぎ」の思想になる。

●ホビット 22:55
生命のサイクルを地上と地下で考えるか、地上と天上で考えるか、は世界の宗教を見ても発生段階が分かれています。前者の地母神信仰では、死体は汚らわしいものではなく大地の一部と考えられ、生命を生み出す源と考えられています。

●ヒナ 22:58
古事記でも、イヤナミが火の神・カグツチを生んで死んだ時、イヤナギはカグツチを切り、その死体から神々が生まれたとされています。また、スサノオがオオゲツ媛を切った時にも、死体からカイコや稲種、粟、小豆、麦、大豆などが生まれたとされています。

●マル 23:01
そうすると、イヤナギとスサノオは「黄泉がえり時代」の神話、アマテラスは「霊継ぎ時代」の神話ということになるわよね。

●ヒメ 23:03
せっかくだけど、タイムアウト。1週間後にしましょう。みなさん、おやすみなさい。

●ボク 23:04 
明日、日程調整しましょう。メールで返事下さい。お休みなさい。

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58 卑弥呼の王都と二人の女帝(神功皇后・斉明天皇)

2009-08-02 07:07:16 | 歴史小説
甘木市街方面から見た大己貴(おおなむち)神社の遠望
(中央の神那霊山型の山の麓にある)

●ホビット 21:38
アマテラス=卑弥呼で、「筑紫の日向の橘の小門の阿波岐原」=邪馬台国の都=甘木・朝倉だとすると、前にカントクがおっしゃっていたように、この地に来た神功皇后や斉明天皇・中大兄皇子が祖先の祭りを盛大に行っていない、ということは不思議ですよね。

●カントク 21:41
その前に、ミステリハンターの皆さんはすでに気付いていると思うが、神功皇后がなぜこの地で「新羅征伐」の兵を集めたか、なぜ斉明天皇が対新羅・唐との戦いの基地をこの地に置いたかじゃ、クエッション?

●マル 21:44
確かにね。朝鮮半島へ船を出すなら、玄界灘に面した今の福岡市(奴国)、あるいは秀吉のように松浦半島(末盧国)の名護屋か呼子あたりに出撃拠点を置き、兵を集めるわよね。

●ボク 21:46
それは防御を考えてではないでしょうか?

●ホビット 21:47
それはどうかな?最高指揮官は指揮に便利な最前線の港に拠点を置くのではないかな。最初から指揮官が逃げ腰では、戦争はできないよ。それに、敗北後の防御を考えるなら、大和まで逃げればいいしね。

●ボク 21:50
やはり、通説のように、神功皇后の新羅征伐、というのは後世の創作ということではないでしょうか?

●ヒナ 21:51
神功皇后は福岡市の香椎に宮を置き、自身が先頭にたって「新羅」を攻めたと書かれています。もし、8世紀に創作された物語なら、筑紫の中心の太宰府を出撃拠点にするのではないでしょうか?

●ボク 21:54
それは香椎の方が交通の要衝だった、ということではないかな?

●ヒナ 21:55
仮にそうとしても、天皇家の威光を示すための創作なら、香椎宮に筑紫中の兵が参集した、という物語にしたのではないでしょうか?また、妊娠中だったのですから、部下の武将、建内宿禰に命じて「新羅を征伐した」、とした方が王者にふさわしいですよね?

●カントク 21:58
香椎宮で始祖神のアマテラスに戦勝祈願を行って兵を集めた、という方が天皇家の威光を示す物語になるな。なぜ、40kmも南に下った甘木の地で兵を募ったことにしたかじゃ。「日本ふしぎ発見!」 

●ホビット 22:01
香椎にアマテラスを祀った痕跡はないのですか?宗教の痕跡は、住民が移動しない限り、長く残るものですが。

●カントク 22:03
現在、香椎には香椎宮という神社があるが、仲哀天皇、神功皇后、応神天皇、住吉大神を祭神としておる。この地で戦勝祈願のために始祖神のアマテラスを祀ってはおらん。

●ヒナ 22:05
邪馬台国以来、「筑紫の日向(ひな)」が筑紫の政治・宗教の中心であったから、神功皇后は甘木の「ひな城」の地で兵を集めたのではないでしょうか?

●ヒメ 22:07
姫繋がりも大きいよね。甘木に神功皇后と斉明天皇が来たのは、この地が偉大な卑弥呼女王の王都だったからじゃない。攻伐する30国を卑弥呼が再統一したという歴史があったからこそ、この地で皇后と女性天皇の下に筑紫と大和の両勢力が共同戦線を組むことができたんだと思う。

●マル 22:11
蘇我入鹿に最初の一太刀を浴びせて殺した程の行動的な中大兄皇子が、なぜ高齢の母親・斉明天皇をわざわざ担ぎだしたかというと、どうしても女帝が必要だったのね。

●ボク 22:13
そうだとすると、この地には卑弥呼=アマテラスを祀る神社というか宗教があり、神功皇后と斉明天皇は筑紫勢力とアマテラスを祀って共同戦線を張ることができた、ということになりますよね?

●ヒナ 22:15
日本書紀によれば、仲哀天皇の后の神功皇后は、この甘木の地に来てこの地の王の羽白熊鷲を討ったとされています。そして、「新羅征伐」の軍が集まらなかったので、大三輪社を建てて刀矛を奉ったところ軍衆が集まった、とされています。

●マル 22:18
その大三輪社ってどこにあるの?

●ヒナ 22:19
朝倉郡筑前町にある大己貴(おおなむち)神社とされています。甘木市街地から野洲川を挟んだ対岸にあり、甘木から見えます。

●ボク 22:21
アマテラスではなく大国主(大己貴)を祀って軍を集めたということは、この地がアマテラスとは関係がない、という事になりません?ここにはアマテラス=卑弥呼の子孫ではなく、大国主の子孫がいた、ということになりますよね。
邪馬台国甘木・朝倉説、卑弥呼=アマテラス説は崩壊じゃあないですか?

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