蒲田耕二の発言

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『太秦ライムライト』

2014-01-15 | 映画
という新作映画を昨夜、BSでやっていた。今年6月、劇場で公開される前に別編集のテレビ版を放送したのだという。気前がいい、というよりパブリック・プレビューみたいなもん?

主演の福本清三は切られ役専門の大部屋俳優だったが、朝日の読者投稿がきっかけになって徐々に知名度を上げてきた。『ラストサムライ』ではトム・クルーズの護衛兼監視役で、かなり長く画面に出ていた。

いかにも苦労人らしい深いしわを額に刻んだ老優だ。茶渋で染めたような褐色の肌に人生のアカがこびりついている。これだけキャラの立つ俳優ならもっと早くから、スターとまでは行かなくても性格俳優として活躍していてよさそうなもんだが、多分この人、自分を売り込むのが苦手なタチなんだね。ぼそぼそしゃべるセリフ回しからも細い声からも、控え目な性格がうかがえる。

役者は謙虚だとやっていけない。人がいいだけでは生きていけない(って、チャンドラーだったっけ?)。大物役者は、例外なくオレがオレがの自己チューだ。

でも、そういう厚かましくない、エラそうじゃない人柄を慕う人々が集まって仕事したと見えて、随所に老役者への敬愛の念がにじみ出ていた。観ていて気持ちがよかった。福本自身の実生活をドラマ化したような内容である。

ただ、詰めの甘い個所もチラホラ。チャプリンの『ライムライト』同様、弟子の若い女優が師匠を追い抜いてスターになっていく展開なのだが、師弟関係の厳しさが通り一遍の描き方でしかないので、彼女が人気スターになってからも老役者との共演にこだわるのが偽善ぼく見える。

それと、脇を固める役者がいかにも薄っぺら。相部屋の俳優と仕出し屋の社長が主人公の年齢的限界を語り合うシーン(ここは『スタア誕生』の引用らしい)など、セリフにまるで気持ちが入ってない。太秦の古い映画屋と若いテレビ業界人とを二極対立で描き分けるのも紋切り型だ。

でもまあ、夕日をバックに師匠と弟子が立ち回りを稽古するシーンなんかキレイだったし、撮影所の奥を新幹線が走り抜けるショットも何気に意味深くて面白かった。映画の好きな人たちが作った映画なんだね。

話は違うが、小泉元首相が細川候補を応援するなら進次郎議員はタダじゃすまねーぞ、と自民の古ダヌキが凄んでるんだと。まるで中世だね。どうりで、「殿、ご乱心」と時代劇そのままのセリフが飛び出すわけだ。

あと、怒り心頭の投稿がネットに氾濫しているが、アマゾンプライム無料お試し期間のワナにオレも引っ掛かってしまった。オレ同様、カードの請求明細を見て目を剥いた人が多いみたい。やっぱアメリカ企業ってのは油断も隙もないね。法人税と消費税も払ってないそうだし。もちろん速攻で解約。

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