蒲田耕二の発言

コメントは実名で願います。

市民のランク付け

2018-05-04 | 中国
中国社会は、いよいよ息苦しくなってるみたいだね。公務員の腐敗を訴えるSNSを報道した記者が「信頼できない人間」の烙印を押され、飛行機にも乗れない状態になった。不動産の購入も許されず、娘をいい学校に入れることもできないという。

米誌の報道だから多分に誇張はあると思うが、政府にとって好ましくない市民の行動が制限されているのは事実だろう。

中国政府が「社会信用システム」なる仕組みを導入し、外国人にも適用して中国社会に利益をもたらさない者を排除するという記事は、以前にも読んだことがあった。中国市民に対しては、このシステムが市民のランク付けに使われ、エリートはますます有利になる一方、低ランクは二級市民に落とされるらしい。

ランク付けを判断するのは無論、公権力である。周近平にとって好ましいか否かで14億の中国市民が区別されるワケ。

こんなの、長続きするのかねえ。

中国人が貧しく、その日をやり過ごすのに精一杯で他のことには気が回らなかった時代なら、こういう無理も通用したかも知れない。しかし、中国はいま豊かになっている。人間、暮らしにゆとりが生まれれば必ず自由を求める。

束縛を嫌うのは、人間の本性だ。

過去、大半の独裁者がたどった末路と同じく、周近平も最後は民衆の反発によって血祭りに挙げられるんじゃないかねえ。まあ、そうならないよう締め付けを厳しくしてるんだろうけど、イタチごっこだね。

しかしこれ、対岸の火事とノンキに構えてもいられない。

かつてのケータイ大乱売時代は、就職氷河期と言われた時代だった。あのころ見かけ上0円、1円の端末を契約したものの収入に恵まれず、端末代込みの高い利用料を滞納した人々はいま、ブラックリストに名前が載っているのでスマホを契約できない。どころか、ローンも組めないクレカも作れない(建前上、一定期間経過後はブラックリストから名前が消えることになってはいるが、指定個人信用情報機関のCICに長期延滞を記録されると事実上、永遠に消えない)。

現在の情報社会はスマホとクレカ所有を前提に回っているから、どっちも持てない彼らは社会からどんどん置き去りにされる。あらゆる面で社会生活が不利になる。

身から出たサビ? しかし、携帯キャリアの宣伝に踊らされ、払いたくても払うカネがなかったことが、二級市民の不自由な暮らしを一生強いられるほどの罪なのかね。

日本でも、市民の格差は厳然と存在する。

あと、これに関連してネット情報をあれこれ漁っていたら、背筋が寒くなるような記事に出くわした。ソフトバンクがちゃんと支払っているユーザー6万人分の個人情報を、謝って滞納者としてCICに掲載したそうだ。

こういう間違いはいろんな業者が犯していて、ほかにも結構あるらしい。もうローンなんか組めないね。
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白目

2018-03-20 | 中国
周近平が独裁体制を強化した今年の全人代で、露骨なゴマスリ質問に嫌悪感をあらわにした女性記者の様子がユーチューブにアップされている。中国でも日本でも、すでに大受けらしいね。中国で、いまでも見られるかどうか知らないが。あの国は、政府の意に沿わない情報はすぐにカットされるから。

その様子のパロディ動画もアップされているが、どれも秀逸でゲラゲラ笑ってしまう。中国語はチンプンカンプンだが、こういうのに言葉は要らない。絵柄を見ているだけで笑える。

だいたい当の女性記者、梁相宜さんの表情自体が笑いを誘う。彼女の知的な感性の鋭さが呼ぶ爽やかな笑いである。

中国のネット動画はかつて、金正恩がズボンをずり落としながらダンスする動画で大笑いさせてくれたが、中国庶民の風刺センスって図抜けてるね。こういうセンスは昔から、社会が窮屈なほど磨かれる。

しかし、現実は笑っていられない。現代ビジネスによれば、梁さんは反省文を書かされ、勤め先をクビになったそうだ。ここまで有名になると、今後の再就職も難しかろう。彼女は周近平を直接批判したわけではない。白目を剥いて天を仰いだだけなのに。

独裁国家の恐ろしさ、まざまざだね。

しかしこれ、中国社会だけの特異現象だろうか。

昨日、愛知の中学が前川前文科次官を講師に呼んだ件で、自民の2代議士が文科省に「問い合わせ」をしていたことが明らかになった。政権に楯突いた官僚が退官し、民間人になった後までも執拗に付け狙う。これ、まさしく独裁権力のやり方ではないか。

昨日はまた、隠蔽姿勢を捨てて徐々に真実を語り始めた理財局長に、同じく自民の代議士が「安倍政権を貶めるために変な答弁をしているんじゃないか」などと詰問していた。この和田某とかいう代議士、以前から極右姿勢でネトウヨに大人気らしいね。変なのは、オマエの質問の方だろ。

どっちにせよ安倍チルドレンのゴマスリ質問て、聞いてる方の背筋がムズムズするような恥知らずぶりにおいて、中国のそれといい勝負だ。

そういや、安倍の総裁3選を可能にした自民党大会って、周の任期撤廃を決めた全人代に似てるよなあ。
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混合診療

2014-04-18 | 中国
「公的な医療保険が使える診療と使えない自由診療を組み合わせる『混合診療』について、政府が対象を広げる検討に入った」(朝日新聞デジタル、17日)

ほうら始まった。TPP参加に向けて既成事実の積み重ねだ。集団的自衛権に向けての手法とまったく同じ。TPP参加後、国民が被る最大の被害が医療と保険制度の劣化なんだよ。コメの関税撤廃なんか、実は目くらましでしかない。

法外な高額医療費を取れる自由診療をそれこそ自由に行えるとなったら、どの医者が保険診療に時間と力をさくか。

金持ちの患者はカネを湯水のように遣ってゼイタク施設で最新の医薬品と医療技術による自由診療を受け、低所得層は医師も医療設備も不十分な、荒みきったスラムの診療所でホソボソ保険診療を受ける。二極分化が一気に進む。日本の医療がアメリカの現状と等しくなるってことだ。

2014年は、日本の医療荒廃の分岐点だった。後世の人々は、そう振り返るだろう。その事態を招こうとしている直接の元凶は無論、安倍政権だが、その背後には、国民が政権交代に託した希望をあまりの無能さで完璧に裏切った民主党政権--というより、民主党政権の足を引っ張りまくった官僚、官僚と結託して民主党の無能イメージを国民に植えつけたマスメディアがいる。

TPPは数字を超えた、もっと大きな意味がある、と安倍は言ってるそうだね(日経、17日)。語るに落ちるとは、このことだ。

なお、集団的自衛権に関して、もう一つハラを決めかねている人に参考になる記事あり。ご一読を。
http://diamond.jp/articles/-/51769

話は違うが、栃木県の那須塩原市が市民団体から脱原発関連の映画上映会に名義上の後援を求められ、「公共性がない」との理由で断った、と報じられた(東京新聞、18日)。17日にも、平和集会の後援を千葉市が断ったという。

確かにこれ、言論・表現・集会の自由が次々制限されだしている状況の一端なのかもしれない。問題意識は持つべきだろう。でもさあ、なんで市民団体が当局の後援なんか欲しがるの? むしろ、後援の申し出を蹴るぐらいの気概を持つべきなんじゃないかね。

それとも、市民に対する自治体のスタンスをあぶり出し、もって警鐘とするという深慮遠謀?
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靖国参拝

2013-12-27 | 中国
菅義偉いわく、安倍は私人として玉串料を奉納し、「内閣総理大臣 安倍晋三と記帳した」。なんなんだよ、これ。言語矛盾じゃん。

そらま、誰がどこへ参拝しようと国内問題なんで、よその国にはゴチャゴチャ言って欲しくないけどね。しかし安倍はなんでまた、ワザワザ中韓に日本攻撃の口実を与えるようなマネすんのかね。

これでまた中国も韓国も、張り切って日本の歴史認識が間違ってると非難しまくり、国内の政権支持率を大いにアップさせることだろう。口じゃ非難しても、腹の中じゃ笑いが止まらないのと違うか。

石原が尖閣買収のオッチョコチョイを始めたときも、中国国内のガス抜きに貢献したろ。あれで胡錦濤は、退陣後も江沢民に対抗して勢力を維持する布石ができた。日本の民族派って、裏でコッソリ中韓の権力者と手を組んでるんじゃないかね。

と思ったら案の定、ウォール・ストリート・ジャーナルが安倍の靖国参拝は「日本の軍国主義復活の恐怖を、自国の権益拡大の口実に使いたい中国への贈り物」と書いてるそうだ。あんまりピリッとしない皮肉だけどね。
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神頼み

2013-10-14 | 中国
中国が、いまになって儒学を奨励し、キリスト教の布教を黙認してるんだと。共産党一党独裁の中国が。昨夜のNスペが伝えていた。マスメディアは、一部の先走りをあたかも普遍的現象のように報じるから、眉にツバつけて聞く方がいいとは思うが。

天安門事件で震え上がった中国政府は90年代以後、誇張的な反日教育で民衆のあいだに溜まった不満のガス抜きを図った。しかし、庶民の批判は許されないまま幹部の腐敗は進行し、貧富の格差は拡大し、尖閣をめぐる大暴れ反日デモでも薄熙来の見せしめ裁判でも抜き切れないぐらい、ガス風船がふくれ上がってしまったのだろう。

ビジネスで短期間に天国と地獄を経験した女実業家は、儒学の集会で涙ながらに私が悪かったと土下座し、有力コネのない共産党員はキリスト教の宣教師の説教に心が救われたと愁眉を開く。家庭教会と称する非公認の組織には、庶民からの寄付金がザックザク。

これって、日本のバブル期にオウムとかナントカの科学が信者を爆発的に増やしたのと似てないかね。繁栄のバスに乗り損ねた人々は、以前と同じ暮らしでも周りと我が身を比べて強い苦痛を感じだす。人間には、羨望や嫉妬の感情があるもんね。そこにつけ込むのが新興宗教、カルト集団だ。

心を改めた中国の子供たちが集団で親の足を洗う儀式とか見てたら、統一教会の集団見合いを連想してしまった。

カネより心、対立より宥和、云々の念仏で社会の歪みがすぐに是正されるとも思えないが、これで中国保守派の強硬姿勢に変化でも生じれば、日本にとっても結構なことではあるんだけどねえ。まあ無理だろな。反日も宗教容認も動機は同じの庶民懐柔策なんだから。
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