蒲田耕二の発言

コメントは実名で願います。

父の日

2021-06-20 | 文化
今朝の天声人語が面白い。

なぜか知らないが、いつもの担当者に代わって女性記者が臨時に担当したらしい。今日が父の日だというんで、亡くなった親父さんの思い出を綴っている。記者は職業柄、各地へひっきりなしに転勤する。親父さんは娘の苦労を思い、「良き友を得よ良き上司得よ」と歌に詠んだ。

その親心に打たれた、と言うのとは違う。

記者は父親の歌を引きながら、10回の転勤で「上司はともかく友には恵まれた」と綴る。その言葉が楽しい。

彼女はおそらく、上司に怨みがあるのではない。しかし、「上司に恵まれた」とは書きづらい。「友に恵まれた」と書くには、なんの抵抗もないが。たとえ実際には良き上司に恵まれていても、そう書くとゴマをすっているようで気恥ずかしい。

こういう含羞、節度が人間の知性というものであろう。短いフレーズからちらっとこぼれた女性記者の知性に、オレは微笑した。
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原発処理水

2021-06-12 | 福島原発
夕方7時のニュースの続きでテレビを点けっ放しにしてたら、処理水を海へ流す話をやっている。NHKの政府広報機関化を端的に物語る番組だった。

話の力点はもっぱら、処理水がいかに安全かである。いわく、汚染水の放射性物質はALPSなる設備でほぼすべて取り除かれる、トリチウムだけは除去できないが、これは自然界にも存在する物質だ(だから無害だ、と仄めかす)。しかも放出するときは、6万ベクレル/1リットルの安全基準の40分の1、1500ベクレルという薄さまで希釈する。

したがって原発処理水の海洋放出は完璧に安全であり、害は主として風評だけだ、漁業者の反対と消費者の懸念はエビデンスのない妄想に過ぎない、というワケ。

この番組で異様だったのは、福島沖に放出することが既定事項になっていて、それが妥当かどうかは、まったく議論されなかったことだ。福島の魚はうまいだの、汚染水をいつまでもタンクに溜めておけないだの、当たり前のことをエンエンと流している。女子アナに至っては、メヒカリの唐揚げ、美味しいですよねえ、などとハッピーな笑顔である。

福島の漁業者は原発事故で壊滅的被害を受けた。それが10年掛かって、やっと事故前の水準まで売上げが戻った。そこへ処理水の海洋放出があれば、またもや売上げが下がるのは目に見えている。いくら政府が安全だと力説しても、風評被害は避けられまい。

なぜ福島の漁業者が、いつも原発事故の尻ぬぐいをさせられるのか。

処理水がそんなに安全なら、東京湾に流せばいいではないか。福島原発の電力にもっとも恩恵を被っていたのは、東京の住民なんだから。
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ワクチン接種

2021-06-09 | 社会
わが田舎町でもワクチン接種やっと開始。社会活動を支え、人との接触も多い現役世代の方をトシ寄りよりも先にするのがスジではないかと思うが、オレ一人あらがったところでどうなるものでもないから接種を受けに行く。

行って驚いたね。受付で長蛇の列。無慮30人が立ち並んでいる。ソーシャル・ディスタンスもヘッタクレもないではないか。順番を取るために並ぶのかと思ったら、番号札は着くなりすぐに渡してくれるんだよ。並ぶ意味が分からない。

で、整理係のオバハンに苦情を言うと、つっけんどんな口調で、並ぶのシンドイですか、などと言われる。そうじゃなくて。

ブツブツ言いつつ受付を済ませて会場に入ると、中もかなりの人混みである。アクリル板の仕切りなど、あらばこそ。コロナ予防に来てコロナを貰って帰ったんじゃ笑い話にもならない。本気で感染防止やる気あんのか。

担当の医者がまた、横柄なんだよね。熱、ある? ない? あ、そ。はい次。

ともあれ接種を終え、アナフィラキシーもなく帰宅したが、注射された左腕が痛くて仕方がない。友人知人に訊くと、痛む人と平気なのと両方いるから、注射した医師の腕次第らしい。ヘタクソな医者ほどエラそうに威張る。

ところで、ワクチンの発症予防効果95%てのは、一種の数字のマジックらしいね。畏友・松村洋さんによれば「ワクチン接種組2万人と偽薬組2万人を比べて、前者の発症者が8人、後者が162人。その差154人は162人の95%だから、発症抑止率95%というわけ」。

「しかし、20000−162=19838人(99.2%)は接種していなくても発症していない。だから、ワクチンを接種しても発症者減少率は1%以下」

ただまあ、事態がもっとも深刻だったアメリカで現実に感染状況が改善されているし、接種はまったく無意味ではないんだろうと思う。

そもそもワクチンなんてものは、コロナに限らずインフルエンザでも感染防止にはまったく役に立たない。接種しても感染するときはする。しかし、抗体を持っているのといないのとでは、症状が異なる(はず)。体内に入ってきたウィルスが100%大暴れするのを抗体が多少とも抑えてくれるなら、身体の負担はその分、軽くなる(はず)。

コロナが重症化すると、肺に水が溜まって水に溺れたのと同じ状態になる。その苦しさは、言語に絶するらしい。死ぬのは嫌じゃないが、苦しむのは嫌だ。

なので、3週間後にまた接種を受けに行くが、副反応は2回目の方がキツいんだって。やだなあ。
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