蒲田耕二の発言

コメントは実名で願います。

STAP細胞

2014-01-31 | 文化
とか言われても理系じゃないオレなんか、へぇ、ぐらいの反応しか出てこないが、なんか浮き浮きはするよな。テレビも浮き浮き、新聞も浮き浮き、ネットも浮き浮き。山中教授のノーベル賞受賞のとき以上に、日本中が上気してる。

イエ、それが悪いと言ってんじゃないですよ。ただ、日本人の世界的発見が民族主義的にうれしい、とか言うんじゃなくてですね、これ発見者の属性が大きく影響してるよな、と思うわけ。

テレビをつければどのキャスターも相好くずして、古舘伊知郎なんか最後の一言をムリヤリのみ込み、若い日本女性、でかろうじて踏みとどまってるのがアリアリだもんね。

あえて無粋に書いてしまうが、あの人美人です。だがテレビでそう言うと、セクハラだってんでバッシングが殺到するんだろな。

バッシングといや、いま渦中にあるのは周知のとおり日テレの養護施設ドラマ。施設側の抗議をオレは初め、表現の自由に対する不当介入じゃないか、とか思っていたが、日テレ出身の水島宏明氏のブログによると、当事者への取材も事前の話し合いも何もなしに、ことさらセンセーショナルなドラマを作ってしまったらしいね。

こりゃどう考えても不当だよ。市民のテレビ離れがこれだけ進んでるのに、まだテレビ界特有の傲慢体質が残ってたんだ。日テレ社員は昔から、ひときわ傲慢だったが。
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アッバード没

2014-01-21 | 音楽
クラウディオ・アッバードというと、1981年にスカラ座のカンパニーを引き連れて来日した折りの名演が忘れられない。イタリア・オペラはそれまでにもNHKが何度か上演を主催していて、レナータ・テバルディ、マリオ・デル・モナコといった大物歌手の来日もあったのだが、オーケストラ、コーラスともども名門歌劇場がそっくりやってくる引っ越し公演は、あのときが初めてだった。

アッバードの指揮で『シモン・ボッカネグラ』『セビーリャの理髪師』、カルロス・クライバーの指揮で『オテッロ』『ラ・ボエーム』の4作が上演された(ほかにヴェルディの『レクイエム』も)。プラーシド・ドミンゴ、ミレッラ・フレーニ、ピエーロ・カップッチッリら当時最高ランクの名歌手が参加していた。日本がバブルに向かって急成長を続けていた時代の、いまは夢の贅沢。

世評がいちばん高かったのはクライバーの『オテッロ』だったが、手許に残った録音テープを聴くと、アッバードの『理髪師』が歌手の顔ぶれに凹んだところがなく、オーケストラ、コーラスとも生気にみちあふれ、一分の隙もない超名演だったことが分かる。

リズムは常に前ノリで生き生きと弾み、すべての音が朝日を受けた海の波のようにキラキラ光っている。早世した名メッゾ・ソプラノ、ルチーア・ヴァレンティーニ=テッラーニが藍色のビロードのような声でE難度の技巧的装飾楽句を軽やかに歌ってのける。

この演奏を聴いた後は、もはやどんな『理髪師』の録音も死んだような演奏に聞こえてしまう。マリア・カラス主演の全曲盤は無論、アッバード自身のスタジオ録音も例外ではない。アッバードはライヴ演奏ではすばらしいノリを示すが、スタジオに入ると途端にカミシモ着けたような演奏をする人だったのだ。ていねいで羽目を外さない。『理髪師』だけではなく、『シモン』も『アイーダ』もそう。

ともあれ、ベッリーニやヴェルディ初期のカンティレーナの美しさをあれだけ理解し、あれだけ洗練された形で呈示できた指揮者はそれまでいなかった。今後も出てこないんじゃないかな。晩年はムソルグスキーとかベルクとか、つまんないオペラばかり取り上げていたが。

なお、アバドという呼び方は日本独特で、こんな発音をしても外国人には通じない。多分、アッバード本人にも通じなかっただろう。ゲーテのひそみに倣えば、アバドとは俺のことかとアッバード言い、だ。

日本の音楽界は、映画界でも同じだが、外国人名をだれかが最初に適当に、いい加減に読んで表記すると、レコード会社、プロモーター、評論家から雑誌、新聞、ネットまで、あらゆるメディアがその適当な読み方に追随してしまう。朝日、NHKなどのマスコミが率先してこれをやる。世間で通用している読み方だから、ではなく、真剣勝負でアーティストを評価する気構えを欠いているからだ。

こうした怠慢、思考停止型大勢順応に敢然と抵抗したのが、故・中村とうよう氏だった。
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『太秦ライムライト』

2014-01-15 | 映画
という新作映画を昨夜、BSでやっていた。今年6月、劇場で公開される前に別編集のテレビ版を放送したのだという。気前がいい、というよりパブリック・プレビューみたいなもん?

主演の福本清三は切られ役専門の大部屋俳優だったが、朝日の読者投稿がきっかけになって徐々に知名度を上げてきた。『ラストサムライ』ではトム・クルーズの護衛兼監視役で、かなり長く画面に出ていた。

いかにも苦労人らしい深いしわを額に刻んだ老優だ。茶渋で染めたような褐色の肌に人生のアカがこびりついている。これだけキャラの立つ俳優ならもっと早くから、スターとまでは行かなくても性格俳優として活躍していてよさそうなもんだが、多分この人、自分を売り込むのが苦手なタチなんだね。ぼそぼそしゃべるセリフ回しからも細い声からも、控え目な性格がうかがえる。

役者は謙虚だとやっていけない。人がいいだけでは生きていけない(って、チャンドラーだったっけ?)。大物役者は、例外なくオレがオレがの自己チューだ。

でも、そういう厚かましくない、エラそうじゃない人柄を慕う人々が集まって仕事したと見えて、随所に老役者への敬愛の念がにじみ出ていた。観ていて気持ちがよかった。福本自身の実生活をドラマ化したような内容である。

ただ、詰めの甘い個所もチラホラ。チャプリンの『ライムライト』同様、弟子の若い女優が師匠を追い抜いてスターになっていく展開なのだが、師弟関係の厳しさが通り一遍の描き方でしかないので、彼女が人気スターになってからも老役者との共演にこだわるのが偽善ぼく見える。

それと、脇を固める役者がいかにも薄っぺら。相部屋の俳優と仕出し屋の社長が主人公の年齢的限界を語り合うシーン(ここは『スタア誕生』の引用らしい)など、セリフにまるで気持ちが入ってない。太秦の古い映画屋と若いテレビ業界人とを二極対立で描き分けるのも紋切り型だ。

でもまあ、夕日をバックに師匠と弟子が立ち回りを稽古するシーンなんかキレイだったし、撮影所の奥を新幹線が走り抜けるショットも何気に意味深くて面白かった。映画の好きな人たちが作った映画なんだね。

話は違うが、小泉元首相が細川候補を応援するなら進次郎議員はタダじゃすまねーぞ、と自民の古ダヌキが凄んでるんだと。まるで中世だね。どうりで、「殿、ご乱心」と時代劇そのままのセリフが飛び出すわけだ。

あと、怒り心頭の投稿がネットに氾濫しているが、アマゾンプライム無料お試し期間のワナにオレも引っ掛かってしまった。オレ同様、カードの請求明細を見て目を剥いた人が多いみたい。やっぱアメリカ企業ってのは油断も隙もないね。法人税と消費税も払ってないそうだし。もちろん速攻で解約。
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森喜朗

2014-01-04 | 政治
講談社の現代ビジネスというサイトに元日から掲載された森喜朗と田原総一朗の対談が、いやー面白いのなんの。松尾スズキの「私はテレビに出たかった」が終わった喪失感を、一時的にせよ埋めてもらいましたよ。講談社が出した対談速記本のプロモらしいが、序章だけでも充分読みであり。

政界ウラ話だけじゃなく、松井が巨人入団後、長嶋一茂とのポジション争いで干されていたなんて話も出てくる。当時の巨人監督は周知のとおり、一茂の親父の長嶋だ。だもんで、松井はメジャー移籍後オフに日本へ帰ってきても、ナベツネには挨拶に行かないんだと。さすが、怖いものなしだね。

一茂は最初入団したヤクルトで使い物にならず、球団が持てあましていた。そこへ長嶋巨人が譲ってくれと申し込んできたので、ホクホクして譲ったそうだ。森がその時のことを尋ねると、ヤクルトのオーナーいわく「もうせいせいした。熨斗つけて差し上げました」。

森は松井の名誉後援会長やっているので、こういうウラを知ってるらしい。

政治のナマ臭い話だと、まずは外相の岸田。去年横浜でTICAD(アフリカ開発会議)Vが開かれたとき、こいつは地元で顔を売るためにアフリカ各国の首脳との親善パーティをすっぽかそうとしたそうだ。

外務官僚に対しても、森は容赦ない。プーチンが北方4島のうち2島を返すといってるのに、ロシアが呑めるワケない4島一括変換に彼らはこだわる。なぜなら、アメリカのご機嫌窺いに加え、実現不可能なお題目を唱えているかぎりは仕事しないで済むからだ。彼らを焚きつけて問題をこじらせている保守派の学者たちを、森は「日ロ問題の化石人類」と斬り捨てる。実名入りだよ。

そのほかにも、安倍と福田康夫は犬猿の仲だとか、野中広務が中国でしゃべった尖閣問題の棚上げ論は正しいとか、石原慎太郎は招致活動に一度失敗しただけでオリンピックを呼ぶ気をなくしたとか。

あれ? 石原→猪瀬の権力委譲はオリンピック利権確保のためじゃなかったの? そういう趣旨の記事を先だって、ネットで読んだけどね。

ま、ネット情報なんてものは右派も左派も真に受けられないってことか。

森喜朗って人は自民特有の密室談合で首相になり、放言の連発でマスコミの集中砲火を浴び、学生時代のレイプ疑惑が発覚し、戦後最低の総理とまでいわれたが、意外にまともな政治感覚を持ってたんだな、と思わせる。

活字本まで放言ノリで世に出したとは思えないから、上記のさまざまなウラ話は、ちゃんと計算した上で暴露しているのだろう。何らかの意図による打ち上げ花火。だからまあ、これも眉にツバつけて読んだ方がいいとは思うけど。
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