蒲田耕二の発言

コメントは実名で願います。

金の卵

2019-07-26 | スポーツ
今年の10大ニュース、オレ的にはもうトップは決まりだな。日韓の関係悪化でも、れいわ新撰組の躍進でもなく、佐々木朗希という類い稀な高校生ピッチャーの出現だ。2年前の1年生当時から注目されていたが、今年、一気に花開いた。高校生で163キロだよ。

こういう美しく清々しい若者の台頭って、オリンピックの接近なんかよりずっと心が躍るね。すらりと長身で豪腕で、オマケに男でも目を瞠るほどのイケメンと来てるんだから、開いた口が塞がらない。天が二物も三物も与えた人間て、いるんだ。

投げれば勝つ佐々木君を県大会の決勝で使わなかったと言って、大船渡高の国保監督があちこちから非難されているらしい。同校に殴り込もうとしたバカまで現れたという。大船渡にはわずかながら縁のあるオレも、甲子園の大舞台にあの子を立たせてやりたかった気持ちが、ないワケじゃない。

しかしだね、なんと言ってもまだ高校生だよ。大人びた顔つきから、つい完成されたピッチャーだとか思ってしまうが、まだ18の少年だよ。しかも彼は、中2日のペースで何百球も投げてきたというじゃないですか。

彼の肩を心配して登板させなかった国保監督の判断を、オレは断固支持するね。この人、佐々木の価値を誰よりも知っているからこそリスペクトしたんだよ。朝日に載ったインタビューを読んでも、実にスジの通った応答をする人だ。なんでも、アメリカの独立リーグでプレーしていたころに、合理的な考え方を学んだそうな。

オレは普段、高校野球を好まない。いまだに古色蒼然の封建的スポ根ルーティンが横行し、名誉欲に取り憑かれたオトナが若い子の未来を搾取するケースが多いからだ。国保監督は、そこに初めて(かどうか知らないが)現れた近代的指導者なんじゃなかろうか。
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『アーリー・コンゴ・ミュージック1946-1962』

2019-07-15 | 音楽

バブル景気が頂点に達した1980年代末、日本を席巻した音楽はワールド・ミュージックだった。そのワールド・ミュージックの中心を担ったのが、セネガルのンバラやアルジェリアのライ、スペイン/フランスのルンバ・フラメンカなどとと並んで、コンゴのリンガラ・ミュージック、ルンバ・コンゴレーズだった。シンセをマリンバ風に鳴らす軽快で愛くるしいサウンドが、いまも耳に残っている。

『アーリー・コンゴ・ミュージック1946-1962』は、ルンバ・コンゴレーズ(だけじゃないけど)の成立過程を当時のオリジナル音源でたどった超貴重なアルバムだ。一昨年、同じEl Surレーベルから発売された奇蹟の2枚組『パームワイン・ミュージック・オヴ・ガーナ』と同じく、この分野の碩学、深沢美樹氏の労作である。

オレは彼と違ってこの方面にはまるで不案内だが、学術的・資料的関心を除外しても演奏自体にエンタメとしての力があるので、2枚2時間半のリスニングに退屈はしなかった。中にはアフリカン・マンボと呼びたいスタイルの演奏や「オブラディ・オブラダ」の母型じゃないかと思いたくなる曲もあって、なかなか楽しい。『パームワイン』同様、古い録音にもかかわらず歪みもノイズも極少のマスタリングに驚嘆する。

懇切丁寧な解説も相変わらず。いろいろと教えられるところが大きい。もっともCDジャケット・サイズのブックレットに6ポ大の活字でビッシリてのは、オレみたいなトシ寄りには拷問だけどね(笑)。

ワールド・ミュージックが下火になって、はや四半世紀。思えばあれは、平和を象徴する音楽だったよな。冷戦構造の崩壊とともに興隆し、湾岸戦争の勃発をきっかけに衰退が始まった。1991年から数年間、横浜で開かれたウォーマッドは、文字どおり平和のフェスティバルだった。本質的に異民族間のせめぎ合いであるオリンピックと対照的に、異文化が歩み寄り、調和を図るイベントだった。

トランプが世界中で分断と対立をあおってる現状では、ワールド・ミュージックの再興も夢だろうなあ。
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サイクル・ヒット

2019-07-13 | スポーツ
バッターがルーキーでなければ、三塁手がベテランでなければ、そして舞台がオールスターでなければ生まれなかった快挙じゃないかな。近本のサイクル・ヒット。

最後の三塁打で、レフト(源田?)からの返球は、明らかにワザと緩慢だった。そして三塁の松田は、レフトの意図を読んでワザと(多分)ボールを捕り損ねた。若手の三塁手なら、律儀にアウトにしていたところだ。タイミングは完全にアウトだったから。

だから悪い、と言ってるんじゃないよ。オールスター史上初のルーキーによるサイクル・ヒット達成をみんなで助けてやろうという、アスリートたちの心意気にオレは打たれたんだよ。特に、空っぽのグラブを掲げて大げさにアウトのポーズを取って見せた松田の男気に感動したね。あれほどの名手が、ボールが入ってないことに気がつかないはずはない。

近本も、その辺りのことはちゃんと分かっていたのだろう。インビューで、相手に助けられたと言っていた。

解説の古田や前田も含めて、助けた側は一言も口に出して言わない。その奥床しさにも、また胸を打たれた。
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礼節

2019-07-12 | 国際
輸出規制をめぐる日韓の説明会だか協議だかのニュースを見て、あきれてしまった。殺風景な物置みたいな部屋で、パイプ椅子と事務デスク。韓国側がスーツ姿でネクタイをきちんと締めているのに対して、日本側はノーネクタイに上着なしというラフな服装である。

この冷夏でクールビズをやってるとは聞かないから、明らかに故意のマナー違反であろう。

こういう子供っぽい挑発に、どんな国益があるというのかね。やってるのはネトウヨみたいな幼稚な連中じゃなくて、課長クラスとはいえ一応国を代表する官僚だよ。こんな坊主憎けりゃ式の嫌がらせは、韓国の不買運動と同じレベルではないか。

規制は報復ではなく管理強化だと日本は力説している。しかし、国外じゃBBCもNYタイムズもブルーンバーグも、トランプ流の強硬措置だと信じて疑わない。日本のメディアだって、最初は報復だと決めつけていたぐらいだ。

テレビの絵はこわい。理屈を飛び越える説得力を生んでしまう。外交儀礼を無視した対韓姿勢を見れば、日本は感情的に報復措置をやってると国際社会は一目で思い込むだろう。その分、韓国への同情票が増す。

大体、日本は国際的な広報活動がヘタだ。韓国の方が上手い。ついこの間、福島産品の輸入禁止をめぐってWTOで敗訴したばかりだろ。対韓規制で、日本が一方的に悪者にされてしまう怖れがないわけではない。

日本人は、礼節を知る民族ではなかったかねえ。
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対抗措置

2019-07-03 | 国際
今朝の天声人語には笑ったね。イエ、皮肉じゃありません。最近の朝日はすっかり骨抜きになって、どの記事読んでも往年の迫力がさっぱり感じられなかったが、久々に本領発揮。

韓国への輸出規制は「江戸のカタキを長崎で」の類と批判する文章なのだが、まあおもろいから読んでみてください。

といっても有料記事だから、会員以外は前半しか読めない。なので、いちばん笑える結末部分をご紹介すると、

> 人のあくびは犬にも伝染するらしい。忠誠を尽くす飼い主からとくに影響を受けやすいとの研究結果がある。日本政府の場合は、こちらに近いか。

「飼い主」とは、いうまでもなくトランプのことやろね。

輸出規制については、オレ自身の中にもザマーミロ気分が確かにある。それでもやっぱり、この措置は見当外れだと思うよ。日本企業の資産売却がまだ実行されていないうちから伝家の宝刀を抜いてしまって、アホちゃうか。

韓国が次々対抗策をくり出してきたら、どんなカード切るつもりやねん。

大体、規制されたフッ化水素だのなんだのは、いまの韓国の技術力なら数年もあれば代替品を作れるんじゃないのか。そうなりゃ、対韓輸出で食ってきた日本企業は経営が成り立たなくなる。

昔、中国がレアアースを輸出規制したとき、日本側はたちまち新たな供給元と代替品を開発して、大して実害を被らなかったよな。あれ、教訓にした方がエエんとちゃう?
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