蒲田耕二の発言

コメントは実名で願います。

遅刻魔

2016-12-16 | 社会
半世紀以上前の話だが、ニューヨークのマディスン・スクエア・ガーデンで当時の米大統領J・F・ケネディの盛大な誕生祝賀パーティが開かれた。数々のセレブが招かれ、その中にはケネディとの不倫を噂されるマリリン・モンローもいた。

司会者がゲストを次々紹介し、やがてモンローの番が来た。司会者のコールに応じてパンパカパーン! 派手なファンファーレとともにスポットライトがステージ脇を照らす。

あれ? だれも出てこない。

司会者がもう一度モンローの名をコールし、ファンファーレが鳴らされ、スポットライトが照らし……これが三度くり返された末に、やっとモンロー本人がいかにもあわてた様子でチョコマカ小走りに現れた。

ステージに上がったモンローは、白いケープを脱ぎ捨てると下はボディライン丸出しの肌色のドレス(最近5億円で落札された)。その全裸じゃないかと見紛う姿でマイクをポンポンと二三度指ではじき、おもむろにセクシーな低音で「ハッピー・バースデイ・トゥ・ユー」を歌い出した。

したたかなハリウッド女優の効果を計算し尽くした行動だった。1万5000の観衆の視線が彼女に釘付けになった。マリア・カラス、ハリー・ベラフォンテ、シュレジンジャー大統領補佐官その他、同席したセレブたちはことごとく影が薄くなった。

ケネディの誕生パーティは、こうしてモンロー一人によって記憶されることになった。

首脳会談で山口に飛来したプーチンは、2時間半遅刻したという。おそらくモンローと同じ効果を狙ったのだろう。政治家の行動に計算が伴わないワケがない。

もしもサッチャーとプーチンが同時代人だったら、どうなっていただろうね。

中曽根康弘だったか、日本の大物政治家が現役時代のサッチャーに会いに行って「今日はよいお日和で」とかなんとか日本式の挨拶から始めたら、あなた何しに来たの、わたし忙しいのよ、とか言ってさっさと別室に行ってしまったそうだ。

辛抱強くプーチンを待った安倍さん、要するにナメられたんですな。巌流島の佐々木小次郎? ロシア側は「領土に議論の余地なし」と言ってるそうじゃん。
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『ノートルダムの鐘』

2016-12-11 | ステージ
四季が手がけるディズニー・ミュージカルの最新作だが、前作『アラジン』とは対照的に、まあなんと暗いこと。作曲は同じアラン・メンケンなんだけど。

もっとも、これは意図したもので、ハッピーなアニメ版とは別の作品を創り出す狙いがあったらしい。そのせいか『アラジン』とは対照的に、10日の上演ではマチネーにもかかわらず幼い観客がほとんどいなかった。

アニメ版とは別の、とは原作により忠実に、という意味だ。フロロの偽善やフェビュスの自己チューが薄められて品行方正型キャラに仕立て直されていたり、カジモドが冒頭と大詰めで醜いメイクを消してイケメンぶりを見せたりする辺り、ディズニー的妥協は多少臭うものの、原作の救いのない悲劇性はきちんと保たれている。

聖に対する俗の象徴のエスメラルダのエロティシズムも冒頭のジプシーダンスで強調されるが、演じる岡村美南がフェロモンどぼどぼタイプではないので、格別効果的ではない。ただしこの女優さん、歌唱力は確かである。聖堂の荘厳さに打たれて歌うソロで、絶妙なピアニッシモを聴かせる。

エスメラルダと言えば、随分昔の映画だが、ジャック・プレヴェールが脚本を書いたフランス映画で演じたジーナ・ロッロブリージダが、とびきりチャーミングだったよなあ。ジプシー娘の野性的で神秘的な魅力横溢だった。

ボロは着てても心はニシキ、みたいな今度の舞台のエスメラルダよりも、無邪気で惚れっぽくて善良で、ちょっと拷問されるとたちまちウソの告白をしてしまうあの造型の方が、もっとリアルで共感を呼んだと思うのだが。

音楽は総じて重厚荘重。これも『アラジン』の軽妙さとは対照的だが、やはり原作の壮大なロマンティシズムに合わせたものだろう。宗教音楽風の合唱をくり返す聖歌隊が場面に応じて石像にもなり、カジモドとの対話を通じてプロットを進める演出が面白い。

なお、Cour des Miracles は劇中「奇蹟御殿」と呼ばれる。18世紀までパリに実在したコジキや難民たちのスラム街のことである。昼間、街頭で施しを請うイザリや盲目のコジキたちが夜このスラム街に帰ると、アラ不思議、杖や眼帯を捨ててスタスタ歩き出すので「奇蹟」の名がついた。

「奇蹟御殿」と「奇蹟小路」の二つの訳し方があるようだが(courにはどっちの意味もある)、実際の形態から見て「小路」の方が合理的ではなかろうか。ま、スラム街を御殿と呼ぶところに皮肉なニュアンスを感じないでもないけどね。
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カジノ法案

2016-12-08 | 政治
の与野党攻防てのも、なんかズレまくってる感じで焦れったいんだよねえ。無論オレは日本維新も安倍も身の毛がよだつほど嫌いだから、蓮舫サンの舌鋒に肩入れしたいところだが。

「ギャンブル依存症予防が充分じゃない」「国家の品位が下がる」……こういう反対理由が、もひとつよく分からん。

だってさあ、この国にはすでにギャンブルが溢れかえってるじゃん。競輪競馬にボートレースにオートレース、パチンコに宝くじ……。これらはスポーツないしエンタメであってバクチじゃない、てのが公式見解らしいけどね、そんな屁理屈は国際的に通らない。

カネを賭けて何倍ものリターンを得る可能性もあれば元も子も失うリスクもある、という点でギャンブル以外の何物でもないでしょ。

そういや株式だって先物だってFXだって、金融商品はすべてギャンブルだ。いや、そもそも資本主義経済そのものが投資と利益回収を基本にしているんだから、一つのデカいギャンブルではないか。

そこへ依存症がどうの品位がこうのと難癖つけたって、オレでも説得力感じられないよ。

新たな利権の温床を作るだけ、あるいは与党の公明党議員が言ってるように、カジノに経済効果は期待できない云々を、なんで反対理由にしないのかね。
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