蒲田耕二の発言

コメントは実名で願います。

アメリカの嘘

2010-11-25 | 政治
例の海上保安官が送りつけた尖閣ビデオのSDカードを、CNN東京支局は中味を見ないで廃棄処分にした、と言ってるんだってね。ウソつけ。

ウィルス感染を恐れたと説明してるそうだが、そんなのMacやLinuxパソコンを使えば問題にもならん。常識だろ。

大体ジャーナリストが、ひょっとしたら大スクープになるかもしれないネタを確認もせずに捨てるワケがない。2ちゃんねるのようなデタラメサイトでさえ彼らは一応、目を通しているのだから。

要するに、中味を見た上でこいつは公表すればマズいと判断したのだろう。どうマズいのか。

言うまでもなく、日本に有利、中国に不利と判断したのだ。アメリカが日本より中国を重視してる証拠だね。勘ぐるなら、中国が非を認めて日本と仲直りするのを怖れた?……そりゃないか、中国は日本をヒールにすることで、やっと分裂を免れている国だから。

それにしても、自民議員の山本某の質問は、ありゃなんだい。官房長官の北朝鮮非難に怒りが感じられない、だとさ。まったく主観的言い掛かりじゃんか。小学生かよ。
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アラブを知る本

2010-11-24 | 文化
映画『アラビアのロレンス』の冒頭、ではなかったと思うが(なんせ大昔に見ただけだから)初めの方に、カゲロウの揺らめく地の果てから男が馬で駆けてくるシーンがある。砂漠の井戸の水を無断で飲んだ通訳を、男は新月刀でばっさり斬り捨てる。

鮮烈なシーンだった。なるほど、砂漠じゃ水が人の命以上に貴重なんだなあ、と彼の地の風土も人心も一撃で教え込まれた気がした。

ところが『イスラムの怒り/内藤正典』(集英社新書)によると、これが真っ赤な偽り。ハリウッド一流のペテン。アラブ人は正反対に、水が貴重だからこそ独占せず、だれとでも分かち合うのだそうだ。

砂漠を旅してきた人間は、どこの馬の骨だか分からずとも、砂漠で自分たちと同じ苦労をしているのだから最上級のもてなしで遇する。これがイスラムの教えだという。目からウロコ。

かつてユダヤを目のカタキにすることによって経済・社会をせっせと発展させてきた西欧世界が、いまは同じメカニズムをアラブ世界への敵視に適用している。同書を読むと、それがよく分かる。

ブルカやスカーフなどの服飾規定はイスラムの性差別のシンボルのように言われるが、もしもこれが女性自身の本意ではなく、男性からの強制のみで行われるなら1500年間も慣習として継続できただろうか、と著者は問う。言われてみれば、そのとおりだ。

もっとも、女が幼いころからマインドコントロールされて慣例に疑問を持たない、ってことも考えられるけどね。

ま、アバタもエクボ的アラブ観なきにしもあらずだが、いろいろと蒙を啓いてくれる本ではある。あと、ウィキペディアの“イスラーム”という表記は正しくないらしい。ので、オレも以後は“イスラム”表記に変更。

上掲書とは対照的な視点でイスラム社会の底辺をルポしたのが『神の棄てた裸体/石井幸太』(新潮文庫)。

こっちはこっちで西欧史観に洗脳されすぎの嫌いはあるが、イスラム国のインドネシア軍が東ティモールでいかに残虐な反人道的犯罪を行ったか(スマトラ北部のアチェ州では、いまもやっているらしい)、イスラム社会で貧しい女性がいかに人権を制限されているか、性同一性障害者や同性愛者がいかに非人間的扱いを受けているか、等々を生々しく報告している。

宗教は人を殺す、と言ったのは中村とうよう氏だが、こういうルポを読むと、インドネシア国軍もナチス・ドイツもベトナムの米軍もガザ地区のイスラエル軍も大差ないことが分かりますな。つまり3大一神教の国家のやることは、ほとんど同じってこと。

ただし、元来は異教徒に寛容だったイスラムにタリバンのような原理主義勢力が発生したのは、異端に対してもっとも非寛容なキリスト教の反作用であることは間違いないようだ。

これら2書に対し、ユダヤへの蒙を啓いてくれるのが『私家版・ユダヤ文化論/内田樹』(文春新書)。ヨーロッパがユダヤ弾圧で発展したことを教えてくれたのは本書である。

ただこの本、ちょっとヘンなところがあるんだよね。著者いわく、ヨーロッパ世界がヨーロッパ世界として成立するためにはスケープゴートが必要であり、そのために“ユダヤ人”という概念が作り出された。“ユダヤ人”とは人種でもなければ民族でもなく、ましてユダヤ教徒ですらない。

つまり“ユダヤ人”とは観念上の存在でしかなく、「ユダヤ人はユダヤ人に生まれるのではなくユダヤ人になるのだ」(言うまでもなくボーヴォワールのもじり)。

だとすれば、だよ。ユダヤ人とはヨーロッパ世界(アメリカを含む)にとっての相対的存在ってことになるじゃん。それがなんで、地域社会とは無関係のグローバルなアイデンティティをあんなに強烈に保ってるんだよ。

アメリカのユダヤ富豪はかつて日露戦争で日本を支援し(ロシアでユダヤ虐殺が頻繁に起きていたから)、いまはイスラエルを支援している。単なる相対的存在が人種も国籍も宗教も異なる国民に、あそこまで熱烈な連帯意識を抱くかね。

それとこの本、大学教授特有のもったいぶった文体で閉口する。ふだん、学生相手にいばってるとお山の大将になっちまうんだろうなあ。あと、ケチな揚げ足取りをするようだが、MacLeodの発音は“マクラウド”だろ。
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『ゴダール・ソシアリスム』

2010-11-19 | 映画
ゴダール80歳の新作。老いてますます盛んな実験精神、と言いたいところだが、なんだいこれ? 筋書きを読まずに見て1回で理解できた人がいたら、お目に掛かりたいね。

20年ぐらい前までのゴダールは、確かに類のない個性的表現がおもしろかったし、とりわけ難解でもなかったのだが、近ごろは霊感の減退をコケ威しでごまかす傾向が露骨。分からん方が悪いと言わんばかりの作劇術は、傲慢なガンコ老人そのものである。

苦労して生み出す創作を簡単に消費されてたまるかと、ワザと読みづらくするのは大江健三郎や故・中上健次の小説作法だが、映画であれをやられちゃたまんないよ。映画は簡単に読み返しできないんだからさ。

ゴダールの分かりづらさが1作ごとに過激にエスカレートするのは、確かな計算あってというより、辛いものばかり食べてるとドンドン辛さのきついものが欲しくなるのと同じ生理現象じゃないかね。

逆に、分かりやすすぎて困るのがウディ・アレンの『マッチポイント』。BSフジが超キレイな画質で放送してくれたのだが、内容はどんなアホでも一目で分かる『罪と罰』の換骨奪胎である。大体、セリフでドストエフスキーに言及してるんだから、間違えるなよと初めから教えてくれてるようなもんだ。

その、なんでいま?感大のストーリーを2時間超にわたって丁寧きわまりなく描いてるから、こっちはアクビをかみ殺すのに大わらわ。ウディはこんな風にベルイマンの物マネを時々やるが、おもしろかったためしは過去一度もない。

途中、「彼のセーターはカシミアか」「いつもビクーニャよ」なんて対話が出てくる。こういう使い古しの記号で階級差をメタファーする発想ってのが、すでにトシ寄りだね。

結論。トシは取りたくない。
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アメリカの戦略

2010-11-13 | 政治
ほらな、案の定だ。菅内閣はAPECで決定的にアメリカべったりの方針に舵を切った。小泉内閣やその後継と、ぜーんぜん変わらない。民主は第2自民になった。市川房枝が生きていたら、なんと言っただろう。

菅直人は無論、アメリカとも中国とも仲良くする、などと口では言っている。だが対米関係強化は中国との離反に正比例することぐらい、百も承知だろう。アメリカはいま中国敵視政策を採りだしてんだよ。人民元を切り上げろと難題を持ち出して。

世界最大の対米債権国、中国が通貨を切り上げれば、つまり対ドル為替レートを下げれば、アメリカの借金(対外債務)はその分少なくなる。日本をさんざん食い物にしてきた手口だ。

アメリカその他の資本主義体制は、絶えず消費をしていないと経済が回転しない。日本やアメリカの不景気の原因が消費停滞にあることは、だれにでも分かる。

最大の消費は戦争だ。だから第2次大戦後、アメリカは絶え間なく戦争してきた。戦争を継続するには敵国が要る。50年カネづるにしてきた冷戦体制が崩れてからはイスラム社会を敵にしたが、世界中で評判が悪い上、産油国(=親米)以外のアラブ世界を叩いても得るものは少ないので金持ち中国を敵にし始めたのだ。

しかし中国は核を持っているから、実際に戦闘を始めるわけには行かない。そこで中国を仮想敵として、アジアの緊張状態を持続させようとしている。日中が手を結んでアジアの軍縮が始まると、アメリカはものすごく困るのだ。経済でも覇権でも。

郵貯1500兆のうち1200兆は円高と簡保施設の叩き売りその他で、すでにアメリカに吸い取られた。いや、自民政権が献上した。

アメリカは残り300兆も狙っているそうだ。小沢を葬り、親米タカ派を外相に据え、よきに計らえのバカ殿を首相にしたのは、自民政権と同様のスムースなカネの吸い上げ装置を日本に作らせるためだったとしか思えない。

9月の民主党代表選は要するに、政権交代の実を無にするクーデターだったんだね。

この日、政府御用放送、というよりアメリカ宣伝機関の一つNHKは、インドネシアの経済成長を伝えるドキュメンタリーを放送した。中国なんかと仲良くしなくても日本がパートナーを組むべき相手はいくらでもあるよ、というわけだ。

しかし中国もバカだ。ノーベル平和賞の授賞式に出席するな、などと世界中から嘲られるようなマネをして、対外イメージに関する感性がないのか。
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尖閣ビデオ

2010-11-10 | 政治
情報はすべて国民に開示されるのが原則である。それが民主国家というものだ。しかし、絶対に秘匿すべき最高機密ってものがあることぐらいは、オレだって認識している。たとえば、テロ捜査協力者の情報。公開すれば人命に関わる。

そういう最高機密を、うっかりだか故意にだか知らんが流出させといて、尖閣ビデオの責任問題もないもんだ。

5管海保の関係者いわく、「個人的な愉快犯の可能性が高い」だとさ。バカ言ってんじゃないよ。国家主義者の確信犯に決まってるではないか。自衛隊の幹部が国家主義的指導をしてることは、田母神事件のとき明らかになった。海保だって似たようなもんだろ。

大体、尖閣ビデオが機密事項なら、徹底的に箝口令を敷いとけよ。そうじゃないんなら、ハナから公開しとけよ。中国漁船の犯罪の証拠がビデオに映っている、などと事件発生当時の国交相・現外相が公言して、しかも当のビデオを公開しない。やることがハンパだから、こんなことになるんだよ。

菅内閣の閣僚って、揃いも揃ってパーだね。首相も外相も国交相も、全員ウツワじゃない。裏も先もまるで読めてない。政権交代直前の漢字読めないアニメの殿堂内閣と、いい勝負なんじゃないか。

いまからでも遅くない、小沢と交代しろよ。あと2年しかないんだよ。

自民の石原なんとかってヤツも、相当アホだね。国民は44分のビデオを見られるのに国会議員は6分モノしか見られない、だと。なら、てめーもユーチューブ見りゃいいじゃんよ。それとも、てめーは日本国民じゃないのか。

政府もメディアも尖閣にかまけて知らん顔してるが、警視庁の文書漏洩問題は、どう落とし前つけるんだよ。
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