蒲田耕二の発言

コメントは実名で願います。

「早く質問しろよ」

2015-05-31 | 政治
「大げさだよ」

これが一国の宰相のいうことか。無神経な言葉遣いだけではない。相手の言葉尻をとらえて絡むことに、いささかのためらいも覚えていないらしい。大人げない。

安倍熱烈支持の連中が目のカタキにする周近平や朴槿恵は、絶対にこんなヤジを飛ばさないだろう。飛ばせば自身の失点になる。相手につけ込まれる。国際的にイメージを落とす。政敵に塩を送ることになる。

質問の辻元清美が唇を嚙んで絶句したのは、怒りのためというよりも、徒労感からだったのではないか。国政の場で、こんな男を相手に議論しなければならないのか。ニヤニヤ笑いながら中学の生徒会レベルのヤジを飛ばす男を相手に疑問を糾さなければならないのか。

彼女がかつて「ソーリ」「ソーリ」「ソーリ」と連呼した小泉純一郎も安倍同様に、解釈改憲強行で対米従属で格差拡大の元凶だった。それでも、ここまで幼稚で不作法で非常識で恥知らずではなかった。

そら辻元自身も前科のある身だから安倍より全面的に上、とは言わない。こんな傲慢な態度を安倍に許すのも、野党がダラシないからだ。

しかし憲法学者の小林節がいうとおり、日本の政治家が劣化しているのは否定できない事実だろう。その原因は、世襲議員の増加だ。選挙区が資産、政治家が家業になり、日本の北朝鮮化が各地で進行している。彼らの生業に縛りを掛ける憲法を世襲議員たちは変えようとする。

「相手と意見が食い違うと論争できずにブチ切れて、拒否する」(小林)。これ、まさしく安倍の態度だよね。そして、気に入らない部下を次から次に処刑する金正恩の姿だ。

箱根で水蒸気爆発。口之永良部で爆発的噴火。小笠原沖でM8.5の巨大地震。誰も口に出していわないが、南海トラフのカタストロフィがヒタヒタと迫っている。3世議員を首班に戴く日本は大丈夫なのか。
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『アラジン』

2015-05-22 | ステージ
四季の豪華ケンラン路線用劇場「海」の出し物は、こけら落としの『マンマ・ミーア!』以来すべて観てきたが、昨日開幕した『アラジン』ぐらいカネの掛かったステージは、この劇場でも珍しいんじゃないか。

主人公が閉じ込められる宝の洞窟の凄さと来たら、あっけにとられて過呼吸に陥ったほどだ。金箔貼りの内壁を色とりどりのジュエリーがぎっしり埋め尽くしている。いや無論、本物ではなくガラスモンドなんだろうけど、それにしても少々のコストじゃ実現できまい。

「春」でロングランしている『ライオン・キング』のアカ抜けた美術ではないし、カネを掛ければなんでもいいってものでもないが、ここまでゼイタクに徹すると、ゼイタク自体がある種のディグニティをおび始める。ケチを付けようにも歯が立たない。

作品自体も多分、ディズニー・ミュージカルの中で出来のいい方に属する。アラン・メンケンの作風はいつもどおり、アメリカ大衆音楽の基本を踏まえ、そこに個性的な趣向を加えたものだ。

まず耳を捉えるのが、敵役の宰相とその子分がデュエットするタンゴ。出世作『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』でもメンケンはタンゴを効果的に使っていたが(映画版ではカット)、ここでもメリハリの立ったタンゴのビートが快適な流れを創り出す。むさい男同士のデュオにもかかわらず、メロディが無類にキュートだ。

事実上の主役、ジーニー(魔神)はキャブ・キャロウェイ風のスイングで登場し、ベニー・グッドマンに変わり、あげくにエンリケ・ホリンのチャチャチャへと発展する。大詰めには、フラメンコも隠し味に使われる。

スイングやラテンなどアメリカ人が過去の遺物と思い込んでいるスタイルから、こんな風に新鮮な味わいを引き出すところがメンケンの才気というものだろう。広範な市民に受け入れられる健全な保守性を保ちながら、惰性を避ける工夫を怠らない。それは、ディズニー・プロの社風そのものなのかも知れないが。

ともあれミュージカルは、オペラが大衆のあいだに降りてきたようなウェストエンド系よりも、大衆音楽の雑味が濃いブロードウェイ産の方がオレは好きです。
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徴兵忌避者

2015-05-15 | 政治
1950年代のセーヌ左岸派文化全盛のころ、サンジェルマンデプレのドンだったボリス・ヴィアンは、取り立てて優れた文学者だったとは思えない。ミュージシャンとしても、トランペットも歌もほとんどシロウト同然だった。それでも彼は、歴史に残る1編の詩を書き残している。

 血を流さなければならぬなら
 あなたの血を流しなさい
 大統領閣下
 あなたは国民の善き指導者なんだから

「徴兵忌避者 Le déserteur」は、今も昔も「卑怯者、臆病者」のニュアンスで語られる。ヴィアンはあえて、その言葉をタイトルに選んだ。そこに庶民の目線がある。権力者の捨て駒にされるのは、いつも無名の市民である。抵抗すれば、非国民とののしられる。

この反戦歌を歌うべき時が、ふたたびやってきた。「大統領閣下」を「総理」に換えて。

昨日、安保関連法案が閣議決定された。10年後には、徴兵制が復活しているだろう。
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シャーロット

2015-05-08 | 社会
と、大分の自然動物園で生まれた子ザルに名づけたら、抗議のメールと電話が殺到したそうだ。人種偏見のイギリス人が苦情を言ってきたのかと思ったら、日本人からなんだと。「英王室に失礼じゃないか」

その昔……って、第2次大戦前のことだけど、パール・バックの『大地』を映画化したアメリカ映画が来たとき、イナゴの大群が畑を襲うシーンで映画会社が「蝗軍来たる」と字幕を入れた。すると当時の検閲官が、「皇」の旁の文字を使うとは不敬である、てんでカットさせた。

今度の命名騒ぎ、レベル的にそれに近いね。ニュアンス的には国家主義よりも白人コンプレックスだが。

周近平とか朴槿恵とか命名しても、抗議したヤツらやっぱり抗議すんのかよ。

当のイギリス人自身は、少なくとも報ステのインタビューに応じた男性は、オレもうちのネズミにシャーロットと命名したよ、と笑っていた。オトナだよな。もちろん画面に出てこない連中の中には、不届きなアジア人め、と目を吊り上げてるのもいるだろうけどさ。

渋谷のギャルが、えっなんで、と怪訝な顔をしてるのもよかった。「いささか不適切じゃございません? ホホホ」などと言ってる婆さんより、あの子たちの方が健全だよな。

で、動物園はイギリス大使館と相談して子ザルの名前をどうするか決めるんだと。卑屈。なんでそんなお伺いを立てる必要があるのかね。別にイギリスが「シャーロット」の独占使用権を握ってるわけじゃなかろうが。
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