蒲田耕二の発言

コメントは実名で願います。

自民圧勝後

2013-07-26 | 社会
福井の水月湖なんて名前も知らなかったが、これがいま世界の考古学界で注目の的なんだと。湖底に7万年分の堆積物が整然と積もっていて、堆積層が1年1年くっきり鮮明な縞模様を描いている。これを年縞(ねんこう)と呼び、年代測定の精密な尺度になるそうだ。

たとえば、縄文土器の年代は従来は1万何千年前、程度しか分からなかったが、年縞を尺度にすれば年単位で分かる。

分かるのは土器の古さだけじゃないよ。地震があると湖底には土砂が普段より厚く積もるから、どのくらいの頻度で福井地方が大震災に見舞われたかも正確に測定できる。堆積層を掘り取ってみたところ、2900年に1回の割合で大地震が起きていると判明した。

で当然、最後に起きたのはいつで、次に起きそうなのはいつか教えてくれるんだろうねと思ったら、NHKの報道は「判明した」までで終わり。

そらそうだろな。福井といや、活断層疑惑の大飯や敦賀をはじめ原発13基を抱える原発銀座だ。税金垂れ流しのもんじゅも同県にある。もしもこの地方で大地震の切迫が予測されたら、原発再稼働推進の安倍内閣にとっちゃ大打撃だ。お上に頭の上がらないNHKが報道するわけがない。ねじれ国会解消の効果、ここにあり。

ひょっとして、今年が2900年目だったりして。

一方、日本郵政はアフラックのガン保険販売。ほうら、いわんこっちゃない。アメリカに押し切られたんだろ。TPPの最大の問題はコメの輸入関税撤廃なんかじゃなくて、国民皆保険の崩壊なんだよ。

こりゃ序の口だね。税金による医療補助は自由競争の阻害だと、アメリカは必ず文句をつけてきます。で日本は混合診療、保険料暴騰、医療荒廃の生き地獄へ真っ逆さま。

なんのことだかよく分からんて人は、マイケル・ムーアのドキュメンタリー『シッコ』でも観てお勉強してね。アメリカの保険会社ってのは、保険料は遠慮なく搾り取るが、いざ医療費支払いの段になると、ありとあらゆる屁理屈こねて支払いを渋るんだよ。

以前、報道ステーションでスポーツコーナーを担当していた武内アナ、お母さんになって引退したのかと思ったら、いつの間にか復帰してたね。子育ても一段落したようで何よりです。前より痩せたが、やっぱりキュート。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

人身事故

2013-07-15 | 政治
いまオレの住んでいる田舎町から東京へ出るには車以外、東武鉄道が唯一の足なんだが、この路線、人身事故が異常に多いんだよね。つい先日も発生して、待ち合わせに1時間遅刻。引っ越してから1年ちょっとで三度だよ。毎日乗ってるわけでもないのに。

人身事故=飛び込み自殺だと思い込んでいたから、格差拡大で困窮者が増えて、自殺まで追い詰められるんだろうなあ、気の毒になあ、なんて動かない車内で古典的な感慨に耽っていたが、どうも勘違いだったらしい。

実は人身事故の半分は酔っぱらいの転落で、加えて歩きスマホでホームから転落する子が増えてるんだと。アホか。ゲームやツイッターに熱中して命を落としたり両足なくしたりするのはテメーらの勝手だが、何万人もの乗客の迷惑を考えろよ。

週末の参院選はどうせ自民圧勝で終わるんだろうが、その結果、憲法改悪→国防軍創設ってことになるんなら、ぜひとも徴兵制を敷いてもらいたいね。言われなくとも自民政権は徴兵制を狙ってるだろうが。

職のない若者だけがやむなくカネのために入隊し、金持ちや権力者のドラ息子はラクする志願制など、とんでもない。

スマホのゲームしか眼中にない連中やヘイトスピーチをやってる連中には、真っ先に入隊してもらう。それでもって旧軍さながら、自衛隊から横滑りの古参兵に思いっきりシゴいてもらう。

命令には絶対服従。スマホで遊ぶなど、もってのほか。どこかの高校のバスケット部顧問なんか、甘い甘い。連日、顔かたちが変わるぐらい殴って殴って殴りまくってもらう。そこまでやられりゃ、連中も少しは眼が覚めるだろ。

なんせ自民の憲法改悪案じゃ、基本的人権の保証(97条)も奴隷的拘束の禁止(18条)もなくなっちまうそうだからね。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

音は世に連れ

2013-07-09 | 音楽
DSDレコーダーを手に入れてからLPのダビングに熱中していたが、あまりの暑さに一休み。いくらオペラ好きでも、この時期に聴くのは胃潰瘍のハラにステーキを詰め込むに等しい。

LPはいい、CDは音が悪いと散々書き散らしてきたが、LPもいいことばっかじゃないですね。欠点の一つは、品質にムラがあること。コンピューター任せのCDは格別いい音もしない代わりに極端な粗悪盤もないが、LPは製造に携わる技師、というより職人の経験とカンが大きくモノを言う。いいものは気が遠くなるほどいいが、悪いのは徹底的に悪い。手抜き、または未熟な技術で作られたLPの音は悪夢だ。

たとえば、1964年に発売された『カルメン』全曲の米Angel盤がいまオレの手許にあるが、3枚6面のうち第2、3面は製盤不良で音が歪みきっていて使い物にならない。アメリカはLPの発明国だから、50年代にはけっこう質のいいレコードを作っていたんだけどねえ。60年代に入ると、この国は途端にモノ作りの質が落ちた。

LPのもう一つの欠点は、よく知られているようにサーフェス・ノイズが多いことだ。

ノイズにも色々あって、ユーザーが不注意でつけたキズが原因のヤツを別にすると、まずはホコリが付着して発生するパチパチ・ノイズ。これは木工ボンドを水で溶いて盤面に塗れば取れる、と言われているが、万一失敗したらエラいことになるから実行していない。LPって、買い換えがきかないもんね。

ノイズの2種類目は、不純物の多い低品質の塩化ビニール素材に起因するジャリジャリ・ノイズ。50年代の日本盤や60年代のアメリカ盤には、これが実に多い。トタン屋根に雨が降りしきるみたいに絶え間なくノイズが続くので、音楽に集中できない。のみならず、針が磨り減るんじゃないかと気が気じゃない。当節、交換針を手に入れるのも一苦労だからさあ。

3番目は、スタンパーのキズが引き起こすノイズ。数は少ないが、ガツンガツンとすさまじい大音響を出す。

LPをセンベイ式にプレスするスタンパーとその母型のマザーは金属メッキで製造するが、メッキは必ずしもムラなく完璧には行かない。ところどころに小さな窪みや出っ張りが残り、これが大音響ノイズの元凶になる。

出来上がったばかりのマザーを試聴してノイズ源のキズを一つ一つ極細のノミその他で均すのだという話を、昔オレ自身がレコード制作に携わっていたころ、ビクターの工場で聞いた。試聴するのは、聴覚の鋭敏な十代の少女に限るそうだ。

1970年代後半からCD登場前夜までの日本製LPは高品質で定評があったが、こういう丁寧な手仕事が行われていたからなんでしょうね。そういや、あのころパリへ行くと、FNACなんかでフランソワーズ・アルディやジュリエット・グレコの日本盤を売っとったワ。日本語のタスキをつけたまま。

一方、日本のクラシック・ファンが信仰に近いほど崇めていたイギリス・プレスは、いま聴いてみるとEMIなんか酷いもんだね。モノラル録音を疑似ステレオという気持ちの悪いフォーマットに改悪したレコードが多いし、そのうえガツンガツン、耳をつんざく大音響ノイズが異常に多い。マザーの検品など、全然やってなかったんじゃないか。

EMIのライバルだったDecca盤はすごい高音質だから、これはイギリス盤の、というよりEMIの欠点だろう。この会社はレコード会社でありながら、昔から音質には無頓着だった。大物ディレクターのウォルター・レッグが、いくら要求しても性能のいいマイクを会社が買ってくれないので、やむなくポケットマネーで買ったと回想録に書いている。EMIはCDでも、復刻盤に関するかぎり、どんなレーベルよりも音が悪い。

ところが同じ系列でも、フランス盤は意外に品質がいい。フランスの工業製品なんかバカにしていたから、これにはちょっと驚いてしまった。

EMIじゃないが、バルバラが50年代末に録音した25センチLPが2枚、手許にある。どうせノイズだらけの酷い音だろと思いつつ針を下ろしてみたら、これがなんとノイズ皆無。25センチなのに録音レベルが高く、内周部のフォルティッシモでも歪み極小、彫りの深いヴォーカルがくっきり眼前に浮かび出る。声の響きがCDのように冷たく乾かず、透明感と潤いにみちて空間を流れる。

これぐらい澄んで豊麗な音を出すLPは、ほかに80年前後の日本プレスぐらいしか思い浮かばない。EMIもそのころの日本盤だと、文句なしの高品質である。

しかしフランス盤は、70年代に入ると品質が低下する。上記バルバラの25センチは、その後 2 in 1の30センチに切り直されたのだが(それも手許にある)、オリジナルの透明感と奥行きはどこへやら、ノイズこそないもののCDみたいにペチャッと平べったい音に変質してしまった。

フランスは第2次大戦直後から70年代初めまで、堅調な景気を続けた。これを「黄金の30年間」と呼ぶそうだ。第1次石油ショックを境に、それが崩れて失業率が急上昇する。特に若い世代の失業率が10%を超え、彼らに場所を譲るため高給取りの老職人が職場から追われるようになった。そういう状況を当時、ジルベール・ベコーが「退職 La retraite」で歌っていた。ビートは軽快だが後味の物悲しいスウィング・ナンバーだ。

フランス盤の品質低下は、高技術の職人が次々現場から去ったことを意味している。代わって右肩上がりの高度成長路線をひた走っていた日本のレコードは、ぐんぐん品質が向上した。歌はやっぱり「世に連れ」なんですね。この場合、歌というより音だけど。

それで思い出したが、あのころフランスは盛んに日本のことを罵ったり嘲ったりしていたもんだ。日本人はウサギ小屋に住んで働くしか能のないワーカホリックだとか。

作家のJ.-P. トゥッサンが自作を映画化した『ムッシュー』を観たら、短躯で出っ歯で近眼で(欧米人の描く典型的日本人像)紙に書いたセールストークを一方的に読み上げる日本人セールスマンが出てきた。

あれは、フランス人の嫉妬だったんでしょうなあ。自国が衰退期に入った焦り。いま日本人が、中国と韓国を悪しざまに言ってるのと似てるね。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする