西岡文彦氏の「モナ・リザの罠」を読んでいました。
まあ、これほどまでにあれこれと取りざたされ、
賛美され、疎まれ、詩になり、小説になり・・・・・
ともかくもこれほど長きにわたって、世間を騒がせ続けている絵も
珍しいでしょう。
西岡氏はダ・ヴィンチの時代の絵画観、自然観を踏まえて
その先進性と普遍性を唱えておられましたが、
最後に、「いろいろな先入観を捨てて、モナ・リザを見たら
その普遍性に驚くだろう」
(細かい言葉は忘れましたが)
(私はせっかく読んでも端から忘れてしまう)
と、結んでありました。
でも、でもです。
「そりゃーないよ!!」と思いました。
だって、のっけからモナ・リザのさまざまな解釈を散々紹介しておいて
いまさら「真っ白の頭」なんぞになれるわけもない。
さまざまな解説を読みつつ、心の底から
「ああ、本当になーーーーんにも知らずに、いきなりこの絵の前に立ったら
いったいどんな印象を受けたのだろうか?」と思うと、
この先、どんなにあがいても、そんなまっさらな気持ちで
モナ・リザと向き合うことはあり得ないだけに、
とってもとっても残念です。
物心ついたときにはすでに「モナ・リザ=謎の微笑」とか
「世界的名画」という言葉のイメージの方が先に刷り込まれて
いたもんね。ホントに残念。
これからは出来るだけ、「作者」とか「値段」とか「題名」を
見る前に、自分の感性でしっかりと作品を見たいと思いました。
でも、よほど意識しないと余計な情報に惑わされがちですよね。
せっかく馬齢を重ねているわけですから
それくらい、人の評価ではなく良くも悪くも「自分の感性」に
正直であってもいいと思います。
ひょっとして、ピカソが晩年「やっと子供のように絵が描けるようになった」と
言ったのも、こんな風にまっさらで新鮮な感性のことだったのかなぁ???