仏壇販売人、ぶつぶつ日記

山口県の隅っこから
仏壇販売人のたわ言、繰言、独り言。
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名画の落とし穴

2006-05-23 16:45:44 | 私の本棚から

西岡文彦氏の「モナ・リザの罠」を読んでいました。

まあ、これほどまでにあれこれと取りざたされ、
賛美され、疎まれ、詩になり、小説になり・・・・・

ともかくもこれほど長きにわたって、世間を騒がせ続けている絵も
珍しいでしょう。

西岡氏はダ・ヴィンチの時代の絵画観、自然観を踏まえて
その先進性と普遍性を唱えておられましたが、
最後に、「いろいろな先入観を捨てて、モナ・リザを見たら
      その普遍性に驚くだろう」
(細かい言葉は忘れましたが)
(私はせっかく読んでも端から忘れてしまう)
と、結んでありました。

でも、でもです。
そりゃーないよ!!」と思いました。

だって、のっけからモナ・リザのさまざまな解釈を散々紹介しておいて
いまさら「真っ白の頭」なんぞになれるわけもない。

さまざまな解説を読みつつ、心の底から
ああ、本当になーーーーんにも知らずに、いきなりこの絵の前に立ったら
 いったいどんな印象を受けたのだろうか?」
と思うと、
この先、どんなにあがいても、そんなまっさらな気持ちで
モナ・リザと向き合うことはあり得ないだけに、
とってもとっても残念です。

物心ついたときにはすでに「モナ・リザ=謎の微笑」とか
「世界的名画」という言葉のイメージの方が先に刷り込まれて
いたもんね。ホントに残念。

これからは出来るだけ、「作者」とか「値段」とか「題名」を
見る前に、自分の感性でしっかりと作品を見たいと思いました。
でも、よほど意識しないと余計な情報に惑わされがちですよね。


せっかく馬齢を重ねているわけですから
それくらい、人の評価ではなく良くも悪くも「自分の感性」に
正直であってもいいと思います。

ひょっとして、ピカソが晩年「やっと子供のように絵が描けるようになった」と
言ったのも、こんな風にまっさらで新鮮な感性のことだったのかなぁ???