甲斐バンドの「メガロポリス・ノクターン」を、相当ぶりに聞いた。
じぶんはこの曲がとても好きなことに改めて気づいた。
とあるファンの人は、この曲のコメントとして「甲斐バンドの最後らしい」と言っていたが、私も当時二十歳でそう思っていた。
ワルツそのものの「ドンタッタ・ドンタッタ・・・」という調子にストラングラーズの「メニンブラック」が重なってしまう。
この曲を聴いたのは、ハタチ=素浪人無職の果て。
そんなご身分で居ながら、平民たちが働いている時間の昼下がり、2時間ドラマの再放送をする2・3時あたり、テレビからこのキョクが流れていた。
明らかに甲斐バンドも散りゆくことを知りつつ私にとっての80年代も何もかもが散り散りになっていく感覚の中、このワルツは流れていた。
甲斐さんという人は、ゴツゴツした生身感を持ち味としているから、相反する80年代は逆風だったイメージがある。
わたしは決して甲斐バンド/甲斐よしひろの熱狂的ファンではないが、
バンドが出てきた70年代の空気を引きずれない80年代に、甲斐よしひろがもがき進んだ道に対して、とても敬意の念を持っている。
向き・不向きにかかわらず、全てのものは同時代的であらざるを得ない(坂本龍一)時代の流れの中、そこにどう沿うべきか?どう生き抜くか?に労を費やした末のたそがれがこの曲に漂う。
■甲斐バンド「メガロポリス・ノクターン」1986■