京都つれづれなるままに

京都好きの旅日記。お寺、神社、グルメからスイーツまで!思いつくままに。

晩夏の無鄰菴

2020年09月23日 09時18分00秒 | 日記
 無鄰菴は過去に何度か書いているので詳しい説明は省きます。





明治政府による上地令により南禅寺の境内地はその約9割を失うことになります。
南禅寺は徳川幕府と関係が深く、特に塔頭金地院には家康を神として崇める東照宮があり、明治政府に目の敵にされて来ました。

その地が民間に払い下げられ、東山の景観を守る主旨で別荘地として開発されました。
いわゆる"南禅寺別荘群"の誕生です。その中で唯一、一般公開されているのが無鄰菴です。

もとは明治の元老山縣有朋の別荘でしたが山縣家から京都市に寄贈されました。

現在は京都市の指定管理者制度で植彌加藤造園さんが管理運営されています。
庭園管理のプロ集団ですので、いつも素晴らしい手入れがなされています。





この日は雨上がりだったので東山には霧が立ち込め幻想的な風景でした。


9時から17時まで開場されていますが、コロナ拡散防止策で1時間あたり最大15名までの制限を設けられています。

予約に空きがあれば2時間前の予約も可能なシステムです。





人数制限をされているので主屋の縁側からは水のせせらぎが心地よく聴こえて来ます。
また、東山の山々を庭園の一部であるかのように取り込み、実際より遥かに奥行き感を感じます。





部屋の設えも定期的に変えられているので何度来ても新鮮味があります。



この日のお軸は大徳寺塔頭黄梅院の小林太玄和尚の筆です。

先日も黄梅院にお邪魔しましたが、84歳になられ、耳の方は少し遠くなられていますが、お元気で、心に染みるお言葉の御朱印を書いて頂きました。



また、文化事業にも力を入れておられ、庭園の解説、野鳥講座、茶道講座、在釜を始め、その道の専門家を招いて様々な文化講座も実施されています。







主屋からは見えませんが、庭園の中ごろには池があり、その東側には風情ある沢飛び石が配されています。
最も東側には豪快な石組みの滝が三段になって琵琶湖疏水の水を落としています。

"静"と"動"との両方を感じます。

琵琶湖疏水の一次水を引いているので庭園には琵琶湖の生態系が残り、初夏にはホタルが乱舞します。

この豊かな琵琶湖疏水のおかげで京都市で使われる水の99%が賄われています。
京都市は毎年の予算で滋賀県に対し「疏水感謝金」の勘定項目で2億2千万を支出しています。
ですから、滋賀県民の皆さま「琵琶湖の水 止めたろか!」とは言わないで下さいね!




庭園の隅には洋館があります。純日本風の景観にはやや不釣合いを感じますが、100年以上を経過した今では、すっかりと馴染んでいる感さえしてきます。









最近、山縣家から椅子の寄贈があり、早速展示されていました。



洋館から見た主屋の風景です。

"文化財の有効活用"を常に考えられている"無鄰菴"です

庭園に明治近代庭園の新鮮さを感じ、琵琶湖疏水に日本人だけで臨んだ偉大な事業に想いを馳せる事の出来るそんな講座が無鄰菴には相応しい様に感じます。