震災・原発事故で仕事激増
先生が足りない
避難の学校 子どもの体力心配
福島県の教育団体がつくる「大震災後の福島県の教育復興を進める会」は18日、福島大学で開いた教育復興シンポジウムで、同会が県内の全小中学校にアンケート調査した結果を報告しました。震災、福島第1原発事故のために学校の仕事が激増し、子どもたちの教育課題も多く生まれ、教員の増員が切実であることが浮き彫りになりました。
福島 小中校調査
アンケートには全公立小中学校725校の76%にあたる551校が回答。結果をまとめた千葉養伍・福島大学教授が報告しました。
カリキュラムの実施について、ほとんどの地域で「一部困難さや制限がある」が約70%におよんでいました。
子どもたちの体力については、避難している学校は、どの地域でも50%以上が「課題となる変化が見られる」と回答。生活態度の変化でも、避難している学校では、多くの地区で50%前後が「課題となる変化が見られる」と回答しました。スクールバスでの長時間通学の疲れ、教師とのコミュニケーション不足、仮設住宅などでの他校生徒との関係、などがその内容でした。
学校の仕事量の変化では、会津、南会津以外の地域の多くで「増加した」が80%前後になりました。その内容で多かったのが、除染等の放射線物質への対応、保護者への対応、授業で屋外が使えないことへの対応、震災にかかわる学内外との連絡調整でした。
今後予想される対応がなにかについては、避難していない学校で「除染・放射線」が44%。避難している学校では「除染・放射線」「心のケア」「再開準備施設関係」のいずれもがトップで各20%でした。
必要とされる条件整備は「環境放射線の低減」「学校施設の整備」「教員の増員」がトップ3。必要増員数の合計は780人になりました。
千葉氏は、「本来の業務でないことに学校が追われています。学校の体制が心配です。教員が実際には足りていない」と指摘します。
パネル討論のなかで、県小学校校長会行財政部長の佐久間裕晴・川俣小学校校長が「教員の増員をぜひお願いしたい」と強調しました。