4.父母がモノを言えなくさせられる
またまた条文から、
「教員は、組織の一員として、教育委員会の決定、校長の職務命令に従うとともに、校長の運営方針にも服し、学校運営の一翼を担わなければならない」(教育基本条例案第9条3項)
「保護者は、教育委員会、学校、校長、副校長、教員及び職員に対し、社会通念上不当な態様で要求等をしてはならない」(教育基本条例案第10条2項)
教育基本条例案は、「保護者は、教育委員会、学校、校長、副校長、教員及び職員に対し、社会通念上不当な態様で要求等をしてはならない」と述べています。これは、父母が学校や教育に対して要求する権利を奪うものと言わなければなりません。
いったい、「社会通念上不当」というのは、誰が決めるのでしょうか? また、どのような「態様」が不当なのかを、だれが決めるのでしょうか? この条例は、その運用次第で、父母の教育権を制限ないしは、はく奪するものとなることは明らかです。
父母は教育権をもっているのですから、学校や教育委員会などに、わが子が受ける教育をよくしてほしいと要求する権利を持っています。また、わが子だけではなく、子どもたちに行き届いた教育条件を求める権利を持っています。たとえば、30人学級をふくむ少人数学級を実施してほしいと願うのは、一人ひとりの子どもたちに目を行き届かせてほしいという父母の願いとして当然のことであり、それを署名活動や、時にはデモやパレードなどという形で要求することが、これまでもおこなわれています。それらは、憲法に定められた権利の行使であり、当然、「社会通念上不当」であるわけがありませんが、時の権力を持っているものが、「社会通念上不当」と認定すれば、そうしたことも制限ないしはおこなわれなくさせられます。
父母の願いを退けて教育がよくなるはずがありません。