の続きです。
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友人に
「入院生活はどうだった?」と聞かれたら、普通は真っ先に、
「6日間絶食だった。でも点滴で栄養剤を入れているので、不思議なほど飢餓感がなかったのよ。しかもその栄養剤が良すぎて、余り痩せもしなかったのよね、がっかりな事に。」と、この事を言いそうなものです。
そうなんです。先生は最初3日、お食事はナシと言ったのですが、その後の採血での結果が良くなくて、結局6日間も食事がなかったのです。
こんな経験は初めてだったので、驚きはしましたが、上にも書いた通り辛くもなかったのです。しかも食べていないのだから痩せるだろうと思っていましたが、大した事はなかったのですよ。逆に体重を増やす人も居るそうです。恐るべし、栄養剤ですね。
私の場合は2キロは痩せましたよ。でもその半分は検査日前の検査食のお陰なんじゃないかなと思います。
でも病院に居て、食べていないから痩せると理由が分かっているのは、私的にも安心でした。その前から、何の努力もしていないのに、100,200と減り始めていたのです。
太っているんだから、痩せれば嬉しいだろうと言うものではないのですね。
「何の努力もしていないのに」と言う所が、怖いしイヤなのですよね。
入院の前と後で5kほど痩せたような気がします。今年のダイエット目標は思いがけずクリアしてしまいました。名付けて「病気ダイエット」。あんまりかっこ良くはない。
夫殿は時々、気合を入れてダイエットしない私に嫌味っぽいことを言うことがありました。と言っても大した事ではないのですが、彼は彼なりに私の健康を気遣ってくれているのです。分かっているのだけれど、子供と同じで上手く言っていない事をヤンヤと言われると、非常にうっとおしく感じるものなのです。
「るさいな
どうせ病気になって死んでいく時に痩せるんだから それまでほっとっいて
」
「いいや、ママの場合は怪しい。病気になっても痩せないでそのままブヒーと死んでいくような気がする。」
もちろん、死に至る病ではありませんが、夫殿よ、病気でちゃんと痩せたぞよ。
<注:だからと言って、悲しい事にdebuを廃業したわけではない>
だけど「入院生活はどうだった。」と聞かれると、この6日間の絶食&病気ダイエットの話よりも、思わず私は「妖怪小銭数えお婆」の話をどうしてもしてしまいます。
もちろんそんな妖怪はいません。私が名付けたのです。「まったく、もう」と言う意味を込めて。
子供の時に、ある人が
「世の中には病気の時に『お大事に』と言うと、一生懸命に病気を大事にするやつがいる。」と言ったのを聞きました。
この人は、上手い事を言うなと思いました。でもそれが具体的にどういう状態を指すのかはよく分かっていなかったと思います。
ところが大人になってみると、自分の病気を大事にして常に調子が悪いと訴えている人がいることを知りました。
こんな風に書くと、その人は本当に調子が悪いのだから、そんな風に言ってはいけないと思う人もいると思います。でもこれは本当に、私が痛い目にあった過去の出来事です。何故痛い目にあうのかと言えば、負のオーラは伝染するのです。簡単には語れません。
最初、寝たきりばかりのおばあさんたちしかいない病室しか空いていませんでしたのでその部屋に入りました。
すると翌朝、看護師さんに
「この部屋でごめんね。」とさりげなく謝られてしまいました。
謝られて私はちょっと驚きましたが、たぶんこの部屋は夜中が煩いので、そのことを言っているんだなと推理しました。何が煩いのかと言うと、真夜中のオムツ替えやトイレのお手伝いで聞こえてくる声です。真夜中の4分の1はそんな声が聞こえていたような気がします。そしてその後はすっかり目が覚めてしまったりもしたのですが、スマホで音楽とかを聴いて、又うとうと寝始めると、又明け方同じような事が繰り返されるのでした。
確かに目は覚めてしまいました。でもここはホテルではないのですから、そう言うお世話の声、トイレに行きたいから手伝って欲しいと言う声は、当然の「音」であり、私にしてみれば風の音と同じです。全く気になりませんでした。
だけど午後から部屋が変わりました。
お部屋が変わったら、確かに良いことがありました。話すお友達が出来たのです。
一人は明日退院していくと言う人で、彼女の体験談にはしみじみするものがありました。
3ヶ月の長きに渡っての入院生活で、かなり良くなった時に勧められて姪の結婚式出席の為に一時帰宅をしたのだそうです。その時一人暮らしの部屋の時間は止まっていたと感じたと言うもの。
「時間が止まるって言うのは、こういうことを言うんだって思ったの。」
壁にかかっていた7月のカレンダーがそのままで、季節は秋だと言うのにその部屋の中だけは夏のまま。
その方は手術の後1ヶ月お食事がなかったのだとか。その話も、私には驚きでした。
そんな彼女も明日退院で、入院生活に不慣れな私は、疑問に思っていた看護師さんには聞き辛いことなどを、いろいろ彼女に教えて貰いました。たった一日の友人でしたが、住所交換なんかもさせていただきました。
私は前向きで頑張っている人が好きなのです。
彼女が退院していって入って来た方は、私と同じ年。おしゃべりも弾みました。
実は彼女の治療は抗がん剤の点滴治療で、ちょっと辛い内容でした。
昼間は気も紛れる事もあったのですが
「夜が長いよね。」と言う私の言葉の意味が、彼女は凄く分かっている人だと思いました。
長い夜、その時みんな一人ひとりに戻って自分と自分の病気と、その苦しみと向き合わなければならないのです。
実際に彼女のうめき声が聞こえてきました。
だけどどうしてあげる事も出来ないのです。でも苦しさのピークが過ぎた頃には、一緒に院内散歩を楽しみました。ご一緒なので、後1周頑張ろうかなどと言い合って、以前からの友人みたいでしたよ。
こんな風に良い出会いがあったのは幸いな事だと思います。
kiriyさん、気さくな人だからと思うでしょう。でも本来はそう言う人ではないんです。何とはなしに猫型と言うか、心を許してる人たちとは長く付き合うけれど、初対面&行きずりの人は苦手な方なんです。だけどもしかしたら、私も歳を取って少しずつ変わってきているのかも知れません。昨年の山形旅行一人旅の時に、意外と見知らぬ人と話すチャンスがあり、そんな風に感じたのです。
だけど、そんな私が声も掛けなかった方が先の述べた「妖怪小銭数えお婆」と言う失礼なお名前を差し上げてしまった人なのです。
ただでさえ長い夜を更に長くしてくださった彼女。
ちょっとこの記事自体も長くなってしまったので、次回に続きます。
<最近、買い物ついでに『一命』を見に行ったり、昨日も初日に『カイジ2』を見に行ったり、wowowで『ベッジ・パードン』を見たりで書きたい感想が溜まりまくりです。こういう時はいつもざっくり書けなかったとなるのが今までの私。でも3作とも傑作でタイミングがずれても、そのうちアップする予定です。日常生活では驚く事に編み物なんて始めました。網目ぐちゃぐちゃ。だって何年ぶり?結構自己満足で楽しんでいます。ハロウィーンの時には、卒業していった子供が二人、高校の制服で訪ねてきたりとか、退院早々、お仕事が1件増えたとか、私の毎日は『THE 日常』。>