The 入院 <病院に朝が来て> の続きです。
家にいてもそうなんだけれど、昼間の時間ってあっと言う間に過ぎていくと思いませんか?
病院にいてもそれは同じです。
先にいきなり夕方のお話ですが・・・・
「疲れるから、毎日来なくて良いよ。」って言ったのに、夫はほとんど毎日顔を見せてくれました。来なかったのは水曜日の一日だけ。だって「相棒」は8時からでしたものね。買い物してご飯作って、忙しいもの、来なくて良いんですよ。
来なくて良いよと言いながら、やっぱり来てくれると嬉しいものです。
病状報告とか事務手続きの事務連絡とかもしますが、いつも通りのテレビの話なども少々。
「『家政婦のミタ」、見た?」
「入院初日だったから、流石にテレビなんか見ないで静かにしていたよ。」
「『南極大陸』、力が入っていて、ちょっと楽しみじゃない?」
「まったくもって興味がない。wowowの『パンドラⅢ』が凄く面白いよ。そう言えば、「魔法使いの弟子」も面白かったよ。今、wowowを見られなくて残念だね。」
「別に良いよ。たかがテレビじゃないと言いながら、『魔法使いの弟子』は見たかったな。」
「又何回もやるよ。」
と言った感じ。うちら夫婦、テレビもお友達。いつも通りの日常会話。
日常じゃない会話だと・・・
「ところで家のほうは問題ない?」
「全然ないよ。」
「そ、そうなの?私のありがたみが分かったとか・・・?」
「いや、俺、ちゃッちゃとやってしまうし。台所なんかいつも綺麗なもんさ。洗濯はルート君がやってくれるから溜まってないし、ラッタも彼なりに気を使って、グラスなんか自分で洗ってるし、ペットボトルなんかもちゃんと分別してる。」
「ニャンと。そう言えば、前におばあちゃんが、この子達はお母さんがいない所では良い子だよって言ってたな。いる時も良い子でいろよって言いたいよね。」
「と言うかさ、台所なんかあんなにすぐに片付くのに、あいつ今まで何をサボってやがったんだって思ったぜ。」
ドキリ。ば、ばれたか・・・!
「うーん。自覚なかったけれど、やっぱり私調子が悪かったんだね。」ヨロリ。
突然の病気顔。
「そうだな。前から徐々に来たことで、急になった事じゃないもんな。」
シメシメ。夜は本当に疲れちゃってと言うのも本当なんだけれど、単なる家事嫌いと言う事は、チョックラ黙っていよう。
「だけど家事は、あなたの方が上手そうなので、これからもよろ・・」
「しかし、やっぱり主婦は凄いね。あんなに毎日毎日メニューを考えるなんて、それだけで頭が下がる。敵わないナー。」
く、くそ。←お下品でごめん。
敵もさる者じゃ。抜け目がない。
これを機会にいろいろ押し付けたろかと思ったが、褒めて逃れ追ったワイ。
もちろん夫には感謝をしています。だけど自分が病気になった時、やはり思った事は必要以上の感謝や申し訳ないという気持ちは不要だと言う事です。なぜなら家族だから。
これは万が一、夫や子供が病気になった時も同じ事なのですから。
だけどこんな入院が10年前や15年前だったら、私は同じような事を思えなかったと思います。子供たちはどうしてるだろうとやきもきしていたに違いありません。いつも帰りの遅かった夫も、疲れ果てて目が三角になってしまっていたかも知れません。「今」で良かったと、私は思います。
ところが若いお母さんを家族でお見舞いに来ている姿を入院中に見かけました。その家族が明るく「大丈夫、何の問題もないよ。」と言っているのが耳に入ってきました。「家族」と言うのは、何か問題が起きると、それに対して立ち向かうスイッチが入るのかも知れませんね。
「覚えた九九をママに聞かせてあげな。」と若いお父さんが言うと、一緒に居た少女が九九を結構早く良い始めました。微笑ましい光景でした。
病院には様々なシーンが落ちています。私はそれをぼんやり眺め、全く退屈しませんでした。
夫との会話でも、とうとう「退屈だろう?」と言う言葉は出てきませんでした。私の性格を知っているのです。
どうせパソコンで遊んでいたんだろうと思うかもしれませんが、実はこの病院では禁止だったのです。まさかルール違反をしようなどと微塵にも思っていませんので、すぐに封印して家にもって帰ってもらいました。この事は、批判ではありませんが、ちょっとだけ思う事がありました。この話を中心に、この記事も書きたいような気もしていましたが、思いがけず家族スナップのような記事になってしまったので、その事は別記事で書いてみたいと思います。
パソコンを家に戻して、翌日売店にノートを買いに行きました。
私の趣味は、たぶん書くことなんですよ。ブログで下書き状態になっている童話の続きを書いて、年末の大掃除計画を立てて、そのノートの字が余りにも汚いので、字の練習をしていました。
他には本を読んだり、ご無沙汰してしまっている友人にメールを送ったり、時々テレビを見て、病院で友達になった人とおしゃべりをしたり・・・
優雅な病院生活じゃないって思うでしょう?
ところがそうは行かなかったのです。
優雅にのんびりと暮らすと言うのは、私には余程合わない事なんだと思います。
病気で入院してしまったのだから、早く直すべく二日ほど静かにしていました。横になっている時間も意識して多く持っていました。
が、なんとそんな事をしていたら、坐骨神経通なるものになってしまいました。
足が・・
足がちぎれる様に痛いのです。
入院した事の理由以外で、苦しむ入院生活。
と言う事で、すっかり私の相棒になってしまった点滴棒を左手に握り締めガラガラと病棟散歩に勤しみました。1周回って400歩だったので10周は回りたかったのですがやっぱりそれだと目立ちすぎかなと思い、5周で我慢しました。この病棟散歩は看護師さんにも勧められ、他の患者さんもリハビリの為にやっている事なので、本当は10周頑張っても良かったのだと思うのですが、そんなに元気な病人は余り居ないみたいだったので、思わず遠慮してしまいました。
この足の痛みは、家に帰った途端に治り、お医者様も驚いていました。
「動いている方が良いんですねえ。」と言われましたが、家に帰ってもそんなに動きまくってるわけではありません。
今思うと、あの足の痛みは
「おい、お前。勘違いしてるんじゃないぞ。」と言う、体自身が言っていた戒めではなかったかと思えるのでした。
病院はホテルではない。
それを思い知らされるのは、夜でした。夜は長かったです。
と言うわけで、入院体験記、後一回続きます。
だけど「相棒」の感想の後だと思います。