風の上に
ありか定めぬ 塵の身は
ゆくへも知らず なりぬべらなり
『古今和歌集』
―風に吹かれて居場所も定まらない塵のようなこの身は、どこへ行くかも分からなくなってしまった・・というイミの、『古今和歌集』に収められた”読人知らず”の歌。
天下の傾奇者・前田慶次が『前田慶次道中日記』の中にも引用し、こよなく愛したとされる歌でもある。
武人として知られる慶次であるが、漢詩や和歌など古典にも通じた高い教養と、歌会などにも顔を出し、マンガ『へうげもの』で知られる古田織部など、文化人とも交流のある”粋”な風流人であった。
所定めぬ漂泊のわが身と重ねたのであろうか・・?
しかし、実際の慶次は、歌会などを通じて親交を深めたとされる直江兼続と、その主君・上杉景勝に心酔し、仕官。
新規召し抱え浪人の集団である組外衆の筆頭として、破格の1000石を受けた。
自分が前田慶次という人物をはじめて知ったのは、『北斗の拳』でおなじみ、原哲夫のマンガ、『花の慶次』を読んで・・。
原作である隆慶一郎の小説、『一無庵風流記』も、すぐさま古本屋で探して読んだものだ。
強くて粋で、イタズラ好き・・。
あの時代、誰にこびるコトなく、傾奇者として生きたその自由な生き方は、誰しもあこがれるコトだろう。
その傾奇者が愛した歌・・。
慶次の生きた戦国時代、誰もが風に舞う塵のように、明日をも知れぬ激動の時代であった。
しかし、慶次は、決死の覚悟を胸に秘めつつ、さわやかに笑って過ごした”漢”だったのだろう・・。
自分も、そんな風に生きたいなぁー・・。(笑)
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