『ガラスの仮面』といえば、”紫のバラの人”・・。
しかし、実は、この青系のバラというのが、クセモノ・・。
バラは、古くから世界中で最も愛されてきた植物で、現在栽培されているバラのほとんどは、世界各地の野生種のバラ、8種(!)程度を人為的に掛け合わせるコトにより、生み出されたという。
四季咲きのバラや、黄色やオレンジのバラも、長年の品種改良の結果、誕生したもの。
しかし、バラの遺伝子には、キキョウやリンドウといった、多くの青い花に含まれる青色色素「デルフィニジン」を作る能力がないため、長い間、実現には至らなかった。
このため、英語で”Blue rose”といえば、「不可能」のイミを持つほど・・。
「青いバラを作る」というプロジェクトは、世界中で、いくつもの研究チームが取り組んでいたが、1990年に、サントリーとオーストラリアのベンチャー企業、カルジーンパシフィック社とが共同で、この難題に挑んだ。
当初の技術的な課題は、
青い花にある数万種類の遺伝子の中から青色遺伝子を取り出すコト
バラの細胞に遺伝子を入れ、その細胞から遺伝子組換えバラを作製する方法を開発する
・・という2点。
以来、14年間、研究を重ね、2004年6月、ついに開発の成功を発表した。
「青色色素が花びらに存在する、世界初の青いバラの誕生」・・というニュースは、国内外に大きな反響を呼んだ。
まさしく、日本のバイオテクノロジーが、不可能を可能にした瞬間であった。
その後、2008年に生産販売に必要な認可を取得、2009年から、「サントリーブルーローズ アプローズ」として、市販されるに至った。
―ちなみに、この青いバラの花言葉は、「夢 かなう」・・である。