かんじゃまのつぶやき(海の見えるチベットより)

日本一細長い四国佐田岬半島での慣れない田舎暮らしの日常や風景、
  そして感じたこと、思い出などをひとコマひとコマ

どうしたの?豊真将

2007-07-16 16:54:48 | スポーツ
子供の頃以来、殆んど大相撲中継を見ることはなかったのだが、昨年暮からひょんなことで結構TV中継を見るようになった。そうすると、何人か気になる(応援したくなる)力士がでてきた。そんな中の一人、はちきれんばかりの筋肉、礼儀正しい力士、それが豊真将だ。
とにかく彼は、入場から退場まで礼儀正しく、お辞儀をする時は、きちんと腰のところで「く」の字に曲げ、深々と頭を下げる。その姿勢は、勝っても負けても変わることはない。そして、懸賞金を受ける時には、彼は右手を右斜め下にすーと伸ばしてから、手刀を行司の軍配の上にかざし、左斜め下→右斜め下→中央で上から下へ(きっとこの所作には名前・由来があるのだろうが)と手を振り下ろす。所作がきわめて明確である。他のほとんどの力士は、形ばかりという感じでちょこちょこっとやるだけである。他の多くの力士は、特に負けた時など、土俵での礼、花道を退場する時の礼など、おざなりに済ます事が多い。
そんな豊真将だが、先場所NHKの中継時、彼の「力水を受ける時の所作」について解説がなされていたとのこと。豊真将は「左ひざを立てて」水を受け、他の力士はほとんど「そんきょ」(両膝を開いて腰を落とした状態)で受ける。豊真将のやり方が正式な所作で、戦国時代、「武士がこれから戦に向かう」という意味があったそうである。この正しい所作については、師匠の錣山親方(元寺尾)も知らなかったそうである。この話は、先場所食事の準備をしながらテレビを見ていた小生のかみさんから聞いた話である。しかしながら、それ以来私は一度もその情況を見ていなかった。私のタイミングが悪いこともあるのかもしれないが、NHKがその場面をほとんど映してくれないような気がするのだ。だから、早く見たいと願っていた。
そのチャンスが昨日巡ってきた。豊真将の前の取り組みで、予想通り稀勢の里が勝ち、稀勢の里が力水をあげるシーンをずーと映していた(NHKはこういうシーンが多い)。そうしていよいよ、力水を受ける豊真将の身体半分が映し出された。
と、ところが、彼はひざを立てずにそんきょの姿勢である。「あれー?」一体、豊真将に何があったのだろう?所作を変えたのはなぜだろう?長いこと待ち焦がれた正しい所作が見られずに、私は残念でショックだった。気になるなあー。
とはいえ、とにかく豊真将はすがすがしいのだ。大学で相撲部に入部するも怪我のため1年弱で退部し、3年余りのブランクを経て、出来立てほやほやの錣山部屋に入門したと聞く。だから26歳とはいえ、まだ初土俵から3年余り。相撲は単なる格闘技ではないと思う。伝統的な様式美を探求し、実践する豊真将は武士に見える。頑張れ豊真将!モンゴル、ヨーロッパ勢に負けるな。