かんじゃまのつぶやき(海の見えるチベットより)

日本一細長い四国佐田岬半島での慣れない田舎暮らしの日常や風景、
  そして感じたこと、思い出などをひとコマひとコマ

河合隼雄さん逝く

2007-07-20 11:02:03 | 
臨床心理学の第一人者である河合隼雄さんが、脳梗塞のため昨日亡くなられたことを、今朝の新聞で知った。文化庁長官在任中の昨年夏、河合さんがご自宅で脳梗塞で倒れられというニュースが流れて以降、何も伝えられてこなかったので気になっていたところだ。とうとう意識が戻ることなく、亡くなられたようだ。ご冥福をお祈り申し上げます。
河合さんは、スイスに留学し、分析心理学を創始したユングの研究所で日本人として初めてユング派分析家の資格を取得し、帰国後は大学で教鞭をとったり、いくつかの研究所所長を歴任されるなどし、臨床心理学者としての業績に加え、従来の学問の枠にとらわれない幅広い視野に基づく研究や軽妙な語り口で知られた方で、著書も多い。また、箱庭療法を日本に紹介された方でもある。箱庭療法というのは、箱庭があって、ボックスに砂が入っていて、おもちゃがいっぱいあって、「それで、好きなものを作ってください」というだけなのだそうだが、好きなものを作ってもらっているうちに、だんだんその人自身が変わっていくのだそうである。
河合さんは、ご自分では「私は本をあまり読まない方の人間だと思っている」とおっしゃるが、すごい読書量だと思う。しかも、読みながら、そして、読んだ後もあれこれと考えているので印象深く、ずいぶん以前に読んだ本が、後で役立つことも多いそうだ。このことは河合さんの著書を読めば容易に理解できる。
私は、河合さんの著書は、「神話と日本人の心」と「深層意識への道」しか読んでいないが、わかりやすい文章で、論理展開が明快であり、とても感銘を受けた。買ったまま、まだ読んでいない本が3冊あるので、故人を偲びつつ早速読みたいと思っている。また一人偉大な師を失った。