段々畑で収穫したサツマイモは、そのまま保存して食べたりもするが、大部分は出荷するために薄く輪切りにして天日で乾燥させる。その乾燥させた甘藷切干のことを私達の地方では「カンコロ」と呼んでいた。カンコロはでんぷんやアルコールの原料になるのである。昭和20年代一時期、米1俵(60kg)とカンコロ1俵(60kg)が同じ値段で政府に買い取られたことがあるそうである。しかしカンコロの価格が良かったのは数年だったようで、その後我が地区でもサツマイモ栽培が急速に廃れ、柑橘類にとってかわられた。
そのサツマイモを薄く輪切りにする機械に、「千貫切り」というものがあった。この機械は、本体が木製でできており、片側に2~3枚の切刃をもった回転円盤があり、反対側にそれと連動したハンドルが付いていた。水で洗って土を落としたサツマイモをこの木枠の上面から入れ込み、ハンドルを回すとサツマイモが均等の厚さに輪切りされて出てくるというしかけだ。おそらくそれまでは、かんななどで薄切りにしていたのだろうから、画期的な機械だったことだろう。まさに「千貫切り」である。写真は、我が家に残っている千貫切りである。もちろん今は無用の長物ではある。
このカンコロは、自宅で食用とする場合には、天日乾燥したものを釜で茹でてペースト状にやわらかくして食べたり(これもカンコロという)、天日乾燥した後粉砕していも粉を作り、それをだんごにして食べたりしていた。このだんごは我が地区では「イモンモチ(芋のもち)」と呼んでいた。夏、海水浴に行く時など、よくおやつとしてこれを持っていったものである。このイモンモチの中には時々ザラメ砂糖を入れる場合がある。甘いものを食べる機会が乏しかった時代、子供心にこの味はとても贅沢な感じがした。
そのサツマイモを薄く輪切りにする機械に、「千貫切り」というものがあった。この機械は、本体が木製でできており、片側に2~3枚の切刃をもった回転円盤があり、反対側にそれと連動したハンドルが付いていた。水で洗って土を落としたサツマイモをこの木枠の上面から入れ込み、ハンドルを回すとサツマイモが均等の厚さに輪切りされて出てくるというしかけだ。おそらくそれまでは、かんななどで薄切りにしていたのだろうから、画期的な機械だったことだろう。まさに「千貫切り」である。写真は、我が家に残っている千貫切りである。もちろん今は無用の長物ではある。
このカンコロは、自宅で食用とする場合には、天日乾燥したものを釜で茹でてペースト状にやわらかくして食べたり(これもカンコロという)、天日乾燥した後粉砕していも粉を作り、それをだんごにして食べたりしていた。このだんごは我が地区では「イモンモチ(芋のもち)」と呼んでいた。夏、海水浴に行く時など、よくおやつとしてこれを持っていったものである。このイモンモチの中には時々ザラメ砂糖を入れる場合がある。甘いものを食べる機会が乏しかった時代、子供心にこの味はとても贅沢な感じがした。