何気ない風景とひとり言

寺社&石仏巡り、小さな旅、散策...ふと目に留まった何気ない風景...切り取って大切な想い出に!

滝口寺 (京都)

2021年03月26日 | 寺社巡り-京都

【京都・右京区】平安時代末期、浄土宗の開祖法然の弟子・良鎮上人が創建した往生院の子院のひとつで三宝寺と称し、念仏道場として栄えた。 往生院の多くの子院や坊が山中に建ち並んでいたが、祇王寺と三宝寺のみが残り、室町時代末期の応仁の乱で荒廃したが、江戸時代末期まで細々と存続していた。
明治維新政府の「神仏判然令」による神道国教化政策により、仏教排斥運動(廃仏毀釈)が起こって廃寺となったが、昭和初期、祇王寺が再建されたのに続いて、三宝寺跡にも小堂が建てられて再興、その際「滝口寺」と命名され現在に至る。
「滝口」は、『平家物語』に描かれている滝口入道と横笛との悲恋物語に由来する。 滝口入道は御所の警護にあたった滝口の武士・斎藤時頼のことで、平清盛の二女・徳子(建礼門院)付きの侍女・横笛に一目ぼれし恋仲になったが、父に叱責されたため十九歳で往生院に入って出家した。 想い焦がれる横笛は入道の出家を聞いて往生院を訪ねるが、入道は修行の妨げになるとして会わなかった。 その後、入道は高野山浄院に入り後に高野聖に、一方、横笛の消息については諸説あるが、悲しみのあまり大堰川に身を沈めたとも、奈良法華寺に出家したともいわれる。
本堂には三宝寺の遺物である滝口入道と横笛の木像を安置している。 また境内には、鎌倉幕府を滅ぼした武将・新田義貞の首塚と妻の供養塔がある。 宗派は浄土宗で、本尊は阿弥陀如来像。

◆祇王寺を拝観した後、祇王寺案内板の右手に続く階を進む。 苔生した簡素な棟門があり、門をくぐると左側に受付があり、窓口に様々な案内の張り紙や写真がある。 その中に「滝はありません」の張り紙があり、つい口元がほころんだ。
受付から鬱蒼と木々が生い茂る狭い階を上っていくと、参道脇に鎌倉幕府を滅ぼした新田義貞公の首塚、その隣に妻の供養塔がひっそりとある。 更に狭い参道を上りつめると本堂の前庭に出る。 鮮やかな緑の樹林に囲まれた境内に、古民家風で風情がある茅葺の本堂がポツンと鎮座している。 境内は静寂につつまれていて野鳥の声だけが聞こえてくる。
本堂の柱に「飲食物の持込可」「建物の中で座るか縁側に腰かけてゆっくりして下さい」の張り紙があるので、部屋に上がらせて頂き、額縁風に緑の前庭をしばし鑑賞。 床の間のようなところに、水晶の目を持つ滝口入道(斎藤時頼)と横笛の坐像が安置されているが、撮影を失念した。
本堂に向かって左手に、竹柵を設けた少し屈曲した狭い参道があり、奥に滝口入道の主君・平重盛を祀る小松堂が建っている。 屋根瓦が苔生している小松堂は、瓦に少し破損がみられ手入れが必要のようだ。 それにしても、先に訪問した祇王寺と違って、人の気配が感じられない錆びた雰囲気だ。

△「滝口寺」の額が掲げられた切妻造板葺の山門....門前は深閑としていて趣がある

△簡素な造りの山門は棟門のようだ

△屋根の上は全面に苔生している....扉は木枠に竹を縦に張り付けた構造

△元弘三年=正慶二年(1333)に鎌倉幕府を滅ぼした武将・新田義貞の首塚

△石造り瑞垣に囲まれた新田義貞公の首塚
 
△石造り門扉に新田氏の家紋「大中黒・新田一つ引」があしらわれている/田義貞首塚の左手に立つ三重石塔は新田義貞の妻・勾当内侍供養塔....最上段の塔身に四方仏の梵字が薬研彫り....正面の梵字はキリーク(阿弥陀如来)

△樹林の中に佇む古民家風の茅葺の本堂....本堂には出家して滝口入道と称した斎藤時頼と横笛の坐像を安置

△入母屋造茅葺の本堂....周囲に桟瓦葺の裳腰を設けている

△本堂周囲に巡らした半間の縁側は槫縁....畳部屋の周りは腰高明障子、欄間に障子を張った格子

△縁側の欄間全面に曇りガラス窓を配す....本堂内から眺めた鮮やかな緑の前庭

△本堂前の左手前にひっそりと佇む十三重石塔....滝口入道(斉藤時頼)と平家一門の供養塔
 
△塔身に金剛界五仏の梵字が刻まれているようだ....手前(南)は宝生如来の梵字と思う(塔身の中心部が大日如来を示す)/左が東の阿閦如来、右は北の不空成就如来の梵字

△陽光を受けて輝く青モミジに隠れるように聳え立つ十三重石塔

△小松堂への竹柵を設けた参道から眺めた本堂の側面....茶室の雰囲気を醸し出している

△本堂の左手奥に建つ宝形造桟瓦葺の小松堂

△小松堂にはた斎藤時頼の主君で小松内大臣の平重盛を祀る
 
△一間四方の小松堂の軒廻りは一軒繁垂木....側面と背面は白壁、正面は腰高格子戸
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