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【広島・福山市】江戸時代初期の元和五年(1619)、衰退していた明王院は福山藩第三代藩主として入府した水野勝貞の命により常福寺に合併された。 合併の際、常福寺は、明王院の寺号を受け継ぐ形で明王院に改称され、その後も歴代福山藩主の庇護の下に繁栄して今に至る。
愛宕山の山頂付近には、かつて明王院の鎮守社(防火の守護社)だった愛宕大権現が鎮座するが、明治維新の神仏判然令により隣接する草戸稲荷神社に属されたため、明王院は愛宕山中腹に本地仏を移して愛宕社を建立した。
五重塔後方の山裾に幾つかの石仏が鎮座している。 右後方の覆屋に鎮座する大黒天は、江戸後期の造立で、板碑のような石造り卒塔婆の真ん中の方形に彫り窪めた中に童顔の大黒天像が浮彫りされている。 左後方の山裾には、智拳印を結ぶ大日如来像や地蔵菩薩像など数基の舟光背型石仏が並んでいる。 五重塔の左奥に草戸愛宕神社への参道口があり、棟門のような簡素な手水舎と石造り明神鳥居が建ち、参道口に鎮座する石仏が参詣者を迎えている。
鳥居くぐり石段の参道を上っていくと、愛宕山中腹に鎮座する愛宕社に着く。 愛宕社には愛宕大権現の本地仏が安置されているようだ。 愛宕社から急な石段を息を切らして上りつめると、愛宕山の山頂付近に鎮座する草戸愛宕神社に着く。 本殿は入母屋造銅板葺の重厚な覆屋内に納められているが、扉や窓が完全に塞がれている。 拝観を諦めて山頂に行こうとしたら、偶然、社殿や境内の見回りで二人の氏子の方が来られたので、草戸愛宕神社の由緒などについて伺った。 すると、遠路からの寺社巡り中という事情を察してくれたのか、がわざわざ扉を開けて通常非公開の本殿を見せてくれた。 本殿は江戸初期の風趣をよく残している精巧な造りで、撮影も許可してくれてまさに感謝感激だった。
草戸愛宕神社拝観後、さらに山頂に向かう。 山頂の広場は、宝探しに興じる園児たちで賑わっていた。 暫しの間、山頂からの芦田川と福山市街の遠望を楽しんでから下山した。
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△五重塔の右後方に鎮座する大黒天
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△切妻造桟瓦葺の覆屋に鎮座する大黒天
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△文久四年(1864)造立の大黒天....上部の日月瑞雲の下に「開運」が刻まれ、その下の方形に彫り窪めた中に大黒天像が浮き彫り、その下に「空海」の刻/大黒天の後方の洞窟に鎮座する石像は舟光背型如意輪観音菩薩像(と思う)
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△五重塔後方の山裾に鎮座する数基の舟光背型石仏
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△左は智拳印を結ぶ大日如来坐像、右は剃髪の像容から地蔵菩薩像(と思う)/浅い洞窟に鎮座する尊名不詳の2基の石仏....いずれも円光の光背が刻まれている
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△五重塔の左手奥の草戸愛宕神社への参道入口に、切妻造桟瓦葺の手水舎と石造りの明神鳥居が建つ
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△参道入り口の右脇に数基の舟光背型石仏が並んで鎮座している
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△合掌する馬頭観音菩薩像(と思う)/右は千手観音菩薩像、左は像容から未開蓮を持つ聖観音菩薩像(と思う)
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△草戸愛宕神社への参道途中に立ち並ぶ小さな五輪塔群....天保五年(1834)の標石が立つ
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△奥之院の草戸愛宕神社への参道/草戸愛宕神社の参道脇に鎮座する2つの切妻屋根の祠はいずれも稲荷社....祠には神使である狐像が奉納されている
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△愛宕山中腹の愛宕大権現への参道に鎮座する愛宕社(と思うが遥拝所かも)....手前の百度石は昭和十年(1935))の造立
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△入母屋造桟瓦葺で妻入の愛宕社....屋根の煙出しを設け、大棟端に鬼板、拝に蕪懸魚、妻飾は狐格子
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△愛宕大権現の本地仏を安置する愛宕社は明王院に属す/愛宕社側面の軒下に掲げられた天狗面
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△愛宕山の山頂付近に建つ入母屋造銅板葺の覆屋、中に草戸愛宕神社が鎮座....明治期までは明王院の鎮守社(防火の守護社)だった....明治の神仏判然令により現在は草戸稲荷神社に属す
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△宝形造桧皮葺の草戸愛宕神社本殿....明王院を別当寺として、福山初代城主水野勝成が寛永五年(1629)に福山城の火伏の守護として勧請された
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△春日造り社殿の屋根を宝形造とした珍しい建築....正面に唐破風付き縋向拝、回縁高欄の親柱に逆蓮頭を乗せている/唐破風の兎毛通は蕪懸魚、水引虹梁上に脚間に牡丹の彫刻を配した本蟇股
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△流造銅板葺の愛宕神社の末社....正面三間に2つの入口がある
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△正面に2つの桟唐戸があるので2神を祀っているとみられる/側面一間は横羽目板
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△愛宕山頂上の広場から眺めた芦田川と福山市街の遠望
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