対話とモノローグ

        弁証法のゆくえ

アインシュタインの「手さぐり」と複合論

2009-05-16 | アインシュタイン

 1952年、マイケルソンの生誕100年を記念した会議に寄せられたアインシュタインの手紙には、次のように書かれているという。(G・ホルトンの「アインシュタイン・マイケルソン・〈決定的〉実験」『アインシュタイン研究』所収参照)

 いうまでもなく、ひとつの理論の樹立に導く論理的な道というものはありません。事実の知識を注意ぶかく考慮しながら、手さぐりで組み立ててゆくだけです。

 このアインシュタインの「率直な告白」(G・ホルトン)は、ヘルムホルツの「登山者」や湯川秀樹の「旅人」の精神と同じものだと思う。

 複合論はアインシュタインの「手さぐり」と同調している。

 複合論は、認識における対立の統一過程を複素数のかけ算をモデルにして表現している。それは次のようなものだ。

1(選択) A =a+bi
A' =c+di
2(混成) A×A' =(a+bi)×(c+di)
≒(a+di)×(c+bi)
3(統一) =(ac-bd)+(ab+cd)i
=x+yi
=B

 これは、「論理的な道」ではなく、「手さぐりで組み立ててゆく」過程を表わしているのである。 


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