対話とモノローグ

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速さの比較、離心円と楕円

2017-11-23 | 楕円幻想
プトレマイオスの離心円上の惑星とケプラーの楕円上の惑星の速さを比較してみよう。

楕円軌道上の惑星は、面積法則(面積一定の速度)で回転する。遠日点Hでの速さをv0、遠日点から90°の点Kでの速さをvK、近日点Iでの速さをvxとする。Fからの距離に着目すると、
FH =1+e
FI =1-e
FK =1
である。だから、面積法則より、次の関係が成り立つ。
1/2・(1+e)・v0=1/2・(1-e)・vx=1/2・1・vK
したがって(前2項より)、vx=(1+e)/(1-e)・v0
また(両端より)、vK=(1+e)・v0
である。
他方、離心円上の惑星は、等化点(エカント)Eのまわりを一定の角速度ωで回転する。遠日点Hでの速さをv0、遠日点から90°の点Pでの速さをvP、近日点Iでの速さをvyとする。Eからの距離に着目すると、
EH =1-e
EI =1+e
EK =√(1+e2)
である。だから、次の関係が成り立っている。
v0=(1-e)ω   (1)
vy=(1+e)ω   (2)
vP=√(1+e2)ω  (3)
(1)より、
ω=v0/(1-e)   (∗)
(2)に入れて、
vy=(1+e)/(1-e)・v0
したがって、vx=vyとなり、近日点では同じ速さで回転していることがわかる。
(∗)を(3)に入れると、
vP=√(1+e2)/(1-e)・v0
ここで、1/(1-e)=1+e+e2+…
また、√(1+e2)=1+1/2・e2-1/8・e4+…
だから、
vP=(1+1/2・e2-1/8・e4+…)(1+e+e2+…)
となる。ここで、離心率eの1次までとると、
vP≒(1+e)・v0
したがって、vP≒vK
遠日点から90°の地点ではほぼ同じ速さで回転していることがわかる。

プトレマイオスの離心円上の惑星とケプラーの楕円上の惑星はほぼ同じ速さで回転している。プトレマイオスのモデルはケプラーの第1法則(楕円)と第2法則(面積)のとても良い近似だったのである。

参考文献
「プトレマイオス天動説のエカントとコペルニクス地動説の周転円」(「FNの高校物理」)