対話とモノローグ

        弁証法のゆくえ

「論理的なもの」2

2016-10-24 | 弁証法
「論理的なもの」は自己表出と指示表出の2つの側面をもつ。この2つの側面を複素数の実部と虚部の2つの側面に対応させる。「論理的なもの」の複素数モデルである。
「論理的なもの」=(自己表出)+(指示表出)i
「論理的なもの」をA=a+bi、A'=c+diで表わす。ここでaとcは自己表出、biとdiは指示表出である。区別しやすいようにiを付けて書く。
そして、複素数のかけ算を考える。
A×A' =(a+bi)×(c+di)
=(ac-bd)+(ad+bc)i
=x+yi
=B
かけ算は、2つの異なる複素数から1つの複素数が出てくる過程を表わしている。これを2つの異なる「論理的なもの」から1つの「論理的なもの」が形成される過程と解釈するのである。
すなわち、2つの「論理的なもの」を出発点にして、その自己表出(aとc)と指示表出(biとdi)が関連しあい、新しい自己表出(ac-bd)と指示表出(ad+bc)iをもつ1つの「論理的なもの」が形成される過程を表わしていると見るのである。
いいかえれば、複素数のかけ算は、2つの「論理的なもの」の指示性と関係性を基礎にして、新しい指示性と関係性が形成される過程を表現している。
しかし、この複素数のかけ算は同じレベルで考えられていて連続している。ここに「対話」と「止揚」を導入して非連続化する。このさきに弁証法の複素数モデルがある。