対話とモノローグ

        弁証法のゆくえ

べき

2016-10-17 | ノート
同じ数(式)を何回か掛け合わせた結果の、元の数(式)に対する称(新明解国語辞典)。8は2の「べき」である。累乗のこと。8は2の3乗。8は2の3乗「べき」である。
漢字は冪である。わかんむりに幕。ワかんむりの漢音が「べき」で、「覆う」の意味を示す。漢和辞典には「冪」は覆いかぶせる、たれまく、ものを覆うきれの意味に加えて、同じ数の相乗積の意味が載っている。江戸時代の和算家は「巾」で代用していたという。「覆う」と「べき」の関係がうまく繋がらない。肩の数字(指数)が関係しているのだろうか。(乗冪の「乗」なら肩に乗る指数とつながる)
ところで、「冪」も「巾」も常用漢字・当用漢字に含まれず、1950年代以降は仮名書の「べき」または「累乗」へ書き換えられているという。昇べきの順、べき級数。
ちなみに、『オイラーの無限解析』(レオンハルト・オイラー著/高橋正仁訳/海鳴社)は「冪」である。『無限のなかの数学』(志賀浩二著/岩波新書)は「巾」である。