対話とモノローグ

        弁証法のゆくえ

ギリシャの楕円

2015-07-05 | ノート
2つの焦点があるギリシャの分裂した心。国民投票が始まっている。円を選択せざるを得なくなったギリシャの悲喜劇。「楕円幻想 ─ ヴィヨン」(花田清輝『復興期の精神』)に次のようにある。
焦点こそ二つあるが、楕円は、円とおなじく、一つの中心と、明確な輪郭をもつ堂々たる図形であり、円は、むしろ、楕円のなかのきわめて特殊なばあい、── すなわち、その短径と長径とがひとしいばあいにすぎず、楕円のほうが、円よりも、はるかに一般的な存在であるともいえる。ギリシア人は単純な調和を愛したから、円をうつくしいと感じたでもあろうが、矛盾しているにも拘わらず調和している、楕円の複雑な調和のほうが、我々にとっては、いっそう、うつくしい筈ではなかろうか。
楕円と弁証法