北のとうさんの鉄道旅・アマチュア無線JA8HBO

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JR北海道、気動車H100新製増車報道に関して

2018年12月16日 | JR北海道 JR北

先般のブログでJR北海道が新型気動車H100を今後40両新製増車することへの疑問を呈した。
(なお、元々のニュースソースの筆者は今後2年間での400億円の国の支援が3年後は不透明であることを知らないと言う、典型的視野狭窄型鉄道オタクであったことが後日、判明した)
その後のJR北海道のの決算書類と一般紙のの報道を読んで、一定の理解を得たので書いておく。

JR北海道は11~17年度に老朽施設改修費などに600億円投入した。、16~19年度の4年間でさらに設備投資1200億円、修繕費1400億円を投じる計画だ。合計すると3200億円と巨額なのだ。この一部を車両更新に充てるとした一部業界紙の報道は、それを読むだけでは理にかなっているように見えるのだが、先般同社島田社長が、国からの支援の確約が今後2年間にとどまり、その後の目処が立たないため、新型車両の更新はむずかしいと記者会見で述べたために、私は車両更新報道は疑問が残るとした。
 実はJR北に対して国が11年度に600億円、16年度に1200億円の財政支援を表明したのだが、計1800億円の支援のうちで「もらえる」助成金は600億円に過ぎず。残りの1200億円は無利子とはいえ「貸付金」で、22年度に返済が始まってしまう。返済期間は37年間で毎年約32億円超の資金が必要という事になるから、島田社長は返済のめどが立たない現時点では車両更新に否定的になったものと思われる。

その後、この現状に大きな変化も無いのだが、設備投資のために国が支援するとした以上は、車両更新をせざるを得ないと判断したか国からの指示があったと考えられる。
貸借対照表を見る限り、すでに長期借入金は1000億円に届かんとしている現状では、自治体の支援も全く見通せない中、車両更新に否定的になったのはやむを得ないことだろう。
経営安定基金が無ければ、債務超過でとっくに倒産している企業なのだから消極的になるのは当たり前だ。
失礼だが、現在の経営陣は「無力」としか言いようがない。一部識者の間では経営陣の刷新も言われ始めているとのことだし、国の指導で東日本との吸収合併も取りざたされている。

ところで、来年度、消費増税に合わせて運賃を値上げすると表明したのも、22年度からの返済を念頭に置いたものだろう。一部報道では通勤定期の割引率の見直しが図られるようだ。札幌市地下鉄と比較しても安く設定されている通勤定期の値上げは、遅きに失したと思う。JR北海道の問題に、道外者より無関心な道央圏の市民に刺激を与えるためにも、ショック療法として厳しい態度も必要かと思う。
 ところで、沿線自治体の動きが悪い。率先して動くべきだった道も高橋知事の参議院議員への転身によって、来年夏までは当面は目立った動きは無いものと思われる。
日高線は浦河町長が全線維持の方針を変えないと表明し、なかなか一枚岩にはならない。来年の統一地方選挙をにらんで、当面は関係沿線自治体の判断はJRにとっては厳しいものにならざるを得ない。
(再来年の廃止が決まった札沼線・非電化区間のキハ40)

(日高線車両キハ40-350)


○○鉄道は自治体が支援しているだとか、只見線は上下分離で復旧するだとか、他所の話と比較して北海道の自治体を盛んに批判する向きもあるが、R北海道は国が唯一の株主でもあり、大きな責任を持つ、そもそもにおいて「民間」鉄道に対して自治体が運行資金を支援しなければならないと言う義務はない。
 ただ、現状を見る限りは「支援できるなら支援する」べきというのが沿線市町の立ち位置になろうかと思う。
私も日高本線は沿線自治体の動きが、あまりに鈍く、沿線住民の無関心さから不要論を展開したのだが、本来は国がもっと主導権を持って動くべきだったと考える。
すっかり体制翼賛的になった一部鉄道ファンはほとんど国を批判しない。
一部学者も地元に奮起を促すばかりだ。五輪だ万博だと莫大な国家予算を投入する一方で地方を切り捨てる現在の政権の下では、ますます地方は疲弊していくだろう。
自治体を批判する鉄道ファンは「無い袖は振れない」という言葉の意味が解るかな。自治体が鉄道に支援すれば、その自治体の住民サービスは低下してしまうのが明らかだし、それは自分たちに跳ね返ってくることを自覚してほしい。疲弊した自治体の財布の中に余裕のある金など無い。