西洋音楽歳時記

旧称「A・Sカンタービレ」。07年には、1日1話を。その後は、敬愛する作曲家たちについて折に触れて書いていきます。

グスタフ・マーラー

2007-07-07 10:12:48 | 音楽一般
今日は、オーストリアの作曲家グスタフ・マーラーの生誕日です(1860年)。
マーラーは、ボヘミアのカリシュトという小さな村で生まれました。マーラーの伝記を読むと、「私には三重の意味で故郷がない。オーストリア人の間ではボヘミア人として、ドイツ人の間ではオーストリア人として、そして世界の中ではユダヤ人として」という言葉に出くわします。この言葉はもちろんそういうことなのかと受け止めますが、我々日本人には実感として考えにくい言葉ではないかと思うことがあります。1個の人間として考えればいいことではないか。それほど深刻に考えなくてはならないことなのか、というわけです。マーラーは生涯に渡って、疎外されたもの(=アウトサイダー)という意識を持ち続け、それがあのような崇高で、絶望的とさえ言えるような曲の数々を産み出したのだろう。マーラーを考える場合、やはり当時の歴史的背景、およびマーラーが活躍したウィーンが置かれた状況を知らなければ、マーラーの意図するものを十全に理解することは出来ないのではないかと思われる。そういったマーラーの音楽が作曲家本人の予言通り、今東洋の果ての国日本を含め世界的にブームになって久しいが、このことの意味するものは何だろう。まだまだマーラーについては知るべきことがたくさんあるようだ。
私は、マーラーの音楽に最初は全く近寄りがたかったのだが、いつしかその音楽に魅せられ、愛聴するまでになり、コレクター癖から、クーベリック、ショルティ、インバル、テンシュテット、とシンフォニーの全集を揃えてしまったが、作品一覧を見ると、面白い作品があるのに気が付きます。ブルックナーの交響曲第3番のピアノ4手用の編曲である。ブルックナーの交響曲第3番は改訂に次ぐ、改訂を加えた曲で、いつも版のことが問題になるのだが、これは第2版を編曲したものだ。私は、半信半疑でこの曲が録音され出ているのか長いこと探していました。そうしたら、あったのです。驚きました。エヴェリンデ・トレンクナーとゾントラウト・シュパイデルのピアノデュオによる演奏です。もちろん他にもマーラーには編曲作品があり、そのほとんどを所持していませんが、ブルックナー・ファンの私にはこの録音盤は、ブルックナーの曲の違った楽しみ方を教えてくれる珍盤でもあるのです。