西洋音楽歳時記

旧称「A・Sカンタービレ」。07年には、1日1話を。その後は、敬愛する作曲家たちについて折に触れて書いていきます。

カール・オルフ

2007-07-10 09:16:55 | 音楽一般
今日は、ドイツの作曲家カール・オルフの生誕日です(1895年)。
カール・オルフの名は、音楽史の中にあって得意な位置を占めているように思われます。オルフの名とともに第一に挙げられる作品は「カルミナ・ブラーナ」です。これは、オルフ42歳の時の作品で、作曲者自身の言葉によれば、これこそオルフの創作活動の原点と呼ぶべき作品ということだ。「カルミナ・ブラーナ」の意味は、「ボイレンの歌」である。ボイレンは、ドイツ・バイエルンにある修道院の名で、19世紀はじめそこの図書館で12・13世紀頃の大量の古文書が発見された。それらは、ラテン語、中高ドイツ語、古フランス語などで書かれていて、そこには、教会への批判や恋愛について、また酒や性を扱ったものなど約300篇の詩があったということだ。これらから20数篇を選んで曲をつけたのがこの作品である。オルフがこのような作品を書いたのは、ルネサンス音楽以前の単旋律音楽に回帰することにより、音楽上の人間性の回復を目指すということであった。オルフは教育的な見地からも多数の作品を表しているが、これも上の考えと結びつくものだ。オルフは、そのような意味から現代音楽の一つの方向を示していると言ってよいだろう。オルフは、名作「カルミナ・ブラーナ」だけでなく、もっと多く聴かれてよい現代音楽の作曲家ではないかと思われる。