西洋音楽歳時記

旧称「A・Sカンタービレ」。07年には、1日1話を。その後は、敬愛する作曲家たちについて折に触れて書いていきます。

ヤーノシュ・シュタルケル

2007-07-05 10:35:41 | 音楽一般
今日は、チェリストのヤーノシュ・シュタルケルの生誕日です(1924年)。
シュタルケルはハンガリーの人ですが、第2次大戦後すぐに、祖国ハンガリーを離れました。ドラティなどと同じく、不自由な独裁体制を嫌ったからでしょう。今、ネットで調べると、ただ国外に出たくらいの記述しかないのですね。日本のこのような思考のあり方にはいつも不思議な思いを持ちます。「ソ連」の支配下に置かれることがいかに人間性に反したことかを直視しようとしない、ソルジェニーツィンがかつて80年代初期のポーランドの反政府の動きの時に西欧各国を批判した「虚弱な精神」という言葉を思い出します。
シュタルケルは、幼少の時より、天才を示したということですが、戦後アメリカに渡り、その天分を思う存分開花させた。チェロをあたかもバイオリンの如く軽々と扱ったということですから、いかに素晴らしい技巧を備えた人であるかがわかります。コダーイの「無伴奏チェロ・ソナタ」の演奏にでは、松脂が飛んでくるかのような、という形容が使われていたのを思い出します。カザルスの後継者ということも言われていました。私は、彼が演奏するブラームスの「チェロ・ソナタ」全2曲のレコードを購入したことを思い出します。廉価盤だったと思いますが、中身は優に素晴らしいものだったと記憶しています。