怪しい中年だったテニスクラブ

いつも半分酔っ払っていながらテニスをするという不健康なテニスクラブの活動日誌

「居酒屋ぼったくり」秋川滝美

2019-04-25 21:08:04 | 
東京下町の小さな居酒屋。
8人がけカウンターに小上がりに座卓2つ。そこを今は亡き両親から継いだ美音と馨という若い姉妹が切り盛りしている。馨は学生で手伝いですけどね。
「ぼったくり」という店名の由来は。この店の主だった父の口癖「誰ででも買えるような酒や、どこにでも出てくるような料理で金をとるうちの店は、もうそれだけでぼったくりだ」を連日聞かされた常連客がいっそ「ぼったくり」を店名にしてしまえと言ったからとか。

そんな下町酒場にいつもの常連が来て織りなす人情噺とぼったくりとは言えない手料理の数々。
これはそんなお店があればという願望を物語にしたものですが、ありそうでないですよね。こんな30歳にも満たない女主人が切り盛りしている居酒屋で近所の気心してた常連とお酒を飲んでうまい料理を食べて値段はそこそこリーズナブルという店があれば私は毎日通います。
ほんの微かですけど、テニス帰りに通っていた「しげすし」では店主が気が向いたら自家製の珍しいつまみをサービスで出してくれたりし、注文してもそれは今日はあまりよくないから別のものにしたらと言ってくれたりして、そんな香りを感じましたけどね。お酒の種類は限定的でしたし、寿司屋さんなので料理の範囲も限られていましたけど。
各話で紹介されている料理は家庭料理なんだけどひと手間かかっている。ちょっとした工夫なんだけど試してできそうなところが魅力なんですよね。この点は時代も設定も違うのだけど高田郁の「みをつくし料理帳」と似ている。

確かNHKのテレビドラマになっていましたよね。みをつくし料理帳では出てくる料理のレシピも最後に出てくるのだけど、みんな出来そうで出来ないんだな~
この本ではレシピまでは書いていないけれど、話の中で材料と簡単な調理方法は紹介されているので、やってみたくなるけど、どうでしょうか。実際の居酒屋ではこうまで客の要望に気を使ってくれないし、都合よくいい材料も用意されていない。
お客もいい人しか出てこないけど、中には酔っぱらってくだを巻く人もいるだろうし、流行っているとみるとこわもての人も来そう。常連客がみんな好ましい人というのはありえません。若い女主人目当てのお客も多いだろうし、酒が入るとセクハラまがいというかセクハラそのまんまのことも多々ある。
まあ、その面では、絶対にありえないのだろうけどもしかしたら奇跡的にあるかもしれないと思うあらまほしき居酒屋なんですよね。
お酒も各話に出てくるものを後ろで紹介してありますが、これはそんなに高いお酒ではなくて中には私が飲んだことがあるものも。
書き出してみると
・諏訪泉 特別純米(諏訪酒造;鳥取県智頭町)
・厳選辛口 吉乃川(吉乃川;新潟県長岡市)これはよく飲みます。
・朝日山 百寿杯(朝日酒造;新潟県長岡市)ご存知久保田を出している朝日酒造です。私は朝日山の純米酒をよく飲んでいました。
・北斗随想(小林酒造;北海道栗山町)
・上善如水(白瀧酒造;新潟県湯沢町)以前はよく飲んでいましたね。
・梅錦 風神(錦梅山川;愛媛県四国中央市)
・night music(ドイツワインの白)青いボトルということはモーゼルではないか。
・ヒュールガルテンホワイト(ベルギービール)
こんなに季節や状況によっていろいろ見合った日本酒からワイン、ベルギービールを出せる様には小さな居酒屋で取り揃えているわけがない。もしあればそれだけで大きな売りになるんですけど、小さな店にどんな大きな冷蔵庫を持っているんだということです。でもそういう店が欲しいですよね。酒飲みのファンタジーです。
この本はそれなりに評判がいいのかシリーズ化されていて11巻まで出ているみたい。これから折りを見て順番に読んでいきたいと思っていますが、たまたま図書館に第2巻もあったので今読んでいます。

そこにはトマト嫌いへの対処法なるものがあったのですが、実は私もトマト嫌い。今でこそ大人になったので我慢して食べられますが、進んでは食べようとは思わない。そんな人にはミニトマトを凍らせて食べればよいとか。皮は少し水を付けるとはじけるそうです。シャーベット状でアイスキャンディみたい。まあ、今は独特なにおいのクセが強いトマトは少なくなったし、特にミニトマトは甘くてフルーツと言っていいほどだからね。

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