最近あちこちの引っ張りだこで、本を書けばベストセラーの中野信子さん。
この本も図書館で予約して何週間か待ちで借りたものです。

日本人の民族的特性として「協調性」が高く、そのため不安が高く、社会的排除を起こしやすく、同調圧力を感じやすい。こういう人は普段誰かのために自己犠牲をいとわずまじめに働くが、いったん不公平な仕打ちを受けると、一気に義憤に駆られて自らの損失を顧みず行
動してしまう。まさに特攻を生み出した日本人の心理的特性です。
ところでこのような性質は、中脳にあるセレトニントランスポーターの密度によって違ってくるそうで、日本人の脳にあるセレトニントランスポータの量は世界でも一番少ない部類とか。高々3~4世代で遺伝子を保持する人の割合は劇的に変化しないので、日本人のこの性質(もちろんすべての日本人がそうだという訳ではなく割合が多いと言うことですが)は脈々と受け継がれている。
世間で何かと話題になることについても、そこには遺伝子レベルで影響を受けている性質とか脳の活動の特質によることがが多々あるみたいです。
ランダムに気になったところを書き出してみると、
・日本人にはドーパミンの要求量が低い人がほとんどで、ギャンブルに熱くなりにくい。ドーパミンの要求量の高い人はリスクを冒してもでも新しい物事に触れたいという性質が極めて強いが、その割合は日本人の1~5%。南米とか南欧では20~25%とかでラテン系気質?
・かけ事と恋愛で高揚を感じさせる脳の仕組みは一緒で、報酬系にドーパミンが放出されると快楽を感じるようにできている。高揚感を感じハマっていくと冷静に考えることができなくなる。
・人類は集団で生き延びることが種の保存に必須であるため、美味しいとこどりしてコストを負担しないフリーライダーを検出して排除する機能がほかの生物より強力に備わっている。不倫は共同体のルールを守らず、極個人的な快楽をむさぼるフリーライダーとしてバッシングの対象になる。不倫バッシングは自分が正義の側にいることの確認行為であり、社会のルールを守る誠実で善良な人ほど逸脱者への攻撃に熱心になる傾向がある。
・ダメ男がモテるのは、ダメ男ほど「新奇探索性」が高く、性的にもアクティブなので、遺伝子を広く拡散する性質がある。女性にとってはそこに遺伝子を乗っけておけば不倫は繁殖適応的であり、「倫理」は人間の後付けのもの…ちなみにある特定の遺伝子の特殊な変異体を持つ人は、それを持たない人に比べて、不倫や離婚率、未婚率が高い。人類のおよそ50%はこの「不倫遺伝子」を持っているという報告もあり、本人の意思や努力という要素よりも、遺伝子や脳の仕組みによって決まっている部分が大いにある。
そうは言っても中野信子さん自身のパートナーが不倫したら割り切れない気持ちは残るかもというのは本音です。
・男性の脳は女性が肌を露出すればするほど、相手を人間と思わなくなるという研究結果がある。別の研究では男性から見れば胸の大きな女性は知性、潜在的能力を低く評価する傾向があるとか。ところで現在の知見では外見と知能のあいだには0.16という弱い正の相関があるとか。
・同性愛は生産性がないと言う議論が世間で賛否両論を巻き起こしましたが、初めて知ったのですが、同性愛は人間だけのものという訳ではなく450種類以上の動物に、求愛、ペアリング、ペアレンティングを含む同性愛行為が記録されているそうです。性行動は繁殖という目的で行われるだけではなく、群れを平和に保ち、群れとしての行動を円滑に進めるのに役立つという機能を併せ持っている。あぶれたオスをオスが満足させたり、オス同士のきずなを強化するなど同性間の性行動が社会的機能を果たすことがある。アホウドリのつがいの3分の1はメス同士で、家畜の羊のオスの10%は、メスと交尾することを拒否し、ほかのオスと交尾する。ちなみに人では全体の5~15%が同性愛者とか。
・イタリアの研究グループは同性愛男性の女性の親せきは、ストレート男性の女性の親せきの1.3倍の子どもがいることを示しました。同性愛遺伝子を持っている方がより「生産性」は高い!ゲイの叔父仮説です。同性愛は種の保存のための基本的なメカニズムであり、幅広くその仕組みが採用されているのは、それが適応的に機能してきたから…
・ほめて育てるということについて、「頭がいいね」と褒めることが、子どもたちから難しい課題をやろうとする気力を奪い、よい成績を大人たちに確実に見せられる優しい課題を選択させる圧力になっている。褒め方には注意が必要で、その子のもともとの性質ではなく、その努力や時間の使い方、工夫に着目して評価することが、挑戦することを厭わない心を育てて、望ましい結果を引き出す。そうは言ってもこの助言は私にとっては手遅れで今更ですけど。
・一卵性双生児の幸福度の調査では、幸福度は少なくとも50%は遺伝的に決まる。収入額、配偶者の有無、職業、宗教などのあたえる影響は小さいみたいです。となると日本人が世界幸福度報告で幸福度が低いのは、幸福度が高くなりにくい性質をわざわざ保持しているたちがマジョリティとなっているから。でもまじめで悲観的な性格を持つ人は長寿との相関が高いとかで、陽気で楽観的な性格の人は長寿でなかった人に共通する性格とか。
もっといろいろあるのですが、全部書くわけにいかないので、興味がある人は読んでみてください。
ところで「おわりに」で中野信子さんの生きづらかった今までの人生を吐露しているのですが、集団の中で異質性を感じ排除され、成績がいいことが救いにならず、なおさら集団から遠ざけられる。いろいろ悩んできて、今現在の答えは「人生とはそもそも解が定まるものではない」言い換えれば、解はどんな形であろうとも正解でありうるということ。最近は暇で「人生とは何か」とか「幸福とは何か」という余計なことを考えることもあって参考になります。
この本も図書館で予約して何週間か待ちで借りたものです。

日本人の民族的特性として「協調性」が高く、そのため不安が高く、社会的排除を起こしやすく、同調圧力を感じやすい。こういう人は普段誰かのために自己犠牲をいとわずまじめに働くが、いったん不公平な仕打ちを受けると、一気に義憤に駆られて自らの損失を顧みず行
動してしまう。まさに特攻を生み出した日本人の心理的特性です。
ところでこのような性質は、中脳にあるセレトニントランスポーターの密度によって違ってくるそうで、日本人の脳にあるセレトニントランスポータの量は世界でも一番少ない部類とか。高々3~4世代で遺伝子を保持する人の割合は劇的に変化しないので、日本人のこの性質(もちろんすべての日本人がそうだという訳ではなく割合が多いと言うことですが)は脈々と受け継がれている。
世間で何かと話題になることについても、そこには遺伝子レベルで影響を受けている性質とか脳の活動の特質によることがが多々あるみたいです。
ランダムに気になったところを書き出してみると、
・日本人にはドーパミンの要求量が低い人がほとんどで、ギャンブルに熱くなりにくい。ドーパミンの要求量の高い人はリスクを冒してもでも新しい物事に触れたいという性質が極めて強いが、その割合は日本人の1~5%。南米とか南欧では20~25%とかでラテン系気質?
・かけ事と恋愛で高揚を感じさせる脳の仕組みは一緒で、報酬系にドーパミンが放出されると快楽を感じるようにできている。高揚感を感じハマっていくと冷静に考えることができなくなる。
・人類は集団で生き延びることが種の保存に必須であるため、美味しいとこどりしてコストを負担しないフリーライダーを検出して排除する機能がほかの生物より強力に備わっている。不倫は共同体のルールを守らず、極個人的な快楽をむさぼるフリーライダーとしてバッシングの対象になる。不倫バッシングは自分が正義の側にいることの確認行為であり、社会のルールを守る誠実で善良な人ほど逸脱者への攻撃に熱心になる傾向がある。
・ダメ男がモテるのは、ダメ男ほど「新奇探索性」が高く、性的にもアクティブなので、遺伝子を広く拡散する性質がある。女性にとってはそこに遺伝子を乗っけておけば不倫は繁殖適応的であり、「倫理」は人間の後付けのもの…ちなみにある特定の遺伝子の特殊な変異体を持つ人は、それを持たない人に比べて、不倫や離婚率、未婚率が高い。人類のおよそ50%はこの「不倫遺伝子」を持っているという報告もあり、本人の意思や努力という要素よりも、遺伝子や脳の仕組みによって決まっている部分が大いにある。
そうは言っても中野信子さん自身のパートナーが不倫したら割り切れない気持ちは残るかもというのは本音です。
・男性の脳は女性が肌を露出すればするほど、相手を人間と思わなくなるという研究結果がある。別の研究では男性から見れば胸の大きな女性は知性、潜在的能力を低く評価する傾向があるとか。ところで現在の知見では外見と知能のあいだには0.16という弱い正の相関があるとか。
・同性愛は生産性がないと言う議論が世間で賛否両論を巻き起こしましたが、初めて知ったのですが、同性愛は人間だけのものという訳ではなく450種類以上の動物に、求愛、ペアリング、ペアレンティングを含む同性愛行為が記録されているそうです。性行動は繁殖という目的で行われるだけではなく、群れを平和に保ち、群れとしての行動を円滑に進めるのに役立つという機能を併せ持っている。あぶれたオスをオスが満足させたり、オス同士のきずなを強化するなど同性間の性行動が社会的機能を果たすことがある。アホウドリのつがいの3分の1はメス同士で、家畜の羊のオスの10%は、メスと交尾することを拒否し、ほかのオスと交尾する。ちなみに人では全体の5~15%が同性愛者とか。
・イタリアの研究グループは同性愛男性の女性の親せきは、ストレート男性の女性の親せきの1.3倍の子どもがいることを示しました。同性愛遺伝子を持っている方がより「生産性」は高い!ゲイの叔父仮説です。同性愛は種の保存のための基本的なメカニズムであり、幅広くその仕組みが採用されているのは、それが適応的に機能してきたから…
・ほめて育てるということについて、「頭がいいね」と褒めることが、子どもたちから難しい課題をやろうとする気力を奪い、よい成績を大人たちに確実に見せられる優しい課題を選択させる圧力になっている。褒め方には注意が必要で、その子のもともとの性質ではなく、その努力や時間の使い方、工夫に着目して評価することが、挑戦することを厭わない心を育てて、望ましい結果を引き出す。そうは言ってもこの助言は私にとっては手遅れで今更ですけど。
・一卵性双生児の幸福度の調査では、幸福度は少なくとも50%は遺伝的に決まる。収入額、配偶者の有無、職業、宗教などのあたえる影響は小さいみたいです。となると日本人が世界幸福度報告で幸福度が低いのは、幸福度が高くなりにくい性質をわざわざ保持しているたちがマジョリティとなっているから。でもまじめで悲観的な性格を持つ人は長寿との相関が高いとかで、陽気で楽観的な性格の人は長寿でなかった人に共通する性格とか。
もっといろいろあるのですが、全部書くわけにいかないので、興味がある人は読んでみてください。
ところで「おわりに」で中野信子さんの生きづらかった今までの人生を吐露しているのですが、集団の中で異質性を感じ排除され、成績がいいことが救いにならず、なおさら集団から遠ざけられる。いろいろ悩んできて、今現在の答えは「人生とはそもそも解が定まるものではない」言い換えれば、解はどんな形であろうとも正解でありうるということ。最近は暇で「人生とは何か」とか「幸福とは何か」という余計なことを考えることもあって参考になります。